遺言書が無い場合は、相続はどうなるの?
2018年03月30日
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父が亡くなり、相続することになった。
父は、生前、万一に備えて遺言書を書いておくつもりだと言っていたけれど、急に病気が悪化したため、遺言書を書く余裕がなかったようだ。
遺言書がない場合は、相続は、どのように行われるのだろうか?
法定相続制度とは?
遺言書がある場合は、被相続人(相続される人)の意思を尊重して、遺言書が優先されることになります。
これに対し、遺言書がない場合は、民法が定める法定相続人が、法定相続分という割合によって相続します。これを法定相続制度と言います。
法定相続人とは?
法定相続人には、2つの種類があります。
第一に、血族相続人です。血族相続人は、3種類があります。
①子又は、その代襲相続人、②直系尊属(父母、祖父母)、③兄弟姉妹又はその代襲相続人です。
血族とは、生物としての血縁関係だけでなく、法律上の血縁関係も含みます。これを法定血族といい、養子縁組をした養親子の関係がそれです。
代襲相続というのは、例えば、相続の時に、子がすでに死亡している場合、その子である孫に相続を認めるものです。
つまり、法定相続人となるはずであった者が、相続時に存在しないときに、それを引き継ぐ立場にあるものに、かわりに相続をさせる制度です。
子だけでなく、孫も死亡しているときは、曾孫に代襲相続が認められます。これを再代襲相続といいます。
代襲相続は兄弟姉妹にも認められますが、この場合の代襲相続は一代限りであり、再代襲はありません。つまり、兄弟姉妹においては、代襲相続は甥姪までです。
血族相続人には、優先順位があります。
先順位者がいれば、後順位者は、相続人にはなれません。
優先順位は、①子又は、その代襲相続人、②直系尊属、③兄弟姉妹又はその代襲相続人の順番です。
次に、法定相続人の第2類型は、配偶者相続人(夫、妻)です。配偶者相続人は、常に、血族相続人と並んで、相続人となります。
法定相続分とは?
法定相続人が、どのような割合で、遺産を取得するかを定めたものが、法定相続分です。
これは、誰が相続人となるかで、次のように定められています。
配偶者と子が相続人の場合 配偶者2分の1 子2分の1
配偶者と直系尊属の場合 配偶者が3分の2 直系尊属が3分の1
配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者が4分の3 兄弟姉妹が4分の1
尚、子、直系尊属、兄弟姉妹が複数人いる場合は、人数分の頭割りとなります。
例えば、相続人が、配偶者と父母の場合、父母の法定相続分は、(3分の1)☓(2分の1)で、1人あたり6分の1となります。
ただし、兄弟姉妹の中に、両親が共通しない者(半血兄弟姉妹)がいる場合は、両親が共通する者(全血兄弟姉妹)の半分となります。
遺産分割協議が必要
このように、法定相続人と、その法定相続分は、民法が定めています。
しかし、実際の遺産を分ける際には、すんなりとはゆきません。
仮に、相続人が法定相続分どおりの割合で分けることには、納得していたとしても、遺産が不動産や宝石などのように、いくらと評価するか、誰が取得するかの点で、意見が一致しないケースは非常に多いからです。
この場合、共同相続人の間で、遺産分割協議を行う必要があります。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所へ遺産分割調停を申立て、裁判所で話し合いをすることになります。
それでも、まとまらない場合は、裁判官に強制的に分割方法を決めてもらう遺産分割審判手続で決着をつけることになります。
まとめ
遺言書がない場合の法定相続制度の概要を説明しました。
法定相続と言っても、相続の大枠を決めてあるだけで、具体的な配分は、遺産分割協議によらなくてはならないことを御理解いただけたと思います。
まさに、その遺産分割協議において、紛争が生じやすいのです。
相続に関しては、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
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