不動産売買の前には弁護士に相談すべき?対応できること、実際に起こったトラブル事例を解説
2022年05月6日
▲関連記事をチェック
この記事を書いた人
-
2級FP技能士
金融ライター。
大学在学中にFP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターとして独立。
不動産・相続・離婚など金融・法律系を中心に多数の記事を執筆。
読者に有益な情報を届けるために日々奮闘中。
◆ブログ
FPライター 田中あさみのブログ
最新の投稿
- トラブル2023.05.24美容師の退職、トラブルを回避するための5つの方法とは?伝え方や判例
- トラブル2023.05.19YouTuberの動画投稿をきっかけとした「個人情報流出トラブル」の事例と対処法
- 賃貸2023.03.14マンション・アパートの引っ越し挨拶はどこまで?賃貸も必要?おすすめの手土産も解説
- 相続2023.02.21<FP解説>遺留分とは?意味や相続分との違いから範囲や時効・計算シミュレーションまで
不動産は高額な資産であり売買で専門知識が必要な事から、取引で「トラブルが起こりやすい」と言われています。
日常のトラブル解決と言えば弁護士の得意分野ですが、「不動産売買で弁護士が対応できることは?」「実際にどのようなトラブル事例があるの?」と気になる方は多いでしょう。
本記事では不動産売買のトラブル又はトラブル防止のために弁護士が対応できること5つ、実際に起こったトラブル事例を解説していきます。
記事の要約
- 不動産売買は高額取引で専門知識が必要であり、弁護士に相談するとトラブル防止に繋がる。
- 弁護士が対応できるトラブルは、売買契約書のチェック、権利関係、契約不適合責任、法令違反、詐欺行為など。
- トラブル事例には、不適切な売買契約、特注タイルの問題、事故物件の未告知が含まれる。
- 弁護士相談のメリットは契約内容のチェックや法律アドバイスが得られることであり、弁護士保険で費用を抑えることが可能。
不動産売買のトラブルで弁護士が対応できる事5つ
不動産売買のトラブルで弁護士が対応できることは以下の5つです。
- 売買契約書のチェック・作成
- 権利関係のトラブル
- 契約に関するトラブル、契約不適合責任
- 法令に関するトラブル
- 原野商法など詐欺行為
1.売買契約書のチェック
不動産の売買契約書には不動産の面積や所在地などの基本情報、引き渡し時期や契約解除に関する事項、手付け金・契約金額・固定資産税などのお金に関する取り決めなど売買に関する多くの情報が記載されています。
ただ、売買契約書は「甲」「乙」を用いているため双方の関係が分かりにくく、専門用語が多いことから内容の把握が難しいという現状があります。
内容が法律に抵触している、不利である場合にも法律に詳しくない方は気づかず契約してしまう可能性があります。
法律の専門家である弁護士に相談し、チェックしてもらうことでトラブル防止に繋がることがあり契約内容を把握した取引が可能となります。
2.権利関係のトラブル
不動産には様々な権利が設定されています。
不動産の所有者は「所有権」を持っており、ローンを組んだ場合には不動産に「抵当権」が設定されています。
土地を借りている人は「借地権」、建物を借りている人は「借家権」を所有します。
不動産売買は高額な取引となりますので、契約によって自身が得られる権利・失う権利について理解した上で契約書に印を押すことが望ましいです。
また、土地の境界線があいまいで近隣の住民とトラブルになる事例があります。
権利について知りたい場合、権利関係のトラブルが起きた時には不動産に強い弁護士に相談するとスムーズに解決に繋がる事例があります。
3.契約に関するトラブル、契約不適合責任
不動産の売主には「契約不適合責任」を負います。契約不適合責任とは引渡した不動産が、品質または数量に関して、契約の内容に適合していないことです。
例えば害虫がいないと聞いていた住宅にシロアリ被害があった時には、品質が適合していないため契約不適合となります。
買主は売主に対して、補修などの追完請求・代金減額請求、損害賠償の請求などを行う事が可能です。
「購入した住宅に聞いていない不備があった」「契約不適合として修理代を請求された」といったトラブルが起きた時には不動産に強い弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
4.法令に関するトラブル
不動産は建築基準法や都市計画法によって定められた決まりをクリアする必要があります。
例えば建物を建てる時には道路に2m以上接していなければならないという「接道義務」、一定の耐震基準を満たす事などです。
購入した後に法律改正があった、工事があったなどの理由で法令の規定から外れてしまうケースもあります。
