相続時の預金引き出しの手続き方法とは?手順や必要書類を解説
2022年01月21日
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被相続人が亡くなり、役所に死亡届を提出すると被相続人の預金口座は自動的に凍結されてしまいます。
相続では手元にお金が必要な場面がありますので、戸惑ってしまう方は多いでしょう。
ただし子供や父母・兄弟など民法で定められている相続人は、一定額を預金口座から引き出すことが可能です。
預金の引き出しはどのように行うのでしょうか?必要となる書類には何があるのでしょうか?
本記事では相続時に引き出せる預金額、手順、必要書類や便利な制度を解説していきます。
相続の予定がある方、今引き出し方法を知りたい方、専門家に相談したい方はぜひご覧ください。
記事の要約
- 相続時の預金引き出しは、被相続人の死亡を金融機関に届け出た後、相続関係届出書を提出する必要がある。
- 相続関係届出書には、相続人全員の署名・押印が必要。
- 預金の払戻し請求書には、相続人全員の印鑑証明書が必要。
相続時に預金口座が凍結されても引き出しは可能
被相続人が亡くなった後、7日以内に役所に死亡届を提出しますが、死亡届を提出すると金融機関の預金口座は凍結されます。
入出金が出来なくなってしまいますが、金融機関で所定の手続きを行うことで遺産分割を行う前でも一定額の預金を引き出すことができます。死亡届を出した後には金融機関の口座の残高証明書を取得できますので、所定の方法で申請しましょう。
相続人が引き出し可能の金額は、以下の通りになっています。
例えば相続開始時の預金額が1200万円で、相続人が子供2人の場合には
1200万円×1/3×1/2(子供2人の法定相続分)=200万円
200万円まで引き出す事が可能です。
同一の金融機関からの払戻しを行う場合、150万円が上限になります。
なお、上記の制度により払い戻された預金は、後日の遺産分割で相続人が取得するものとして調整されることになります。
相続時の預金引き出しの手順
相続時の預金引き出しの手順は以下の通りです。
- 被相続人の預金口座を調査
- 銀行に連絡
- 必要書類を準備
- 銀行に書類を提出
1.被相続人の預金口座を調査
被相続人が所有している預金通帳・キャッシュカードなどから預金口座を調査します。
銀行からの口座開設通知書や郵便物、ネット銀行で利用するパスワード生成機(トークン)、金融機関から貰った景品などから口座を全て調査・把握します。
特にネット銀行の場合はほとんどの場合通帳が発行されず、被相続人がID・パスワードをメモに残していた場合は見落としがちで遺産から漏れてしまう可能性があります。
相続税や遺産分割に影響がある事から、念入りに調査を行いましょう。
2.銀行に連絡
被相続人が取引のあった銀行に被相続人が亡くなったこと、相続の手続きで預金を引き出したいことを伝えます。
預金通帳やキャッシュカードなど口座の番号が分かるものがある場合には、準備した後に連絡を行います。見つからない場合には担当者に申し出ましょう。
銀行によっては相続専門の部署がありホームページに電話番号を掲載しているところもありますので、あらかじめチェックしておきましょう。
3.預金の引き出しに必要となる書類を準備
相続時に預金を引き出す上で必要となる書類は、遺言書や遺産分割協議書の有無によって異なります。
遺言書がある | 遺言書が無い | |
---|---|---|
遺産分割協議書がある | 遺産分割協議書が無い | |
l 相続に関する届出書 l 銀行の預金通帳・証書・キャッシュカードなど※1 l 遺言書 l 遺言書の検認済証明書※2 l 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本または全部事項証明書 l 預金の払戻しを希望する方の印鑑証明書 |
l 相続に関する届出書 l 銀行の預金通帳・証書・キャッシュカードなど※1 l 遺産分割協議書 法定相続人全員の署名・捺印があり、銀行の相続に関して明記されているもの l 被相続人の戸籍(除籍)謄本または全部事項証明書 l 相続人全員の印鑑証明書 |
l 相続に関する届出書 l 銀行の預金通帳・証書・キャッシュカードなど※1 l 被相続人の戸籍(除籍)謄本または全部事項証明書 l 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 l 相続人全員の印鑑証明書 |
※1:紛失している場合は銀行に申し出ます。
※2:遺言書の検認は法務局・公証役場以外で遺言書が見つかった場合に家庭裁判所に申し立てを行い、手続きを行う必要があります。
遺言執行者が選任されている場合
遺言書や被相続人の意向により遺言執行者が選任されている場合には、上記の書類に加えて以下の書類が必要となります。
u 遺言執行者の印鑑証明書
u 遺言執行者の選任審判書謄本
遺言執行者は基本的に誰でもなる事ができますが、相続人同士の利害関係を考慮し被相続人があらかじめ弁護士・行政書士などの専門家を遺言書で選任を指定しているケースがあります。
相続人・受遺者(遺産を受け取った人)が家庭裁判所に申し立てる事も可能です。
4.銀行に書類を提出
銀行に書類を提出、受理されると一定額の預金を引き出すことができます。
家庭裁判所の審判を受けた上で、預金を引き出すケースとは
遺産分割調停・審判などを行っている最中に被相続人の預金を引き出したい場合には、家庭裁判所に申し立て審判を得た後に相続預金の全部または一部の引き出しを行うことができます。
家庭裁判所が認めた金額を「仮に取得」する形となります。
ただし生活費の支払いといった必要性が認められ、他の相続人の利益を侵害しないケースに限定されます。
必要書類は、以下の通りです。
審判書に確定表示がない時には、「審判確定証明書」も必要となる
l 預金を相続する方の印鑑証明書
必要書類は法務局で「法定相続情報証明制度」を利用し収集
2017年から法務局で相続の手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」がスタートしました。
法定相続情報証明制度は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類と、「法定相続情報一覧図」を作成・提出することによって、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付され複数の金融機関などに同一の書類を利用できるというものです。
複数の金融機関の預金引き出しでも利用が可能で、不動産の相続登記など他の相続があるケースでも書類を利用できます。
困った時には弁護士に相談を
相続時の預金引き出し額、手順、必要書類などをお伝えしました。
預金の引き出しは被相続人の預金口座を調査・把握し、金融機関に連絡した後、必要書類を集め提出することで可能となります。
必要書類は遺言書・遺産分割協議書の有無によって異なり、被相続人の戸籍謄本または全部事項証明書、申し出る方の印鑑証明書などが必要となります。
「法定相続情報証明制度」により手続きは以前より煩雑ではなくなりましたが、相続時には他にもやるべきことが沢山あり負担に感じてしまう方は少なくありません。
法律の専門家である弁護士に相談し、代わりに書類を集めてもらい手続きを行う事が可能です。
「弁護士に依頼」と聞くと「報酬が高いのでは」と心配する方もいらっしゃいますが、書類の収集のみなど業務を限定する事で手頃な価格で代行して貰える事務所もあります。
この記事で預金引き出しの手順・必要書類を把握し困った時には専門家に相談しましょう。
参考記事 https://chester-souzoku.com/inheritance/deposit-5689
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