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懲戒解雇になったらどうする?再就職はできる?|対処法について解説

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懲戒解雇になったらどうする?再就職はできる?|対処法について解説

この記事を書いた人

鷹見ゆり
鷹見ゆり
元行政書士のフリーライター。
行政書士・土地家屋調査士の補助者を約10年務めたのち、行政書士として独立。
相続・遺言や農地関係、建設業許可などの業務に携わる。
現在はフリーライターとして、相続・遺言、離婚、不動産関連の記事や資格予備校のコラムなど、日々積極的に執筆活動を行っている。
「誰が読んでもわかる記事」を常に心がけている。

さまざまな理由から懲戒解雇されてしまい、「再就職できるのか」「人生終了した」などと途方にくれていませんか?
確かに、「懲戒解雇された」という経歴があると、通常より再就職へのハードルが上がってしまいます。
しかし懲戒解雇されても再就職は可能です。
実際に、懲戒解雇されたあと、何度も面接で落とされながらも再就職を果たした人はたくさんいます。
この記事では、懲戒解雇がバレる理由やバレたらどうなるか、再就職するためのコツについて解説します。
記事を最後まで読むことで希望をもって再就職活動ができ、再就職という目標に向かって大きく前進できるでしょう。

記事の要約

  • 懲戒解雇されても再就職は可能だが難しくなる可能性が高い
  • 懲戒解雇の事実は履歴書には記載せず、面接で正直に打ち明けるのがベスト
  • 闇雲に応募し続けるのではなく、落ちた分析や試行錯誤が重要
  • 懲戒解雇が不当解雇の可能性があるなら、弁護士に相談して解雇の撤回を目指す
  • 万が一再就職できなくても、起業やフリーランスといった道もある

懲戒解雇されても再就職は可能!しかし難しくなる可能性が高い

懲戒解雇にあい、「再就職できないのではないか」「人生終わりなのではないか」と絶望してしまう人は少なくありません。
しかし懲戒解雇されても再就職は可能です。
実際、前職で懲戒解雇を受けたあとに再就職を果たした人は大勢います。
とはいえ、通常より再就職しにくくなることは確かです。
再就職先にとって、懲戒解雇された人の採用にはリスクがあり、「また何かしでかすのではないか」という不安が付きまとうためです。
そのためすすんで「採用したい」と思ってもらうには、マイナスのイメージを覆すほどのアピールポイントが必要でしょう。
なお、「懲戒解雇の事実がバレなければ問題ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、まったく予期せぬところでバレてしまう可能性もあるため、懲戒解雇された事実を100%隠し通すことは困難です。
また、うまく隠して採用まで漕ぎ着けたとしても、今度は「いつバレるか」という不安と戦わなければなりません。
懲戒解雇がバレる可能性のある理由については、次章で詳しく解説します。

懲戒解雇はバレる?バレる可能性のある7つの理由

懲戒解雇されたことは、再就職先にバレる可能性があります。
その理由は以下のとおりです。

1. 履歴書に「懲戒解雇」と記載する
2. 面接で前職の退職理由について聞かれる
3. 離職票・退職証明書を提出するよう求められた
4. リファレンスチェックが行われた
5. 入社後の何気ない会話がきっかけで知られてしまった
6. SNSに懲戒解雇されたとわかる内容の投稿をした
7. 前職の同僚から噂が流れた

それぞれ解説します。

履歴書の職歴欄に「懲戒解雇」と記載すると、当然懲戒解雇の事実がバレます。
懲戒解雇を受けたときの退職理由については、「会社都合」もしくは「懲戒解雇」などと記載することもありますが、退職理由を履歴書に記載しなければならないとするルールはありません。
そのため履歴書には「退職」とだけ記載すればよいでしょう。
ポイントは、履歴書には退職とだけ記載し、面接に進んだときに懲戒解雇について話すことです。
「懲戒解雇」と記載すれば書類選考で落ちてしまう可能性が高く、面接に進めなければ挽回もできません。
なお、「一身上の都合により退職」と記載すると経歴詐称になる可能性があるため、記載しないよう注意してください。

2.面接で前職の退職理由について聞かれる

面接時に前職の退職理由について聞かれ、正直に答えたために懲戒解雇がバレるケースも少なくありません。
退職理由について質問される可能性は高く、聞かれたら正直に答えるしかないためです。
かといって懲戒解雇されたことだけを伝えるとマイナスの印象しか与えられないため、「懲戒解雇されたものの、過ちを繰り返さないようこのような努力をしている」というように、アピールポイントに転換できる返答をあらかじめ用意しておくことをおすすめします。

