示談とは
紛争当事者同士が、裁判外において自主的に紛争を解決することをいいます。話し合いによって、損害賠償責任の有無や金額、支払方法等を合意し、解決をします。訴訟外の和解、民法上の和解契約といわれることもあります。
示談交渉は誰が行うのか
示談交渉は当事者間で行うこともできますが、
- 相手と話したくない
- 連絡先を知られたくない
- 感情的になって話がこじれる
などの問題もあります。
円滑な解決のため、当事者同士ではなく、弁護士を代理人として間に入ることがあります。交渉に詳しい弁護士が代理人を務めることで、トラブルの内容や程度に応じた適切な解決も期待できます。
示談時の注意
示談自体は口頭約束でも成立します。しかし、内容の齟齬が生じる、追加請求や請求などのおそれがあります。将来的なトラブルを未然に防ぐためにも一般的には示談成立の際に示談書を取り交わします。示談書には、
- 示談の内容
- 示談する当事者名
- 示談の前提となった紛争の特定できる内容
- 紛争の解決方法
などを明記し、当事者双方が署名捺印を行います。
実際に有効な示談書になっているかどうか不安がある場合は、法律の専門家である弁護士に依頼する方法もあります。
示談は法的効力を持つ
示談を、裁判外の単なる話し合いとして軽視してはいけません。示談は当事者双方が合意し取り交わした契約として法的な効力を持ちます。一度示談が成立すると原則として、取り消しややり直しはできません。示談内容を確実に実行しなければなりません。たとえ、当事者が知りえなかった事実が判明しても、示談内容を無効にすることができません。
そのため、示談は慎重に進める必要があります。示談内容について、妥当なものであるか、弁護士と相談しながらすすめるのが良いでしょう。
保全命令とは
紛争当時者の申立てに基づいて行う仮差押命令・仮処分命令のことをいいます。債務者の財産を強制的に確保するために、裁判所が実施します。
保全命令の必要性
裁判が長引くと、相手方が財産を売却してしまう、状況をかえてしまうおそれがあります。勝訴したとしても、原告側が求めていたことが実現できなくなる可能性があります。そのようなことを防ぐために、裁判所が権利を守ります。保全命令は大きく分けて次の二種類があります。
- 仮差押命令
相手の金銭的な債権を確保する命令です。裁判の判決が下るまでに相手方が財産を処分してしまうことがないように仮差押えをします。具体的には、預貯金口座や不動産の凍結を行います。 - 仮処分命令
当事者間で訴訟の対象となっているものを保全するための命令です。この対象物を勝手に処分したり、第三者に明け渡したりしないよう仮処分を行います。具体的には、不動産の売却を禁止する、第三者への占有移転を禁止するなどです。
保全命令の手続き方法
- 申立てをする
裁判所へ申立書を提出します。その際、権利証明書や相手の財産状況などの資料も併せて提出します。 - 裁判所による調査
裁判所は書類を参考に保全命令を出すべきか妥当性の調査を実施します。場合によっては申立人より直接話を聞くこともあります。 - 担保金の決定
裁判所が保全命令を出すべきと判断した場合は、担保金の額が決められます。担保決定とは保全命令が不当だった場合に、相手方の損害や不利益を担保するための金銭です。保全命令を実施するためには申立人がまず担保金を支払う必要があります。なお、保全命令に問題がなければ、担保金は返還されます。 - 保全命令の執行
担保員の支払いが済むと、保全命令が執行されます。
保全命令の申立のポイント
保全命令は相手の財産処分や状況変更を防ぐためのものです。従って、スピーディな手続きや対応が求められます。また、保全命令が認められるか否かは申立書次第です。より認められやすい説得力のある主張や証拠の提出が重要です。