弁護士保険で刑事事件は補償されるのか?
2023年05月13日
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この記事を書いた人
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予備試験を経て司法試験に合格し、2016年に弁護士登録。
法律事務所での執務のほか、インハウスとしても執務を経験。
現在は独立し、弁護士としての活動に加え、飲食店等に関する事業経営も積極的に行っている。
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記事の要約
- 弁護士保険で刑事事件が補償されるかどうかは、保険商品によって異なる。
- 一般的な弁護士保険では、刑事事件の弁護費用は補償されない。
- ただし、一部の保険会社では、刑事事件の弁護費用を補償する特約を用意している。
法律トラブルに遭ったときの弁護士費用の補償を受けられる弁護士保険が広がっています。
代表的なものは、自動車保険の特約で付帯できる弁護士費用特約ですが、交通事故のほかにも、離婚・相続・労働トラブルについての弁護士費用の補償を受けられる弁護士保険も存在します。
これらはすべて民事事件ですが、それでは、刑事事件の当事者となってしまったとき、その弁護のための弁護士費用の補償を受けることはできるのでしょうか。
この記事では、弁護士保険についての詳細、刑事事件の弁護士費用の補償を受けるための条件などについて解説します。
弁護士保険とは?
弁護士保険とは、保険加入者が法的トラブルに遭遇したときに、法律相談料・着手金・報酬金・実費費用など、弁護士に依頼する際に必要な費用の補償を受けることができる保険商品です。
最も広く知られているのは自動車保険の弁護士費用特約と思われますが、これ以外にも、火災保険、総合保険、クレジットカードの保険に付帯されていることもあります。
また、弁護士保険だけが内容である「単独型」の保険商品も増えてきています。
商品や会社によって異なりますが、弁護士保険では、法律相談料については10万円まで、着手金・報酬金・日当・実費などについては300万円まで、保険金として補償されることが多くなっています。
弁護士に依頼した場合、ほとんどの事件では上記の範囲内の金額に収まると見込まれますので、弁護士保険に加入していれば、原則として自己負担なく弁護士を活用することができると考えておくことができます。
保険料は、年間で3000円前後ですので、毎月数百円の負担で、万が一のときの安心に備えることができるということになります。
弁護士保険の加入条件
- 契約開始時に満18歳以上であること
- 契約開始時に日本国内に住んでいること
- 保険約款や契約内容などを理解できること
- 保険料支払のための銀行口座やクレジットカードがあること
- 反社会的勢力でないこと
過去に裁判を受けたことがあっても加入することができますが、契約前からの裁判などの法的トラブルは補償の対象外となりますので、注意が必要です。
また、満18歳以上という条件は、あくまでも契約者の年齢についての条件ですので、実際に補償の範囲に含める被保険者の年齢に制限はありません。
そのため、たとえば、親が子供のために弁護士保険に加入するということも可能です。
刑事事件とは
刑事事件というのは、法が適用されることで刑罰を受ける事件です。
多くの望まれない行いや争いごとがありますが、この一部に関して、罰を法によって与えるとなっているものです。
刑事事件の場合は、裁判を必ず経て刑罰が行われます。
被告人は起訴されると、裁判において権利として弁護活動をすることが保障されています。
また、他の人に対して、私人が刑罰を独自に与えるのはできなく、基本的に、検察官が刑事裁判の起訴も行います。
一方、基本的に、民事事件の場合は、当事者に私人同士がなります。
また、民事事件は、他の人を罰するものでなく、私人同士で起きたトラブルを解決するものです。
相手の主張が民事事件において認められたということでも、主張が認められなかった人が罪を犯したり、罰を受けたりするということではありません。
簡単に言うと、お金のトラブルが民事事件で、処罰のトラブルが刑事事件です。
事件によっては、当然ですが、刑事事件と民事事件の両方になる場合も多くあります。
例えば、傷害事件の場合に人を殴ったということを考慮すれば、処罰を傷害罪として行うのは刑事事件になり、損害賠償を加害者に被害者から請求する際は民事事件になります。
この賠償額を決める場合は、多くの過去の判例や決め事などを参考にしますが、この際にプロの弁護士が協力してくれると手間がかからなくて対応が適切にできるでしょう。
弁護士保険で刑事事件は補償されるのか
弁護士保険の場合は、弁護士費用として刑事事件にかかるものは保険金が支給されないことが多いようです。
しかし、法律相談料については、基本的に、刑事事件の場合でも保険金が支給されるようになります。
ただし、本人がほとんどの場合は勾留されているので、法律相談料は代理人が申請する必要があるなど、煩雑な手続きになることがあります。
刑事事件でも、民事訴訟に刑事事件と一緒になった場合は、民事分については基本的に保険金が支給されるようになります。
例えば、痴漢で逮捕されても示談になった場合は、民事事件になって基本的に保険金は支給されます。
なお、保険金が支給されるかどうかの見極めについては、保険会社が行うため、必ず確認が事前に必要になります。
そのため、刑事事件の加害者になり、示談を成立させて早期釈放を実現したい、不起訴処分・執行猶予付き判決を獲得したいというような場合には、示談交渉のための弁護士費用についての補償を受けることができるというメリットがあります。
保険が適用されないケース
弁護士保険に加入していても、保険が適用されないケースが定められています。
以下、具体的な例をご紹介しますので、保険加入前に具体的な条件を確認するようにしてください。
契約前からの法的トラブル
弁護士保険を契約する前から起こっていた法的トラブルについては、保険の適用を受けられません。
弁護士保険による補償の対象は、保険契約が成立した後に発生した法的トラブルとされています。
被保険者以外の法的トラブル
保険の対象となる被保険者以外に関する法的トラブルにも、弁護士保険の適用がありません。
ただし、保険の契約者が親で、子供を被保険者としているケースで、いじめなどの子供の不法行為を理由として親の監督義務責任(民法714条)が問われているときには、保険適用の対象となり、弁護士費用が補償されます。