3.離職票・退職証明書を提出するよう求められた

「離職票」や「退職証明書」を再就職先に提出したことで、懲戒解雇がバレてしまうこともあります。
退職理由が懲戒解雇の場合、離職票には通常「重責解雇」にチェックが入り、退職証明書にも退職理由が記載されるためです。

離職票
(雇用保険被保険者離職票)
退職したことを証明する書類のこと。会社は、退職者が不要だと言わない限り発行しなければならない。
退職証明書 離職票と同様に、退職したことを証明する書類を指す。退職者の求めがなければ会社側に発行する義務はないため、希望しなければ発行されない場合がある。

ただし、離職票や退職証明書の提出を求める会社はそう多くありません。
もし提出を求められたとしても、本来離職票は失業手当の手続きでハローワークに提出する以外使い道のない書類です。
ハローワークに提出してしまい手元にないときは、事情を話せば提出を回避できる可能性があります。
退職証明書に関しては、通常以下の項目が記載されますが、不利な項目を記載しないようにしてもらうことが可能です。
労働者が請求していない項目を記載してはならないと法律で定められているためです。(労働基準法第22条第3項)

  • その会社で働いていた期間
  • 従事していた業務
  • その会社での最終的な役職
  • 直近の賃金
  • 退職した理由

たとえば、退職した理由だけを記載しないよう依頼すれば、退職証明書を見ても退職理由はバレません。
再就職先から退職理由を記載するよう言われてしまうと隠しようがありませんが、そもそもそのようなケースはまれでしょう。

4.リファレンスチェックが行われた

「リファレンスチェック」が行われたことで、懲戒解雇がバレるケースもあります。
リファレンスチェックとは、応募した会社が応募者の前の職場に問い合わせ、前職での仕事ぶりや実績、退職理由などを確認することです。
すべての会社が実施するわけではなく在籍確認のみ行われることもありますが、行われれば退職理由がバレる可能性が高いため、履歴書や面接などで嘘をつかないほうがよいでしょう。
なお、リファレンスチェックは通常本人の同意を得たうえで行われます。
そのため拒否はできますが、「聞かれてまずいことがあるのではないか」と疑われるおそれがあるため、拒否をするなら相当の理由が必要でしょう。
注意したいのは、リファレンスチェックが応募者に無断で行われたケースです。
同意していないにもかかわらず勝手にチェックされた場合、前の職場と再就職先の双方が個人情報保護法に違反する可能性があります。(個人情報保護法第23条・個人情報保護法施行規則第17条)
無断でリファレンスチェックが実施されたときは、労働問題や個人情報保護法に精通した弁護士に今後の対応を相談することをおすすめします。

5.入社後の何気ない会話がきっかけで知られてしまった

入社後、何気ない会話の中で懲戒解雇のことを知られてしまう可能性もあります。
たとえば仲の良い同僚に自ら話してしまったり、失業手当の話題から退職理由を推測されたりといったケースです。
信用できると思っている同僚でも、秘密を守ってくれるとは限りません。
また、失業手当については、会社の倒産や通常の解雇が退職理由の場合を指す「特定受給資格者」と比べて、受給開始のタイミングが遅くなります。

受給資格の種類 受給開始のタイミング
特定受給資格者 申込後7日間の待機期間が経過したあと
自己都合で退職した人 申込後7日間の待機期間+2〜3カ月経過したあと
懲戒解雇で退職した人 申込後7日間の待機期間+3カ月経過したあと

前職の退職理由が「会社都合」であると伝えてあった場合に「3カ月待たないと受給できなくて…」などと話すと、会社都合は会社都合でも、懲戒解雇だったということに気づく鋭い人がいる可能性もあります。

6.SNSに懲戒解雇されたとわかる内容の投稿をした

SNSで懲戒解雇されたとわかる内容の投稿をしてしまうと、再就職先の人に懲戒解雇の事実がバレてしまうおそれがあります。
知人や友人に特定されないようアカウント名を本名以外の名前にしていても、普段の投稿から身元が特定されてしまう可能性もあるため注意しましょう。
もしすでに懲戒解雇されたとわかる投稿をしてしまっているなら、念のため削除しておくことをおすすめします。