法令違反がある不動産は宅建業者から重要事項説明がある決まりですが、個人間の売買では見落とされてしまいます。
売買が行われた後に「建物を建てられない」「契約不適合責任を追及された」という事態に陥らないよう、注意しなければなりません。
5.原野商法など詐欺行為
1970~80年代にかけて、「開発計画がある」「近隣に商業施設ができる」など本当は予定のないエリアの土地を値上がりの可能性があると騙る「原野商法」の被害が多発しました。
昨今は、原野を所有している方・相続した方に「あなたの持っている土地を高く買い取ります」と勧誘し、手続き費用を請求、実際には契約の詳細を明らかにせず新しい土地を購入させるという「原野商法の二次被害」が増加しています。
買主が不動産の購入を希望し手付金を支払った後、売主と音信不通になり手付金も返金されない「手付金詐欺」も存在します。
詐欺行為に関しても、弁護士への相談が有効な手段と言えます。
不動産売買で実際に起こったトラブル事例とは
国土交通省の「不動産トラブル事例データベース」より、実際に起こった不動産売買のトラブル事例を3つ紹介します。
- 不動産会社に購入希望者がいることを隠され、相場の7割の価格で売却
- 新築マンションの特注タイルがはがれ落ち大規模修繕に
- 購入した住宅が実は事故物件だった
1.不動産会社に購入希望者がいることを隠され、相場の7割の価格で売却
2002年に、Aさんは不動産の売却の仲介を不動産会社に依頼しました。
不動産の売却方法には不動産会社を介して買い手を見つける「仲介」と不動産会社に直接物件を買い取って貰う「買取」があり、買取の売却価格は仲介による売却価格の7割程度です。
Aさんの売却希望価格は1650万円でしたが、不動産会社の担当者Bは「近隣でAさんの不動産より少し狭い物件が980万円で競売に出されたため1000万円以上での売却は難しい、1,220万円で買い取る」と告げAさんは売買契約を締結しました。
しかしAさんは転居先の賃借を媒介してもらった別の宅建業者から、同じ間取りの住宅が同時期に1,650万円で売れたこと、Aさんが売り出した住宅の購入希望をBに告げたところ、既に購入予定者がいるという返事だったことを知らされました。
AさんはBに騙された事を知り、荷物を旧住居に戻し居住を続けました。
Bは手付金の返還と債務不履行による違約金の支払いを求めて提訴しましたが、第一審では請求は棄却され、控訴しました。
第二審では、Bの行為は詐欺であり、Aさんは売買契約を取り消す事が出来るという判決が下されました。
もしAさんのように不動産会社に騙されたことが分かった時には、弁護士への相談をおすすめします。
2.新築マンションの特注タイルがはがれ落ち大規模修繕に
Cさんを含む6名は1998~2000に、売主業者Dから1998年に竣工した新築マンションを購入しました。
マンションの外壁には、高級感や意匠性を重視した重量感のある特注のタイルが使用されていましたが、購入直後から剥離・剥落が発生し、大規模な修繕が必要となりました。
Dは費用を負担し外壁タイルの補修工事を行いましたが、期間は1年4か月に及び、Cさん達は、騒音・粉塵に悩まされ、生活上の不便や心理的な負担を感じる状況となりました。
一度管理組合を通して和解が成立したものの、Cさん達は、損害を被ったと主張しDに対し、マンションの価値の下落に伴う財産的損害、慰謝料などを求めて提訴しました。
判決によると「大規模修繕だけでは、Cさん達の心理的不快感、購入物件の経済的価値の低下分を払拭しがたい」として財産的損害・慰謝料・弁護士費用を含めて78万円~247万円の支払いが認められました。
契約不適合責任は2020年の民法改正前には「瑕疵担保責任」という売主が気付かなかった欠陥・キズなどの責任を負うものでした。Cさん達の事件では工事後でも残る交換価値の下落としてDの瑕疵担保責任が問われ、費用を支払う結果になりました。
3.購入した住宅が実は事故物件だった
2002年Eさんは、業者Fの媒介で売主業者Gから中古住宅を購入し入居しましたが、Eさんが物件の所有者関係を調べた結果、契約締結2年前に建物内で自殺があったことがわかりました。
業者F・Gと話し合いましたが、Gは、自分が購入した時に前の所有者から自殺のことは聞いていないとして、話し合いに応じてもらえない状態になりました。
Eさんは、Gには告知義務があるとして、損害賠償金900万円を支払うことを主張し、Fに対しても売買契約の前に説明がなかった事から、損害賠償金を請求しました。
FはEさんの請求金額900万円について判断できないと主張し、GはFから自殺物件という話はなく、全く知らなかったと言い紛争になりました。
裁判所での調停の結果、EさんとGの和解は不成立でしたが、仲介したFは解決金80万円を提示し、和解しました。
事故物件に関しては、2021年に国土交通省が初めてガイドラインを策定しました。