法的トラブルに該当しない場合
このほか、法律を適用しても解決ができないトラブルについても、弁護士保険が適用されません。
たとえば、次のようなものが考えられます。
- 社会生活上の受忍限度を超えるとはいえないもの
- 道徳、道義、倫理などに基づく解決が妥当であるもの
- 自律的な法規範を有する団体の裁量の範囲に属する内部的なもの
- 宗教上、政治上、思想上、学術上、技術上の論争や解釈に関するもの
その他
このほか、以下のようなケースでも、弁護士保険の適用外とされていることが多く見受けられます。
- 契約者又は被保険者に故意又は重過失がある場合
- 日本の裁判所に管轄がないもの
- 国、地方公共団体、行政庁、その他行政機関を相手方とするもの(税務、国家賠償に関するものを除く)
- 破産、民事再生、特定調停、任意整理に関するもの
- 利息制限法で定める利率を超えた金銭消費貸借契約に関するもの
- 被保険者の従事する事業や業務に関するもの
- 知的財産権に関するもの
保険金を受け取るための手続
ここでは、法的トラブルが起こり、実際に弁護士保険を利用するための手続の流れをご紹介します。
①保険会社に連絡し、弁護士保険を利用したいことを伝える
②保険会社で、適用の対象かどうかを審査する
※事前に各保険会社の承認を得ていなければ、保険金支払の対象外となりますので、注意が必要です。
③弁護士の法律相談を受け、委任契約を締結する
※どの弁護士に依頼するかは、契約者自身で自由に決めることができます。
※弁護士に心当たりがない場合には、保険会社から弁護士の紹介を受けることができますので、弁護士が見つからず依頼ができないという心配は必要ありません。
※弁護士との委任契約を締結する前に、保険会社に見積書などを提出しなければならないことがあります。
④弁護士による事件の処理が終了する
⑤保険会社に保険金を請求する
※委任契約書、請求書・領収書などを保険会社に提出する必要があります。
⑥保険会社からの保険金の受取
※弁護士費用については、弁護士と保険会社が直接やり取りをして、契約者が立替払いをする必要がないケースも少なくありませんので、どのように手続を進めるべきかは、保険会社に確認してください。
まとめ
弁護士保険に加入していれば、毎月数百円前後の保険料負担で、偶発的な法的トラブルが発生したとき、原則として自己負担なしで弁護士に解決を依頼することができます。
法的トラブルの解決は煩雑で専門的な知識も必要ですので、個人で対応すれば大きな負担となりますので、対応の全てを弁護士に一任することが望ましいといえます。
保険金を受け取るための手続も、多くは弁護士と保険会社との間で行ってもらえますので、契約者の負担はほとんどないと考えておくことができます。
最近では、自動車保険に付帯できる弁護士費用特約だけでなく、弁護士保険だけを内容とする単独型の商品も増えてきていますので、ご自身やご家族を守るためにも、弁護士保険への加入を強くお勧めします。
刑事事件やその他トラブルに備えて弁護士保険を検討する方へ「弁護士保険比較表」はこちら。
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「もしもの高額な支払いに備える」弁護士保険とは?
弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼する際の費用を補償してくれる保険です。
保険料の相場は月額3,000円程度です。そのため、30万円という着手金の相場額を考えると、保険に加入してから9年以内に弁護士に依頼すれば、元が取れます。
現代社会は、交通事故や離婚、労働問題など、さまざまな法律問題に見舞われがちです。そうした法律問題が降りかかってきた時に、弁護士保険に加入していれば弁護士に気軽に相談・依頼ができるので、問題の早期解決につなげられるでしょう。
弁護士保険を活用すると、法律相談料や着手金を全額補償してもらえる場合があるため、金銭的な不安も解消できます。弁護士への依頼に際して金銭的な不安を解消したい方は、弁護士保険に加入することをおすすめします。
「弁護士保険ステーション」では、弁護士保険取扱会社による4つの弁護士保険の「料金」「補償」「付帯サービス」などをわかりやすく比較できます。
保険によっては、保険加入後に弁護士保険に加入していることを示す「リーガルカード」や「ステッカー」が配布されるので、トラブルの抑止効果が期待できます。
そのほか、弁護士保険では、「弁護士紹介サービス」や「相談ダイヤルの設置」など、便利な付帯サービスが用意されています。
どの保険もサービスが充実しているので、ぜひ加入を検討してみてください。
法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
100%※1 2.2万円/事案まで |
100%※1 300万円/事案まで |
80% 200万円/事案まで |
1,000万円 |
- ※1 実費相当額
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法律相談料 | 偶発事故※4 | 一般事件※5 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
なし ※1 |
70% ※2 |
70% ※2 |
1,000万円 |
- ※1 初回法律相談60分無料の弁護士を紹介
- ※2 着手金の次の①②のいずれか少ない金額
①被保険者が弁護士に支払う金額
②(基準-5万)×基本てん補割合(原則70%)
- 追加保険料0円で家族も補償
- 提携弁護士による初回60分の無料法律相談が可能
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法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
100%※1 2.2万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
1,200万円 |
- ※1 実費
- ※2 保険金は(基準額 - 免責金額)×100%です。
報酬金:(基準)×50%
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法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
実費 10万円を限度 |
実費 300万円を限度 |
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