みなし残業はおかしい?違法ケースの見分け方と対処法を解説
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元行政書士のフリーライター。
行政書士・土地家屋調査士の補助者を約10年務めたのち、行政書士として独立。
相続・遺言や農地関係、建設業許可などの業務に携わる。
現在はフリーライターとして、相続・遺言、離婚、不動産関連の記事や資格予備校のコラムなど、日々積極的に執筆活動を行っている。
「誰が読んでもわかる記事」を常に心がけている。
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「みなし残業っておかしい?」
「違法じゃないの?」
みなし残業(固定残業代制)を採用している会社で働いていて、このような不安を感じていませんか?
みなし残業は法律で認められているため、運用が適切なら違法にはなりません。
しかし、雇用契約書への未記載や基本給の最低賃金割れなど、運用によっては違法になり、労働者にとって大きな不利益につながるおそれがあります。
本記事では、みなし残業が違法になり得るケースや対処法、未払いの残業代の請求手順を解説します。
最後まで読めば、自分の職場のみなし残業が違法かどうか判断でき、違法だった場合にどう対処すればよいかが明確になるでしょう。
記事の要約
- みなし残業は運用次第では違法になり得る
- 違法かどうかは、労働時間の記録や雇用契約書で確認できる
- おかしいと感じたら、労働基準監督署などに相談
- みなし残業時間の超過分が未払いのときは会社へ請求できる
「みなし残業(固定残業)」はおかしい?違法?
「みなし残業」とは、一定時間分の残業代が毎月定額で給与とともに支払われる制度で、「固定残業」とも呼ばれています。
通常の残業との違いは以下のとおりです。
| みなし残業 | 事前に定められた時間分の残業代が、毎月定額で支給される。時間いっぱい働かなくても決まった額がもらえ、超過分は別途請求できる。 |
|---|---|
| 通常の残業 | 実際に働いた分の残業代が、その都度計算されて支払われる。 |
みなし残業制度自体は、労働基準法に則って運用されているなら適法です。
しかし、運用次第では違法になる場合があります。
違法になり得るケースについては、次章で詳しく解説します。
みなし残業が違法になり得る6つのケース
みなし残業が違法になり得るのは、以下のようなケースです。
- 雇用契約書・就業規則に規定がない
- 基本給とみなし残業代の内訳が曖昧
- みなし残業時間を超過した分が未払い
- 基本給が最低賃金未満
- みなし残業時間が月45時間を超える
- みなし残業時間分の残業を強制される
上記のうちいずれかに該当する場合、会社の運用方法が違法にあたる可能性が高いです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
雇用契約書・就業規則に規定がない
雇用契約書や就業規則にみなし残業に関する規定がなければ違法です。
みなし残業の導入には、就業規則や雇用契約書への明記が必須であるためです。
また、就業規則に記載があっても、従業員に周知されていなければ就業規則が無効になる可能性があります。
例えば、就業規則の存在を従業員が知らされていなかったり自由に見られなかったりする場合は、周知義務違反にあたります。(労働基準法第106条第1項)
基本給とみなし残業代の内訳が曖昧
求人票に「基本給30万円(みなし残業代を含む)」と記載されているなど、基本給と残業代の内訳が曖昧なら違法です。
厚生労働省は、みなし残業制を採用する場合、求人票や募集要項に以下の内容を記載するよう求めています。
- みなし残業代を差し引いた基本給の金額
- みなし残業時間・金額の計算方法
- みなし残業時間を超える労働に対して追加で割増賃金を支払うこと
なお、雇用契約書(労働条件通知書)や就業規則でも同様に、基本給とみなし残業代の内訳がはっきりわかるよう記載されていなければなりません。
みなし残業が導入されているにもかかわらず記載がない場合は違法の可能性があるため、一度自分の雇用契約を確認してみましょう。
参考元:固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。|厚生労働省
みなし残業時間を超過した分が未払い
みなし残業時間を超えて残業しているにもかかわらず、超過分が支払われていなければ違法です。
みなし残業代は、あくまでも設定された時間内の労働に対する対価であり、設定時間を超えた労働は通常の残業と同じ扱いになるためです。
例えば、みなし残業時間が月20時間で実際の残業時間が月40時間なら、残り20時間分の残業代を別途受け取れます。
みなし残業時間を超えて働いてもその分の残業代が支払われないときは、会社への請求が可能です。
未払いの残業代の請求手順は、本記事内の「未払いの残業代を請求する5つのステップ」を参考にしてください。