ガイドラインでは宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主に対して過去に生じた人の死について、告知書に記載することで義務を果たすと記載されています。
弁護士に相談することで不動産トラブル解決・防止になる可能性が
不動産に関するトラブルを弁護士に相談するメリットは、契約の内容を事前にチェックできる、法律の専門家からアドバイスが貰える、権利・契約といった相談ができることなどです。
また不動産業者の言っている事が疑わしい時、怪しいと感じた時には弁護士に相談する事でトラブルを事前に回避できる可能性があります。
デメリットは費用がかかる点ですが、弁護士保険に加入することで費用の負担をおさえる事が可能です。
この記事を参考に、不動産売買のトラブルが気になる方やトラブルを防止したい方は弁護士への相談・弁護士保険への加入を検討しましょう。
個人型の弁護士保険に興味がある方はこちら
保険料
2,980円/月払
身近に起こる法律トラブルが不安…
ネットトラブル・いじめ問題・離婚トラブル
ストーカー被害・金銭トラブル・ハラスメント
騒音トラブル・消費者トラブル・医療過誤 など
弁護士保険ミカタであらゆるトラブルに備えましょう!
「もしもの高額な支払いに備える」弁護士保険とは?
弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼する際の費用を補償してくれる保険です。
保険料の相場は月額3,000円程度です。そのため、30万円という着手金の相場額を考えると、保険に加入してから9年以内に弁護士に依頼すれば、元が取れます。
現代社会は、交通事故や離婚、労働問題など、さまざまな法律問題に見舞われがちです。そうした法律問題が降りかかってきた時に、弁護士保険に加入していれば弁護士に気軽に相談・依頼ができるので、問題の早期解決につなげられるでしょう。
弁護士保険を活用すると、法律相談料や着手金を全額補償してもらえる場合があるため、金銭的な不安も解消できます。弁護士への依頼に際して金銭的な不安を解消したい方は、弁護士保険に加入することをおすすめします。
「弁護士保険ステーション」では、弁護士保険取扱会社による4つの弁護士保険の「料金」「補償」「付帯サービス」などをわかりやすく比較できます。
保険によっては、保険加入後に弁護士保険に加入していることを示す「リーガルカード」や「ステッカー」が配布されるので、トラブルの抑止効果が期待できます。
そのほか、弁護士保険では、「弁護士紹介サービス」や「相談ダイヤルの設置」など、便利な付帯サービスが用意されています。
どの保険もサービスが充実しているので、ぜひ加入を検討してみてください。
法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
100%※1 2.2万円/事案まで |
100%※1 300万円/事案まで |
80% 200万円/事案まで |
1,000万円 |
- ※1 実費相当額
- 単独型 弁護士保険 9年連続(2013~2021) 保有件数No1!
- 家族特約でご家族の保険料は半額!
- 弁護士費用の補償・トラブルの予防サポートサービス付保険
法律相談料 | 偶発事故※4 | 一般事件※5 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
なし ※1 |
70% ※2 |
70% ※2 |
1,000万円 |
- ※1 初回法律相談60分無料の弁護士を紹介
- ※2 着手金の次の①②のいずれか少ない金額
①被保険者が弁護士に支払う金額
②(基準-5万)×基本てん補割合(原則70%)
- 追加保険料0円で家族も補償
- 提携弁護士による初回60分の無料法律相談が可能
- デビットカードでの支払も対応
法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
100%※1 2.2万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
1,200万円 |
- ※1 実費
- ※2 保険金は(基準額 - 免責金額)×100%です。
報酬金:(基準)×50%
- 20分間の無料弁護士相談など付帯サービスが充実
- 親が加入すれば18歳未満の子は自動的に補償!
- プランごとに報酬金の補償設定あり
法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
実費 10万円を限度 |
実費 300万円を限度 |
補償対象外 | - |
- 保険開始から使用可能な痴漢冤罪/被害ヘルプコール付き
- 加害者になった時の対人/対物賠償保険付き
- 気軽に加入できるリーズナブルな保険料
\カンタン4社比較/