ADRとは
Alternative Dispute Resolution(裁判外紛争解決手続)の略で、訴訟手続きによらずに紛争を解決する手続きをいいます。あっせん、調停、仲裁が該当します。これらは、公正な第三者が関与してトラブルを解決します。
訴訟の欠点を補填するADR
訴訟を行うと、尋問や審議など時間をかけて行うため、解決までの期間を要します。手続きも煩雑で費用も高額であり、当事者の負担が大きくなります。このような理由から、少額のトラブルはなかなか訴訟に踏み切れないのが現状です。
そのような問題に対応するために、ADRが設けられています。ADRは、訴訟のような厳格な手続きを要しません。簡易で費用も安価です。裁判ではっきりと決着をつけるよりも、当事者同士で解決を図りたいという場合にも有効です。双方の自立的な解決を促すのが、ADRの目的です。そのため訴訟が相手の同意なく実施できるのに対し、ADRは相手方の同意がなければ、手続きを始めることはできません。
ADRの種類
ADRを扱う機関は主に次のような類型があります。
- 行政型
独立の行政機関や行政団体が運営するもの。国民消費者センターの紛争解決委員会や建設工事紛争審議会、労働者委員会など。 - 民間型
消費者団体、業界団体などが運営するもの。弁護士会の弁護士会仲裁センター、日本損害保険協会のそんぽADRセンターなど。
司法型ADR
裁判所が行うもの。民事調停や家事調停、裁判上の和解がこれに当たる。
ADR手続きのながれ
ADRのながれは以下のとおりです。
- ADR事業者へ申立てをする
- ADR事業者が受理し、相手方へ手続きの開始について通知を送付する
- 相手方が手続きの開始について合意する
- 手続き実施者(調停人、あっせん人)が間に入り、話し合いが実施される
- 双方が解決内容に同意すれば、終了
- 同意がない場合、ADR手続きは不成立