基本給部分が最低賃金を下回る
基本給は、みなし残業代を含めない状態で最低賃金以上でなければなりません。
基本給を時給換算した金額が最低賃金未満の場合、会社は最低賃金法違反で以下のような罰則を受けます。
- 地域別最低賃金未満:50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)
- 産業別最低賃金未満:30万円以下の罰金(労働基準法第120条)
例えば東京都であれば、2025年11月26日現在の最低賃金は1,226円です。
残業時間を除いた労働時間が月160時間なら、基本給が19万6,160円以上でなければ違法ということです。
最低賃金未満の労働契約は無効であり、差額分を請求できます。
みなし残業時間が月45時間を超える
みなし残業時間に法律上の明確な上限はありません。
しかし、36協定で定められた時間外労働の上限である月45時間・年360時間がひとつの目安です。
例えば月80時間以上など、過労死ラインを超えるような設定は違法になる可能性が高いでしょう。
実際に、月83時間相当のみなし残業が公序良俗に反するとされた事件(平成27年10月22日 岐阜地方裁判所判決)や、月100時間相当のみなし残業が法令の趣旨に反するとして否定された事件(平成26年11月26日 東京高等裁判所判決)もあります。
みなし残業時間分の残業を強制される
みなし残業の時間分を消化させる目的で必要のない仕事を強制された場合は、違法になり得ます。
みなし残業でも通常の残業と同様に、業務上の必要性や正当な理由が必要です。
また、その月の残業時間がみなし残業時間を下回っていることを理由に、みなし残業代の減額・カットすることも認められていません。
違法なみなし残業への対処法
自分が行っている残業が違法なみなし残業かもしれないと感じたら、以下の方法で対処してみてください。
- 自分の労働時間を正確に把握する
- 給料明細と雇用契約書を確認する
- 労働基準監督署に相談する
- 未払いの残業代があるなら会社への請求を検討する
まずは自分の状況を把握することから始め、必要に応じて外部への相談や残業代の請求など具体的に進めていきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
自分の労働時間を正確に把握する
みなし残業の違法性が疑われるときは、まず自分の労働時間を正確に把握しましょう。
みなし残業が適正に運用されておらず、支払われるべき残業代が未払いになっている可能性があります。
正確な労働時間は、例えば以下のものから確認できます。
- タイムカード・勤務表
- 勤怠管理ソフトの記録
- オフィスの入退室記録
- パソコンのログデータ
- 業務日報
- 車の運転記録計(タコグラフ)
- 残業中に送信したメールの履歴
会社に残業代を請求する場合、労働者側が労働時間を立証する必要があります。
このような記録をできるだけ多く揃えておくと、法的手続きをする際も重要な証拠として役立ちます。
給料明細と雇用契約書を確認する
正確な労働時間が把握できたら、給料明細や雇用契約書(労働条件通知書)の内容も確認しましょう。
もしみなし残業に関する記載がない、または内容が曖昧な場合は、違法なみなし残業にあたる可能性があります。
チェックすべきポイントは以下のとおりです。
| 給料明細 |
|
|---|---|
| 雇用契約書 |
|
上記の項目がひとつでも欠けている場合は、このあと解説する労働基準監督署や総合労働相談コーナーといった窓口に相談してみましょう。
未払いの金額が大きい、会社とトラブルになりそうといったケースは、弁護士への相談も検討しましょう。
労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する
勤め先のみなし残業に違法性が疑われる場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する方法があります。
法律上問題があるかの目安を教えてもらえるほか、必要に応じて会社への指導や是正勧告が行われることもあります。
労働基準法違反の申告を受け、企業への調査や指導、是正勧告を行う行政機関。
みなし残業を含む労働条件全般について、電話や対面で幅広く相談に乗ってくれる窓口。
どちらも無料で相談できます。
一般的な相談であれば匿名でも可能ですが、具体的な調査や是正を求めるときは実名での申告のほうが動いてもらいやすいでしょう。
ただし、これらの窓口は違法な状態に対する指導や是正を目的としているため、相談者の代わりに未払いの残業代を請求してくれるわけではありません。
未払いの残業代を回収したいときは、別途自分で請求する必要があります。
お住まいの地域の労働基準監督署・総合労働相談コーナーは以下から検索できます。
都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
総合労働相談コーナーのご案内