7.前職の同僚から噂が流れた

前職の同僚から噂が流れるケースも考えられます。
たとえば以下に該当する場合は要注意です。

  • 前職の会社と再就職先が同業種
  • 前職の会社と再就職先との間に取引がある
  • 社長同士が知り合い

噂はどこからどのように広まるかわかりません。
リスクを回避したいなら、できるだけ前職の会社と関係のない会社への再就職を検討したほうがよいでしょう。

懲戒解雇がバレたらどうなる?結局職を失うおそれがある点に注意

懲戒解雇されたことを隠し通し、無事採用まで漕ぎ着けたとしても、入社後にバレて問題になるパターンもあります。
懲戒解雇がバレた場合、職を失ってしまうおそれがあるため「採用されればこっちのもの」というわけにはいきません。
懲戒解雇がバレた結果職を失うのは、以下の3パターンです。

  • 「経歴詐称」で新たな職場でも懲戒解雇される
  • 信用を失い職場に居づらくなる
  • 自主退職を促され退職せざるを得なくなる

それぞれ解説します。

「経歴詐称」で新たな職場でも懲戒解雇される

1つ目は、「経歴詐称」で新たな職場でも懲戒解雇されるパターンです。
経歴詐称は、多くの会社で懲戒事由として就業規則に定められています。
厚生労働省のモデル就業規則でも、「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」を懲戒解雇とするとしています。
懲戒解雇は会社側が従業員に下す処分の中でもっとも重いものであるため、そう簡単にはできません。
しかし就業規則に懲戒解雇に関する定めがあり、その経歴詐称が重大なものである場合は経歴詐称を理由に懲戒解雇される可能性がある点に注意しましょう。
なお、重大な経歴詐称とは、会社側が経歴詐称であると事前に知っていたら、その人を採用しなかったようなケースをいいます。
「嘘はついていないが、面接で聞かれなかったため伝えなかった」というケースなら経歴詐称になりませんが、退職理由を偽っていた場合は懲戒解雇の対象になる可能性があることを肝に銘じておきましょう。
参照:モデル就業規則|厚生労働省

信用を失い職場に居づらくなる

2つ目は、社内での信用を失い職場に居づらくなるパターンです。
懲戒解雇にならなくても、過去の懲戒解雇がバレて噂が社内に広まれば、「重要なことを隠していた」「嘘をついて入社した」といった悪いイメージがついてしまうおそれがあります。
その結果自分の居場所がなくなってしまい、自分から退職を選択せざるを得なくなることも考えられるでしょう。

退職勧奨を受け退職せざるを得なくなる

3つ目は、退職勧奨を受け退職せざるを得なくなるケースです。
退職勧奨とは、会社側が従業員に対して退職を促すことをいいます。
経歴詐称とまではいえなくても、懲戒解雇がバレたことで社内での信用がなくなると、退職勧奨を受ける可能性があることを念頭に置いておきましょう。
ただし、「退職しなければ懲戒解雇する」「退職しなければ退職金を支給しない」というような脅しを受けたときは会社側の対応が違法になる可能性があり、強迫を理由として取り消せる場合があります。
明らかな脅しを受けた場合は、弁護士への相談をおすすめします。

懲戒解雇された人が再就職するための6つのコツ

懲戒解雇された人が再就職するためのコツは以下のとおりです。

1. 自分の強みを見つける
2. 履歴書には「退職」とだけ記載する
3. 退職理由を正直に話す
4. 落ちたらなぜ落ちたかを分析する
5. 落ちても諦めず就きたい仕事に応募し続ける
6. 懲戒解雇の無効を主張する

それぞれ解説します。

1.自分の強みを見つける

自分を見つめ直し、自分の強みを見つけましょう。
懲戒解雇された人が採用されるには、「懲戒解雇された」という大きなマイナスを打ち消すほどの「採用するメリット」を作る必要があるためです。
懲戒解雇された人の多くは懲戒解雇されたことに引け目を感じ、自信を失っています。
そのせいで再就職がうまくいかないケースも少なくありません。
これまで自分が積み重ねてきたことや得意なこと、人よりも優れていることをピックアップし、アピールポイントを探すところから始めましょう。
「自分の強み・アピールポイントと言われてもよくわからない」という場合は、キャリア相談を活用するのがおすすめです。
キャリア相談とは、仕事や転職、キャリアプランに関する専門家に、職業選択やキャリア形成について相談できるサービスのことです。
キャリア相談は、たとえば以下の施設やサービスで受けられます。

