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相続の流れについて

この記事を書いた人

福谷陽子
福谷陽子元弁護士
京都大学法学部卒。
在学中に司法試験に合格、法律事務所を設立して約10年間弁護士業務に携わる。
その後法律ライターへ転身、法律知識と経験を活かしながら、各種法律メディアや法律事務所サイトで精力的に記事を執筆、監修。
webコンサル業も行っている。

詳細

「親が亡くなったのだけど、この後どのような手順で相続手続きを進めていったらいいの?」
「相続で期限のある手続きはある?気づかないうちに期限が過ぎていたら、心配…」

人が亡くなって相続が発生したら、相続人たちは各種の相続手続きを進めていかなければなりません。以下ではその流れを解説します。

相続の一般的な流れ

相続が発生したら、一般的には以下のような手順で手続きを進めます。
●死亡届提出、葬儀など
●遺言書を探す
●遺言書があれば検認
●相続人調査
●相続財産調査
●相続放棄、限定承認の申述
●遺産分割協議
●遺産分割調停、遺産分割審判
●相続税の納税
●遺留分減殺請求
●名義書換などの手続き

常に上記のすべてが必要なわけではなく、ケースに応じて対応します。
さっそくみていきましょう。

死亡届提出、葬儀など

まずは、医師からもらった死亡診断書を使って市町村役場に死亡届を提出します。引換に火葬許可証をもらえるので、それを使って遺体を火葬し、葬儀や法要を行います。

遺言書を探す

次に遺言所を探します。遺言書の有無により、引き続いての手続きが変わってくるからです。自宅や貸金庫などに自筆証書遺言や秘密証書遺言があるケースもありますし、公証役場で公正証書遺言が保管されているケースもあります。

遺言書がある場合には検認

自筆証書遺言や秘密証書遺言が発見されたら、家庭裁判所で「検認」という手続きを行います。検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態や内容を確認してもらう手続きです。遺言書によって名義書換などの諸手続を進めるために検認が必要です。また、検認せずに勝手に遺言書を開封すると過料の制裁も加えられます。
なお、公正証書遺言の場合には検認は不要です。

相続人調査

次に、相続人調査を行います。相続人調査とは、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類を集めて、被相続人の親族関係を調べることです。
これにより、被相続人の知られていなかった子ども(養子や認知した子ども、前婚の債の子どもなど)が明らかになり、相続人を確定することが可能となります。

相続財産調査

相続財産調査は、どのような遺産があるかを調べることです。被相続人の自宅や郵便物を調べたり、金融機関、証券会社へ照会したり、役所で固定資産税課税台帳を開示してもらったりして確認しましょう。

借金がある場合には相続放棄、限定承認

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相続財産を調べたところ、借金が見つかったら相続放棄や限定承認によって借金を免れることを検討すべきです。
これらの手続きには、原則的に「相続開始後3か月以内」という期限があるので、早めに決めて、家庭裁判所で「相続放棄・限定承認の申述」を行いましょう。

遺産分割協議

相続人調査と相続財産調査が終わり、相続放棄や限定承認をしないのであれば、相続人たちが集まって遺産分割協議を開始すべきです。
遺産分割協議とは、相続人が全員参加して、遺産の分割方法を話し合って決める手続きです。法定相続人が1人でも欠けると協議が無効になるので、先に相続人調査によって明らかになった相続人全員に声をかけて、確実に参加してもらいます。
話合いの方法には決まりがないので、実際に会っても電話やメールで連絡し合ってもかまいません。
全員が合意できたら「遺産分割協議書」を作成します。これは、遺産分割の結果をまとめ、相続人全員が署名押印しているもので、銀行の預貯金払戻や不動産の名義書換の際にも必要になる重要書類です。遺産分割協議書の信用性を高めるため、相続人全員が実印で押印すると良いでしょう。

遺産分割協議が成立しないとき、遺産分割調停、遺産分割審判遺産分割協議が成立しないとき、遺産分割調停、遺産分割審判

相続人が話合いをしても合意できない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停や遺産分割審判をしなければなりません。
遺産分割調停で、家庭裁判所の調停委員の介入によって合意できたら、遺産分割方法が決まります。調停でも合意できなかったら「審判」によって裁判官に遺産分割方法を決定してもらいます。

相続税の納税

相続開始後10か月以内に、相続税を申告・納税しなければなりません。
遺産分割協議が成立していなくても10か月を過ぎると滞納扱いになってしまうので、取り急ぎ法定相続分に応じて相続税を申告納税しましょう。過不足については、遺産分割協議成立後に清算することが可能です。

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