未払いの残業代があるなら会社への請求を検討する
みなし残業時間を超えて働いているにもかかわらず、超過分の残業代が支給されていない場合は、未払いの残業代を会社に請求できます。
請求の際は、労働時間の記録や給料明細などの証拠を揃えたうえで、内容証明郵便で請求書を送付するのが一般的です。
具体的な手順については、次章で詳しく解説します。
未払いの残業代を請求する5つのステップ
未払いの残業代を会社に請求する場合は、主に以下の手順で手続きします。
- 1. 証拠を集める
- 2. 請求金額を計算する
- 3. 内容証明郵便を送付する
- 4. 会社と交渉する
- 5. 法的手続きを検討する
順番に見ていきましょう。
1.証拠を集める
まずは、超過分の残業代が支払われていないことを立証できる証拠を集めます。
本記事内の「自分の労働時間を正確に把握する」を参考に、できる限り多くの証拠を集めましょう。
どのように集めればよいかわからないときや証拠になるものを会社が管理しているときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナー、弁護士に相談すればアドバイスをもらえます。
ただし労働基準監督署や総合労働相談コーナーは、会社への開示請求や交渉の代理まではできません。
会社への開示請求や交渉も任せたいときは、弁護士への相談がおすすめです。
多くの法律事務所は無料相談を実施しているため、証拠がない、集められないからと諦めず、一度相談してみるとよいでしょう。
万一の交渉・請求に備えるなら、弁護士費用をカバーできる弁護士保険の加入も検討してみてください。
2.請求金額を計算する
証拠が揃ったら、未払い残業代の金額を計算します。
みなし残業時間を超えた部分について、以下の計算式で超過分の残業代を求めます。
1時間あたりの賃金は、以下のように計算します。
※除外手当:家族手当・通勤手当・住宅手当など
以下の条件で計算してみましょう。
- みなし残業代:5万円
- 除外手当:なし
- 月平均所定労働時間:150時間
- みなし残業時間:20時間
- 実際の残業時間:30時間
この場合、2万825円の残業代を請求できます。
1,666円×10時間×1.25=2万825円
計算が複雑で難しいときは、弁護士に相談して正確な金額を算出してもらうことをおすすめします。
3.内容証明郵便を送付する
未払いの残業代がいくらかわかったら、会社に対して請求書を送付します。
このとき、一般的なのが内容証明郵便を利用する方法です。
内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が証明してくれるサービスです。
残業代を請求した事実を残せるだけでなく、「給料日の翌日から3年」の時効期間を6カ月間猶予できるメリットもあります。
内容証明郵便には、以下のような内容を記載します。
- 文書のタイトル(請求書・催告書など)
- 入社日(すでに退職している場合は退職日)
- 未払い残業代を請求する旨
- 請求対象の期間
- 未払い残業代の金額
- 支払い方法
- 支払い期限
- 支払われない場合に法的措置をとる旨
- 日付
- 会社の所在地・代表者氏名
- 請求者の住所・氏名
内容証明郵便は自分でも作成できますが、1行あたりの文字数や1枚あたりの行数が決まっているなど細かいルールがあります。
心配なら、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
4.会社と交渉する
内容証明郵便を送付したら、会社と直接交渉します。
残業代を計算した際の根拠資料を提示しながら、話し合いで解決を目指します。
残業代の支払いについて合意できた場合は、合意書や和解書といった書面を作成しましょう。
口頭だけの約束では、あとから「言った・言わない」のトラブルになるおそれがあります。
合意書や和解書には、以下のような内容を記載します。
- 未払い残業代の金額
- 支払い方法
- 支払い期限
- 分割の場合は回数と金額
- 清算条項(この合意以外に債権債務がないことを確認する条項)
個人での交渉が難しい場合や会社が誠実に対応してくれないときは、弁護士に交渉を任せるのも有効な手段です。
弁護士には、合意書や和解書の作成や内容のチェックも依頼できます。
5.法的手続きを検討する
会社が請求に応じない場合は、労働審判や訴訟などの法的手続きを検討しましょう。
労働問題を短期間で解決するための制度。まずは調停委員を挟んで話し合い、合意できない場合に裁判所が審判を下す。通常の裁判が1年以上かかるのに対し、原則3回の期日で結論が出るため2〜3カ月程度で終了することもある。
双方が証拠や主張を出し合い、裁判官が最終的な判断を下す手続き。最初から訴訟を選択するか、労働審判の審判結果にどちらかが異議を申し立てることで移行する。半年〜1年以上かかることが多く手続きも複雑であるため、弁護士のサポートが不可欠。
