ケアハラスメントの定義とは? 仕事と介護の両立のために利用できる制度を解説
2023年03月8日
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この記事を書いた人
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予備試験を経て司法試験に合格し、2016年に弁護士登録。
法律事務所での執務のほか、インハウスとしても執務を経験。
現在は独立し、弁護士としての活動に加え、飲食店等に関する事業経営も積極的に行っている。
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親や家族などの介護と両立しながら働いている人に対して、休暇を取らせなかったり嫌がらせなどをすることを、ケアハラスメントといいます。
家族などの介護と両立するために仕事をセーブしなければならなくなることは、誰の身にも起こり得ることです。
そのようなとき、仕事と介護を両立するために利用できる制度はあるのか、会社の理解を得られないとき、どのように対応すればよいのかなどについて、弁護士が解説します。
ケアハラスメントとは
ケアハラスメントの具体例
ケアハラスメントとは、介護をしながら働いている人を、上司や同僚が不利益に取り扱うことをいいます。
以下、ケアハラスメントの具体例をご紹介します。
制度利用や休暇取得の妨害
介護を理由に休暇を申請したり残業ができないことなどを伝えたときに、「周りに迷惑がかかるから控えてほしい」などとして、申請を拒否されるケースです。
介護と仕事を両立するための制度にどのようなものがあるかについては、次の章で詳しくご紹介します。
解雇・雇い止め
介護休業を利用していることなどを理由に、解雇されたり、契約を更新してもらえず雇い止めとされるケースがあります。
しかし、介護のための支援制度を利用していることをして不利益な取り扱いをすることは、育児介護休業法で禁止されている違法な行為です。
そのため、理由を明確に述べるのではなく、「休まれてばかりだと困る」などと暗に退職をほのめかし、従業員側から退職を申し出るよう誘導する、というケースも多く見受けられます。
降格、配置転換(異動)
「君には大切な仕事を任せられない」などとして、降格や閑職への配置転換により、仕事を与えてもらえなかったり、雑務しかさせてもらえない場合などです。
低い人事評価
このほかには、介護のために仕事をセーブせざるを得なくなっていることを良いように思わない上司から、不当に低い人事評価の査定を受けるというケースも見受けられます。
ケアハラスメントが起こる原因
このようなケアハラスメントが起こる原因としては、パワハラ・セクハラ・マタハラなどのハラスメントと比べて、まだまだ認知度が低く、理解が進んでいないという点が考えられます。
また、出産や育児であれば、いつからいつまで休業するのかというように、時期が明確ですが、介護の場合には、いつ終わるのか・いつまで続くのかが本人にも分かりません。
そのため、介護を口実に楽をしている、サボっている、周囲に迷惑をかけ続けているなどのイメージを持たれがちで、攻撃の標的となってしまうということも考えられるでしょう。
介護と仕事を両立するための支援制度
少子高齢化の影響もあり、要支援・要介護者の人数は増加しています。
このことを踏まえ、介護と仕事を両立するための様々な支援制度が、主として育児介護休業法などの法律で定められています。
介護休業 | 要介護状態にある対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として取得可能 |
---|---|
介護休暇 | 要介護状態にある対象家族1人につき、1年に5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)、取得可能 |
所定外労働 (残業)の制限 |
要介護状態の対象家族を介護している労働者は、1回の請求につき1か月以上1年以内の期間、所定外労働の免除を請求できる |
所定労働時間の 短縮(時短勤務)等の措置 |
使用者は、常時介護を要する対象家族1人につき、次の措置のいずれかを、利用開始から3年以上の間で2回以上の利用を可能とする措置を講じなければならない ・所定労働時間を短縮する制度 ・フレックスタイム制 ・始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ ・労働者が利用する介護サービスの費用の助成等 |
時間外労働(残業)の制限 | 使用者は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合、1か月24時間・1年150時間を超えて労働時間を延長してはならない |
深夜業の制限 | 使用者は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合、午後10時~午前5時に労働させてはならない |
転勤に対する配慮 | 使用者は、就業場所の変更を伴う配置の変更において、家族の介護の状況に配慮しなければならない |
不利益取扱いの禁止 | 使用者は、介護休業、介護休暇、、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等について申出又は取得したこと等を理由とする解雇その他不利益な取扱いをしてはならない |
ハラスメント防止措置 | 使用者は、介護休業その他家族の介護に関する言動により、労働者の就業環境が害されることがないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などをしなければならない |
介護休業給付金 | 介護休業を取得した場合、要件を満たせば、介護休業開始時賃金月額の67%が支給される |
ケアハラスメントの被害を予防するためにも、法律で用意されている制度の内容を理解しておき、自分の要求や申出が法律上の権利であるのかどうかを区別できるようにしておくことが望ましいといえます。
ケアハラスメントに遭ったときの対応法
実際に会社でケアハラスメントの被害に遭ってしまったとき、どのように対応すればよいのでしょうか。
以下、相談窓口などをご紹介します。
社内相談窓口
