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企業秘密を従業員が漏洩したときの対処法、予防について

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企業秘密を従業員が漏洩したときの対処法、予防について

この記事を書いた人

渡邊耕大
渡邊耕大
弁護士(東京弁護士会所属)
税理士法人での勤務を経て、現在は弁護士として活動中。
企業法務(予防法務、紛争対応、顧問契約など)から個人(相続、交通事故など)まで幅広く対応しております。

◆個人ホームページ(ご相談はこちらから)

会社が社内で保有し公表していない企業秘密は、会社が活動していくうえで非常に重要な情報であり、漏洩した場合に大きな損害を被るリスクがあります。
本記事では、企業秘密を従業員が漏洩したときの対処法、事前の予防策について解説いたします。

記事の要約

  • 企業秘密の漏洩は、企業に大きな損害を与える可能性がある。
  • 企業秘密を漏洩した従業員に対しては、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置を取ることができる。
  • 企業秘密の漏洩を予防するためには、秘密情報管理規程の整備や従業員への教育、情報セキュリティ対策の強化などの対策を講じる必要がある。

従業員は企業秘密を守る義務を負っていること

労働者は、労働契約に付随する義務として、使用者(会社)の業務上の秘密を守ることを内容とする秘密保持義務を負っています。
この義務は、就業規則や労働契約に明文の規定がなくても存在するものと解釈されています。(もっとも、就業規則で秘密保持義務の内容を規定することは情報漏洩の予防策として有用です。詳細は「従業員による企業秘密の漏洩を防ぐには」で解説します。)
そして、従業員が企業秘密を漏洩した場合、会社は従業員に対して、就業規則に基づいて懲戒処分を課したり、民事上・刑事上の責任を問うことが考えられます。
また、企業秘密が、不正競争防止法上の「秘密情報」(同法2条6項)に該当する場合は、会社は同法による救済を求めることもできます。(詳細は「4、不正競争防止法による措置」で解説します。)

従業員による企業秘密の漏洩を防ぐには

就業規則で秘密保持義務について規定すること

従業員は、就業規則に明文の規定がなくても、使用者(会社)の業務上の秘密を守ることを内容とする秘密保持義務を負っています。
しかし、従業員全員がそのことを認識しているとは限りませんし、企業秘密は会社にとって重要な情報であることを従業員に理解してもらう必要があります。
そのため、就業規則の中に秘密保持義務の規定を設け、従業員に対して企業秘密は決して漏らしてはいけないものであることを意識づけさせることが大切です。
従業員による機密情報の持ち出しや不正利用を防ぐため、従業員から秘密保持に関する誓約書を取得することも効果的でしょう。
また、企業秘密を漏洩した従業員に懲戒処分を課すためには、就業規則に従業員の秘密保持義務違反が懲戒事由に該当することを規定しておくことが必要とされています。

企業秘密に関する内部統制の整備・運用、従業員への周知・教育

会社側としては、企業秘密の漏洩を防ぎ、万が一漏洩した場合には迅速に漏洩した事実を把握・調査し、被害を拡大させないよう、予め社内で企業秘密の取扱いに関するルール・対策を整備し、整備したルール・対策に沿って企業秘密を取り扱う運用を徹底することが大切です。
具体的な対策に関しては、経済産業省作成の「秘密情報の保護ハンドブック~企業価値向上に向けて~」が参考となります。(経済産業省のホームページで読むことができます。)
そこでは、従業員に向けた対策として、

  • 接近の防御(秘密情報に対するアクセス権を有しない者を秘密情報に近づかせない対策)
  • 持出し困難化(秘密情報を無断で複製・持出しすることを物理的、技術的に阻止する対策)
  • 視認性の確保(情報漏洩が見つかりやすい状態であると認識させる状況を作り出すための対策)
  • 秘密情報に対する認識向上(従業員等の秘密情報の対象範囲や取扱いについての認識を深めるための対策)
  • 信頼関係の維持・向上(職場のモラルや従業員等との信頼関係を維持・向上させるための対策)

が記載されています。
また、従業員に対して、企業秘密の取り扱いについて定期的に周知・教育することも大切です。企業秘密が漏洩した実際の事案や、漏洩した場合の罰則も紹介することで、従業員に企業秘密の重要性を意識づけさせることができるでしょう。

従業員が企業秘密を漏洩した場合の対応

懲戒処分

従業員が企業秘密を漏洩した場合、会社としては当該従業員に対し、懲戒処分を課すことが考えられます。
この点、就業規則に従業員の秘密保持義務違反が懲戒事由に該当することが規定されていない場合、従業員に懲戒処分を課すことはできませんのでご注意ください。(なお、就業規則に秘密保持義務の規定が無くても、要件を満たせば普通解雇の対象になり得ます。)
また、会社としては、企業秘密が漏れる原因となった従業員をできれば懲戒解雇したいと考えるかもしれませんが、懲戒処分の程度(一般的に処分の重い順に、懲戒解雇、諭旨解雇、降格、出勤停止、減給、けん責、戒告に分けられます)は個別の事情により判断しなければなりません。
どの懲戒処分を課すかは、当該漏洩行為の悪質性、漏洩した情報の重要性、会社が被る損害の有無や程度、社内での管理体制、従業員の動機などを総合的に考慮して判断する必要があります。
また、居酒屋や電車内に企業秘密が入ったUSBメモリを紛失した場合など、従業員の過失により企業秘密が漏洩したときも懲戒処分の対象となり得ます。従業員の重大な過失により企業秘密が漏洩した場合には、重い懲戒処分を課すことも考えられるでしょう。