どちらの方法を選ぶべきか、自分で判断するのが難しいケースもあるでしょう。
内容や証拠の状況、解決までにかけられる時間などを総合して考える必要があるため、迷ったときは弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
弁護士に相談すべきケースと費用
違法なみなし残業でトラブルになった場合、状況によっては弁護士に依頼したほうがよいケースもあります。
ここでは、弁護士に相談すべきケースと気になる弁護士費用の目安について解説します。
弁護士に相談すべきケース
以下のケースに当てはまる場合は、弁護士への相談を検討することをおすすめします。
- 未払い残業代が高額
- 会社が交渉・請求に応じない
- 会社から嫌がらせを受けている
- 証拠が不十分・自分で集めるのが難しい
- 計算が複雑・正確な金額がわからない
- できるだけ早く解決したい
特に、請求額が100万円を超える場合や、会社が内容証明郵便を無視するような場合は、弁護士の介入が有効です。
弁護士名義での請求は相手にプレッシャーを与えるため、会社の対応が変わる可能性があります。
また、タイムカードがないなど証拠集めに困っているときも、弁護士であれば会社への開示請求や文書提出命令の申立てが可能です。
なお、弁護士に相談したからといって、必ずしも依頼する必要はありません。
まずは気軽に相談し、自分のケースで弁護士への相談が必要かどうかを判断するとよいでしょう。
弁護士費用の目安
弁護士費用は依頼する事務所によって異なりますが、残業代請求の一般的な相場は以下のとおりです。
| 法律相談料 | 1時間あたり5,000円〜1万円程度 ※初回無料の事務所もあり |
|---|---|
| 着手金 | 20万円〜30万円程度 ※着手金無料の事務所もあり |
| 成功報酬 | 2回収額の10〜30%程度 |
| 日当 | 半日:3万円〜5万円 1日:5万円〜10万円 |
| 実費(交通費・郵便代・印紙代など) | 数千円〜 |
例を見てみましょう。
- 着手金:30万円
- 成功報酬:60万円
- 実費・日当:5万円
合計:95万円
この場合、手元に残るのは205万円です。
ただし、残業代の金額や弁護士費用によっては費用倒れになる可能性もあるため、依頼前に「いくら回収できそうか」「費用はいくらかかるか」を必ず確認しておきましょう。
労働トラブルには弁護士保険で備えよう
弁護士への依頼を考えたとき、どうしても弁護士費用が気になるという方も多いでしょう。
そのようなときに備えられるのが「弁護士保険」です。
弁護士保険は、法的トラブルで弁護士に相談・依頼したときの費用の一部を補償してくれる保険です。
加入時点ですでに発生しているトラブルについては対象になりませんが、普段から備えておけば、もしものときも費用を抑えて弁護士に相談・依頼でき、費用倒れのリスクも軽減できます。
具体的な商品や補償内容を比較したい場合は、こちらのページを参考にしてください。
まとめ
違法なみなし残業の見分け方や対処法について解説しました。
みなし残業は、きちんとルールを守って運用されていれば違法ではありません。
しかし雇用契約書や就業規則への記載がない、超過分の残業代が支払われないなど、誤った方法で運用されている場合は違法になる可能性があります。
まずは自分の労働時間や給料明細、雇用契約書の内容を確認し、おかしいと感じたときは労働基準監督署や総合労働相談コーナー、必要に応じて弁護士への相談も検討しましょう。
弁護士費用をカバーできる弁護士保険で日ごろから備えておけば、いざというときも一歩を踏み出しやすくなります。
みなし残業に関するよくあるご質問
みなし残業は違法ですか?
みなし残業制度自体は、労働基準法に則って運用されているなら適法です。
ただし運用次第では違法になる場合があります。
みなし残業が違法になるケースはありますか?
雇用契約書への未記載、基本給との内訳が曖昧、超過分の未払いなどが該当します。
基本給が最低賃金未満の場合も違法です。
みなし残業時間を超えた分の残業代は請求できますか?
みなし残業時間を超えて残業している場合、超過分の残業代を別途請求できます。
設定時間を超えた労働は通常の残業と同じ扱いになるためです。
違法なみなし残業への対処法はありますか?
まず労働時間と契約書を確認し、違法性が疑われる場合は労働基準監督署に相談しましょう。
未払いの残業代があれば会社への請求も検討できます。
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100%※2 100万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
1,200万円 |
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補償対象外 | - |
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