会社は、育児介護休業法で、介護休業その他家族の介護に関する言動により、労働者の就業環境が害されることがないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などをしなければならないと定められています。
また、ハラスメント被害によって退職を余儀なくされた場合などで、事後に交渉や裁判手続きを取るときには、会社がハラスメントの事実を認識していたかどうか、認識した後にハラスメントを防止するための措置を講じたかどうかが重要なポイントになります。
そのため、上司や同僚などの言動で困っているという場合には、社内の相談窓口に相談をしてみるというのも一つの方法です。
公的機関
社内相談窓口に相談しても適切に対応してくれない場合には、各都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談することを検討してもよいでしょう。
これ以外にも、労働トラブルに関する相談を受け付けている公的機関は、複数存在します。
自分の相談内容をどこに相談すればよいのか分からないという場合には、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーに相談すれば、適切な窓口に取り次いでもらうことが可能です。
弁護士
ケアハラスメントに遭い、退職を余儀なくされた、精神的苦痛を受けた、心身に不調が生じたなどの場合には、弁護士への相談を検討するべきです。
上司や同僚などの加害者本人や、ハラスメントを認識しながら適切な措置を講じなかった会社の責任追及を検討することとなります。
具体的には、加害者本人に対しては、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を請求し、会社に対しては、使用者責任(民法715条)又は安全配慮義務違反(民法415条又は709条)に基づく損害賠償を請求します。
ハラスメント被害は弁護士に相談を
交渉や裁判の全てを任せることができる
介護離職を防ぐための法律が整備され働き方改革などが推進されていますが、残念ながら、ハラスメントがゼロにはなっていません。
事後に会社と交渉や裁判を行うことなどを見据えれば、有利な解決のためには、ケアハラスメントの内容を記録化し十分な証拠を集めておくことが必要です。
早い段階で弁護士に相談することで、どのような内容を記録化すべきか、どのような証拠を集めておくべきかのアドバイスを受けることが可能となります。
また、実際に交渉や裁判の段階になれば、対応を弁護士に全て任せることができ、ご自身は日常の生活や介護、療養に専念することができます。
会社の対応は違法ではないか、加害者や会社に慰謝料などの損害賠償を請求したいとお考えの場合には、早めの弁護士への相談をお勧めします。
「もしもの高額な支払いに備える」弁護士保険の活用を
弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼をする際の費用の補償を受けられる保険です。
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会社によっては、弁護士保険に加入していることを表す「リーガールカード」や「ステッカー」の配布があり、トラブル抑止効果が期待できます。
そのほか、「弁護士紹介サービス」や「相談ダイヤルの設置」など、便利な付帯サービスが用意されています。
日常生活や職場などでトラブルがあった際に、確実に解決するには弁護士は頼りになる存在ですが、高い報酬がネックとなり簡単には依頼できないことも少なくありません。
弁護士費用に不安がある方は、弁護士保険への加入がお勧めです。
まとめ
大切な家族の介護も、自分が生きていくための仕事も、どちらも重要なことです。
そして、誰もが介護と仕事を両立できるよう、法律の整備など社会の取り組みは進んでいますが、ケアハラスメントなどの被害が起きてしまっているのも現実です。
ケアハラスメントの被害に遭ったときには、社内窓口・公的機関・弁護士などへの相談を検討しましょう。
また、介護と仕事を両立するためには、職場で相談できる人・同じような経験をしている人を探してみる、介護保険サービスを活用するなど、一人で全てを抱え込まないことも大切です。
介護保険サービスの詳細は、地域包括支援センターなどに相談して、訪問介護やデイケアなどをケアマネージャーから紹介してもらうことが可能です。
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弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼する際の費用を補償してくれる保険です。
保険料の相場は月額3,000円程度です。そのため、30万円という着手金の相場額を考えると、保険に加入してから9年以内に弁護士に依頼すれば、元が取れます。
現代社会は、交通事故や離婚、労働問題など、さまざまな法律問題に見舞われがちです。そうした法律問題が降りかかってきた時に、弁護士保険に加入していれば弁護士に気軽に相談・依頼ができるので、問題の早期解決につなげられるでしょう。
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そのほか、弁護士保険では、「弁護士紹介サービス」や「相談ダイヤルの設置」など、便利な付帯サービスが用意されています。
どの保険もサービスが充実しているので、ぜひ加入を検討してみてください。
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法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
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100%※1 2.2万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
1,200万円 |
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法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
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