店長でも残業代をもらえる可能性大!あなたは管理監督者じゃない
2022年11月16日
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- 会社2022.11.16店長でも残業代をもらえる可能性大!あなたは管理監督者じゃない
こんにちは。
弁護士の林孝匡です。
この記事では、
店長さんでも残業代請求できる可能性が高いことを
お伝えします。
会社から、
「君は店長なんだから、残業代は出ないよ!」
「だって【管理監督者】なんだから!」
って言われていませんか?
シャラップ!
店長でも、残業代請求できる可能性が高いんです。
あと、
・部長
・統括本部長
・次長
・課長
などの肩書きの方も、
残業代をもらえてないのであれば、請求できる可能性が高いです。
「定額働かせ放題」とオサラバできる可能性があります。
この記事では、
- 管理監督者の定義
- 管理監督者かどうかを判断する3要素
- 店長などが勝った裁判例
などを解説します。
記事の要約
- 店長は管理監督者に該当しない可能性が高い。
- 管理監督者かどうかは「経営者と同等の権限と責任」・「出退勤の自由」・「残業代をもらう必要がないほどの待遇」の3つの要素で判断される。
- 店長が残業代を請求できた裁判例がある。
店長は「管理監督者」?
会社は、
「店長は【管理監督者】なんだから、残業代は出ないんだよ!」
って言ってきます。
いやいや!
コレ、理屈が通っていない可能性が高いです。
平成20年のマクドナルド事件で、裁判官は、
「この店長は管理監督者じゃないよ!残業代を払いなさい」
と会社に命じました。約500万円。
(あとで解説しますね)
たしかに、労働基準法は、
「【管理監督者】には、残業代は払わなくていい」
って言ってるんです。
この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
2 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
でも!
店長が管理監督者にあたる【とは、一言も言ってないんです】
会社が勝手に
「店長は管理監督者だから!」
「残業代は出しません」
って言ってるだけなんです。
さぁ、そこで、「管理監督者」って何なの?ということです。
裁判では、
以下の3つを考慮して判断されます。
- 実質的に経営者と一体的な立場といえるような権限があるか
- 自分の裁量で労働時間を管理できるか
- 管理監督者にふさわしい収入か
をミックスして判断されます。
厚生労働省の通達(H20)
に詳しく書いています。
以下、3つの要素を順番に解説します。
あなたは、経営者と同じくらいの権限がある?
まぁ、ほぼナイですよね。
本社の指示に従う立場ですよね…。
具体的に言えば、裁判官はこんなことを見ます。
- 労働者の採用・解雇・人事考課に関与できるか
- 労働者の労働時間の管理を行う権限があるか
- 経営方針を決定できる権限を有しているか
などを見ます。
経営者と対等に話ができてこそ管理監督者なので、
本社からガンガン指示を受けている場合は、
同じ権限があるとは言えない可能性大です。
自分の裁量で労働時間を管理できるか
これも、ほぼ無理ですよね。
馬車馬のように働かされている方が多いですもんね…。
以下のケースはあなたの有利になる可能性が高いですね。
- 遅刻、早退をするとペナルティがある
- 長時間労働を余儀なくされている
- 他の社員と同じような勤務態様である
自由に働けてこそ管理監督者なので、
上記のような不自由なケースはかなり有利です。
管理監督者にふさわしい収入か
相当の給与がもらえているのか、って話です。
以下のケースはアウトの可能性が高いですね。
- 職務内容からして基本給が低い
- 役職なしの一般社員と給与があまり変わらない
- 時給換算すればアルバイトの方より給与が低い
など。
職務内容に見合う給与があってこその管理監督者なので、
待遇が不十分な場合は、あなたに有利になる可能性が高いです。
裁判では、以上の3要素をミックスして結論が出されます。
勝った裁判例
裁判例を3つご紹介します。
すべて
「この人は管理監督者じゃないよ。残業代を払いなさい」
と会社に命じた裁判例です。
日本マクドナルド事件(東京地裁:H20.1.28)
マクドナルドの店長の事件です。
この3要素
- 実質的に経営者と一体的な立場といえるような権限があるか
- 自分の裁量で労働時間を管理できるか
- 管理監督者にふさわしい収入か
に沿って、判断されました。
どんな判断が下されたかというと、
・社員を採用する権限は一部に限られる
・店舗の営業時間の設定は自由にできず、本社の決定に事実上従う義務がある
・経営方針などの決定に、店長が関与しているとはいえない
■ 自分の裁量で労働時間を管理できるか
・60日以上の連続勤務をしたこともある
・残業が月100時間を超える場合もあり、労働時間は相当長時間に及んでいた
■ 管理監督者にふさわしい収入か
・自分よりも役職が低いひともりも給与が低かった
・そもそもの給与が管理監督者に見合っていない
というわけで、
「管理監督者じゃないよ。残業代を払いなさい!」と命じました。
コナミスポーツクラブ事件(東京高裁:H30.11.22)
スポーツクラブの支店長の事件です。
同じく3要素に沿って検討され、
・アルバイトを採用・解雇するには会社の決済が必要
・1円の物品を購入するために会社の許可が必要
■ 自分の裁量で労働時間を管理できるか
・出退勤がタイムカードで管理されていた
・人手不足で、店長も他のスタップと同様にシフトに入らざるを得なかった
■ 管理監督者にふさわしい収入か
・役職手当が5万円にすぎなかった
・管理職になることで、その前よりも給与が下がる逆転現象
というわけで、
「管理監督者じゃないよ。残業代を払いなさい!」と命じました。
エルライン事件(大阪地裁:H30.2.2)
商社の部長の事件です。
同じく3要素に沿って検討され、
・アルバイトを採用する権限がなかった
・従業員の処遇を決定する権限がなかった
・ミーティングでは経営方針の指示を受けるだけで、経営に参画していたとは言えない
■ 自分の裁量で労働時間を管理できるか
・時間外労働は月70~100時間程度で150時間を超える月もあった
・営業時間の関係で労働時間を自分の裁量で決められない
■ 管理監督者にふさわしい収入か
・部長の給料は基本給23万円
・役職手当10万円及び固定残業手当3万円を含め、月額48万円
・一般従業員の中でも40~45万円の給料の者がいた
・部長の給料が特に高いとは言えない
というわけで、
「管理監督者じゃないよ。残業代を払いなさい!」と命じました。
このように
会社の言い分
「あなたは管理監督者だから」
「残業代ナシね」
は、通らないことが多いです。
まとめ
上記の裁判例ように、
管理監督者にあたるかどうかは、
- 実質的に経営者と一体的な立場といえるような権限があるか
- 自分の裁量で労働時間を管理できるか
- 管理監督者にふさわしい収入か
を検討する方法が確立されています。
店長だけじゃなく、
・部長
・統括本部長
・次長
・課長
などの肩書きの方も、検討してみて下さい。
権限がないのに管理職扱いされていませんか?
名ばかり管理職というやつです。
マクドナルド事件のように、
残業代を数百万円請求できる可能性があります。
ただ、ご自身で判断するのは非常に難しいので、
「会社にコキつかわれいてる…」
「残業代請求したい」という方は、
弁護士さんに相談してみましょう。
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