民事上の措置

労働者は、労働契約に付随する義務として、使用者(会社)の業務上の秘密を守ることを内容とする秘密保持義務を負っています。
したがって、従業員が企業秘密を漏洩した場合、会社は当該従業員に対して、債務不履行や不法行為に基づいて損害賠償請求することが可能です。
もっとも、損害額の立証は会社側が行わなければならないところ、損害の発生や損害額の立証が難しいケースも少なくありません。この点、漏洩した企業秘密が後述する不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合、同法には損害額の推定規定が置かれていることから、会社側の立証の負担が軽減されています。

刑事上の措置

従業員が企業秘密を持ち出した場合、当該従業員には刑事上の責任が問われる場合もあります。
具体的には、業務上、機密情報の管理権限を有する従業員が当該機密情報を漏洩した場合には刑法上の業務上横領罪が、そうでない従業員が機密情報を漏洩した場合には刑法上の窃盗罪が成立する可能性があります。
もっとも、業務上横領罪や窃盗罪は、他人の「財物」(有体物)を盗むときに成立する犯罪とされています。したがって、企業秘密が入った書類やUSBメモリをそのまま取得したケースであれば、これらの犯罪が成立しますが、企業秘密の入ったデータを自分のUSBメモリに移して保存したケースでは、これらの犯罪は成立しないこととなります。
なお、漏洩した企業秘密が後述する不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合は、刑法上の業務上横領罪や窃盗罪が成立しなくても、不正競争防止法に違反したとして処罰される可能性があります。

不正競争防止法による措置

漏洩した企業秘密が不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合、会社は、上記の民事上・刑事上の措置に加え、同法による保護を受けることができます。

不正競争防止法上の「営業秘密」とは

社内の企業秘密すべてが不正競争法防止法上の「営業秘密」に該当するわけではありません。
同法2条6項は、社内の企業秘密のうち、以下の3要件すべてを満たした場合、「営業秘密」に該当するものと規定しております。

①秘密管理性(社内で当該情報が秘密情報として管理されていること)
②有用性(生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること)
③非公知性(公然と知られていないこと)

②「有用性」の要件は広く認められる傾向にあり、①「秘密管理性」の要件と③「非公知性」の要件を満たす情報は、通常、②「有用性」の要件も満たすとされています。
また、③「非公知性」の要件は、当該営業秘密が一般的に知られていない状態、又は容易に知ることができない状態であるときに認められます。
3要件のうち最も裁判で争いとなるのは、①「秘密管理性」の要件です。この要件を満たすには、会社が当該情報を秘密であると単に主観的に認識しているだけでは不十分であり、客観的にみて当該情報が企業秘密として管理されていることが必要となります。
例えば、紙媒体に保存された企業秘密であればマル秘表示する・施錠可能なキャビネットや金庫等に保管する、電子媒体に保存された企業秘密であればファイル名にマル秘表示する・閲覧パスワードを設定する、などの方法で管理することが考えられます。もっとも、明確な基準があるわけではないため、会社としては対象となる情報の重要性も考慮しながら、適切な管理体制を構築することが大切です。

民事上の措置

不正競争防止法では、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(同法2条1項4号)などが、不正競争として禁止されています。
従業員が不正競争防止法上の営業秘密を漏洩した場合、会社は同法の規定を用いて、以下の民事上の措置をとることが考えられます。

差止請求

不正競争防止法3条1項では、「不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と規定されています。また、同法3条2項により、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができるとされています。
この請求は、侵害者(秘密を漏洩した従業員など)の故意・過失が要件とはなっておりません。したがって、従業員に故意・過失がない場合であっても、要件を満たせば差止請求することが可能です。

損害賠償請求

従業員が不正競争防止法上の「営業秘密」を漏洩した場合、会社は当該従業員に対して、損害賠償請求することが可能です(同法4条)。
そして、不正競争防止法には、損害額についての推定規定(同法5条)が設けられていることから、損害額に関する会社側の立証の負担が軽減されています。

信用回復措置

秘密情報の漏洩により営業上の信用を害された場合、謝罪広告の掲載や、ホームページでの謝罪文の掲載などの信用回復措置を求める(同法14条)ことも考えられます。

刑事上の措置

不正の利益を得る目的又は営業秘密の保有者に損害を与える目的で不正に営業秘密を取得・使用・開示するなど、違法性が高い事案については、当該行為を行ったものに対し、10年以下の懲役又は2000万円以下の罰金、またはこれを併科する旨が定められています。

さいごに

企業秘密が一度漏洩すると、会社は大きな損害を被るリスクがあります。
会社は企業秘密が漏洩しないよう適切な体制を構築し、万が一企業秘密が漏洩した場合には損害が拡大しないよう迅速に対応することが大切です。
予防策含め、企業秘密の漏洩についてお悩みの方は、一度弁護士に相談してみてください。

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