  • ハローワーク
  • 転職エージェント
  • キャリア形成・リスキリング支援センター
  • 民間が行っている有料のキャリア相談サービス

民間のキャリア相談サービス以外は無料で利用できます。
一度相談してみるとよいでしょう。

2.履歴書には「退職」とだけ記載する

履歴書には「退職」とだけ記載しましょう。
「懲戒解雇」と記載すると書類選考で落とされてしまい、挽回のチャンスを失うためです。
1.履歴書に「懲戒解雇」と記載する」でも解説したとおり、「一身上の都合により退職」などと嘘の退職理由を記載してしまうと経歴詐称になってしまいますが、「退職」であれば嘘にはなりません。
余計なことは記載せず、大切なことは面接で話すようにしましょう。
なお、逮捕歴や前科が原因で懲戒解雇になった人については、履歴書の「賞罰欄」に内容を記載しなければなりません。
しかし記載すれば落とされてしまうため、履歴書のフォーマットが指定されていないのであれば、賞罰欄のないフォーマットを使用することをおすすめします。
前科・前歴がある場合の就活の進め方については、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】逮捕歴があると就職で不利?|前科・前歴がある場合の就活の進め方について解説

3.退職理由を正直に話す

退職理由は正直に話しましょう。
非常に勇気のいることであり難しいことでもありますが、懲戒解雇されたことを打ち明けたうえで採用されれば、あとは何の心配もなく新しい環境で頑張れるためです。
もっともしてはならないのは、退職理由を聞かれたにもかかわらず嘘の理由を伝えることです。
嘘をつくと経歴詐称になり、内定を取り消されたり採用後に懲戒解雇されたりといったことが考えられます。
ここで「聞かれなければ黙っていても問題ないのか?」と思う人もいるでしょう。
たしかに、退職理由について何も聞かれなかった場合、進んで自分から言わなければならないルールはありません。
しかし、前職の退職理由は多くの場合聞かれます。
また、聞かれなかったとしても、隠したまま採用されてしまうと、今度は「バレたらどうしよう」という不安が付きまといます。
仕事に集中できない可能性や、働き始めてからバレてトラブルになるおそれもあるため、あとあとのことを考えると面接で正直に話したほうがよいでしょう。
面接の際に退職理由を話す際は、以下のことに注意しましょう。

  • 言い訳はしない
  • まずは簡潔に話し、詳細は面接官からの質問に答えるかたちで話す
  • 反省していることや、懲戒解雇された経験を今度どのように活かすかを誠実に伝える

面接官も人間です。
きちんと話せば、わかってもらえることもあります。
退職理由の伝え方については、キャリア相談で指導を受けながら考えてもよいでしょう。

4.落ちたらなぜ落ちたかを分析する

落ちてしまったら、なぜ落ちてしまったかを分析しましょう。
不採用になった理由は、懲戒解雇だけが原因とは限らないためです。
「懲戒解雇の経歴さえなければ受かっていたのに…」と思うかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
たとえば、懲戒解雇に加え、以下の理由で不採用になっている可能性があります。

  • 自信がなさそうに見える
  • ビジネスマナーがなっていない
  • 言動が矛盾している
  • 志望動機が薄い
  • 会社について深く調べていない
  • 「この会社で働きたい」という熱意が感じられない

不採用になったあと何の改善もしないまま、闇雲に応募していては一向に採用されません。
懲戒解雇された事実は変えられないため、それ以外の部分で「何がいけなかったのか」を考え、改善していくことが再就職への近道です。

5.落ちても諦めず就きたい仕事に応募し続ける

選考で何度落とされても諦めず、就きたい仕事に応募し続けることが大切です。
ポイントは、「就きたい仕事に応募すること」です。
「雇ってもらえるならどんな会社でもいい」と思って手当たり次第に応募してしまいがちですが、そのような考えではなかなかうまくいきません。
また、懲戒解雇されていてもいなくても、そう簡単に採用されないのは同じです。
「まともに働くのは無理なんだ」と諦めず、転職エージェントや転職サイトを利用してどんどん応募していきましょう。

6.懲戒解雇の無効を主張する

懲戒解雇がもし不当解雇なら、懲戒解雇の無効を主張しましょう。
無効が認められれば「懲戒解雇で退職した」という不名誉な経歴がなくなり、再就職しやすくなります。
それだけでなく、会社から解決金や増額された退職金を受けられる可能性もあります。
懲戒解雇には厳格な条件があり、簡単にできるものではありません。
労働契約法でも、解雇について以下のように定められています。

(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
参照:労働契約法|e-Gov法令検索

懲戒解雇が不当解雇にあたる可能性があるのは、以下のようなケースです。

  • 就業規則に記載がない理由で懲戒解雇された
  • 「懲戒解雇」という処分が重すぎる
  • 弁明の機会も与えられず一方的に解雇された

上記のいずれかに該当するときは、不当解雇として無効になる可能性があります。
懲戒解雇に納得がいかないときは、労働問題が得意な弁護士に相談しましょう。
不当解雇の可能性がある場合の対処法については、次章で詳しく解説します。

不当解雇の可能性がある場合の対処法

懲戒解雇が不当解雇に該当する可能性がある場合、以下の手順で対処しましょう。

1. 弁護士に相談する
2. 不当解雇の証拠を集める
3. 前の職場と交渉する
4. 民事調停または労働審判を申し立てる
5. 調停・審判でまとまらないなら訴訟を提起する

順番に解説します。

1.弁護士に相談する

不当解雇の可能性があるなら、労働問題に精通した弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すると、そもそも懲戒解雇が不当かどうかの判断や、これからどのように行動すべきかのアドバイスをしてくれます。
また、正式に依頼すれば、このあと行われる前の職場との交渉や調停、訴訟などでの手続きを一任できます。
自分で前の職場と交渉するとなると、精神的に大きな負担がかかるでしょう。
懲戒解雇の撤回を求めても、会社側が応じてくれるとは限りません。
しかし弁護士に代理人として交渉してもらえば、前の職場と接することなく進めてもらえるうえ、会社側も無下にはできないはずです。
なお、弁護士に依頼すると当然費用がかかりますが、「弁護士保険」に加入している場合はかかった弁護士費用が補償されます。
弁護士保険の詳細については、以下を参考にしてください。

【2025年】弁護士保険を比較 人気ランキングから保険料、補償比較|弁護士保険ステーション トラブル別でおすすめの弁護士保険をご紹介

2.不当解雇の証拠を集める

懲戒解雇が不当解雇であると立証するために、証拠を集める必要があります。
以下の書類や資料を用意しましょう。

  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 解雇通知書
  • 解雇理由証明書または退職証明書(解雇になった会社に請求する)
  • 人事評価書・賞与計算書
  • 退職勧奨を受けた際の音声データ
  • 懲戒解雇に関するやりとりがわかるメール・書面

雇用契約書や就業規則は、懲戒解雇の効力を争うときに必要になります。
雇用契約書や就業規則に、実際に受けた懲戒解雇事由が記載されているかどうか確認しましょう。
就業規則は、従業員それぞれに交付されている場合もありますが、事業所に貼り出されていたり従業員がいつでも目にできる場所に置かれていたりするケースもあります。
交付されていなければ、会社に問い合わせてみましょう。
解雇理由証明書や退職証明書を入手するには、従業員側から会社に請求しなければなりません。
自動的に発行されるものではない点に注意が必要です。
なお、解雇理由証明書を発行してもらえるのは、解雇予告を受けた日から退職日までです。
退職日以降は退職証明書が発行されます。
会社に請求する際は、記録が残るようメールでの請求をおすすめします。

3.前の職場と交渉する

証拠が揃ったら前の職場と交渉し、懲戒解雇の撤回を求めます。
弁護士に依頼した場合は弁護士が代わりに交渉してくれるため、依頼者本人が交渉に加わる必要はありません。
その間に再就職活動できる点は大きなメリットでしょう。
交渉の結果合意に至ったときは、懲戒解雇を撤回する内容の合意書や示談書を作成してもらいます。
懲戒解雇が撤回されれば、前の職場に戻るのもそのまま退職するのも自由です。
労働者が以下のうちどちらかを選択し、解決とするのが一般的です。

  • 前の職場に戻り、解雇されてから交渉成立までの賃金(バックペイ)をもらう
  • 退職に同意し前の職場を去る代わりに解決金をもらう

「戻って気まずい思いをしたくない」と思うなら、そのまま再就職活動を継続するとよいでしょう。
この場合、懲戒解雇は撤回されているため堂々と面接を受けられます。

4.民事調停・労働審判を申し立てる

前の職場と和解できなければ、裁判所に民事調停や労働審判を申し立てる方法があります。

民事調停 調停委員を介し、話し合いで解決を目指す方法。双方が合意すれば調停調書が作成され調停は終了するが、話し合いがまとまらなければ不調に終わる。
労働審判 労働審判官1名・労働審判員2名で構成された「労働審判委員会」によって行われる手続き。訴訟とは違い、非公開にできる。原則3回以内の審理で終了するため、スムーズな問題解決を目指せる。

民事調停はあくまでも話し合いであるため、合意できない場合は調停不成立で終了します。
調停で解決しなければ、労働審判か訴訟で解決を目指します。
労働審判は、会社・労働者間の労働トラブルのみを対象とした手続きです。
労働問題でも、たとえば上司と部下などの労働者同士は対象になりません。
民事調停は当事者が顔を合わせることなく行われますが、労働審判の場合は当事者が同時に呼び出され、それぞれが労働審判委員会に対して意見を主張します。
当事者が合意できないときは審判が下されますが、納得がいかなければ異議申し立てが可能です。
その場合は訴訟(労働裁判)に移行します。

5.調停・審判でまとまらないなら訴訟によって解決を目指す

民事調停でも労働審判でも解決しない場合は、訴訟(労働裁判)によって解決を目指します。
訴訟は、調停や審判を経ていなくても申し立てが可能です。
ただし訴訟は判決を得るまでに時間がかかる傾向にあり、1年以上かかるケースも少なくありません。
少しでも早く問題を解決するため、話し合いが可能なケースであれば、先に交渉や民事調停、労働審判を行うのが一般的です。

懲戒解雇=人生終了・死刑宣告ではない!再就職できなかったときの選択肢

懲戒解雇されると「人生終了」「死刑宣告」などといわれることもありますが、そのようなことはありません。
確かに、懲戒解雇された人が退職理由を明かしたうえで採用されるのは難しいでしょう。
懲戒解雇された人全員が100%再就職できるとは限りません。
しかし懲戒解雇後の選択肢は、何も再就職だけではありません。
ここでは、再就職できなかったときの選択肢を紹介します。

起業・フリーランスになる

どこも雇ってくれないなら、思い切って起業したりフリーランスとして働く方法もあります。
自分で事業をやるのであれば、懲戒解雇された過去など気にする必要がないためです。
「自分で事業をするのはハードルが高い」と思うかもしれませんが、たとえば以下のようなプラットフォームで仕事を受注し、実績を積んでフリーランスに転身する人は珍しくありません。

  • 「クラウドワークス」「ランサーズ」などのクラウドソーシングサイト
  • 「Uber Eats」「出前館」などのフードデリバリーサービス

はじめから大きくは稼ぐことは簡単ではありませんが、中には会社員時代とは比べものにならないほど大きく稼げるようになる人もいます。
起業後、懲戒解雇された会社から嫌がらせを受けるケースもありますが、当然違法であるため会社からの嫌がらせをおそれて起業を諦める必要はありません。
実際、起業した元従業員に対し、過去に懲戒解雇した会社が懲戒解雇の事実を文書として配布した事件では、会社が名誉毀損罪に問われています。(宮崎地方裁判所都城支部・令和3年4月16日判決)

理解してくれている友人・知人の仕事を手伝う

理解してくれている友人・知人の中に事業を行っている人がいれば、仕事を手伝わせてもらうのもひとつの手段です。
事情をわかってくれていれば、取り繕う必要はありません。
雇ってくれたことに感謝し、日々の仕事で返していくだけです。
知人や友人から仕事を紹介してもらうのもよいでしょう。

まとめ

懲戒解雇になった場合に再就職できるのかや、再就職するためのコツについて解説しました。
懲戒解雇されても、再就職は可能です。
ただし、通常より難しくなる可能性が高いことを覚悟しておきましょう。
懲戒解雇された事実を隠して応募すれば、そう苦労せず採用されるかもしれません。
しかしそれでは、「採用後に懲戒解雇されたことがバレたらどうしよう」という不安が残ってしまいます。
やはりベストなのは、前職での退職理由を正直に話したうえで採用をもぎ取ることです。
もちろん簡単なことではありませんが、何度も面接を受けるうちに退職理由をどのように話せばよいかが掴めてきます。
諦めず誠実に対応していれば、結果はついてくるでしょう。
ポイントは、ひとりで悩まないことです。
転職エージェントやハローワークでアドバイスをもらいながら、再就職活動を進めることをおすすめします。

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