仮差押とは
債務者の財産の現状を維持しておかなければ、将来強制執行が不能または困難となるおそれがある場合に、債務者が財産を処分したり変更したりすることを一時的に禁止する措置をいいます。訴訟を起こして判決が出ていない状態でも手続きが可能です。
◆早期対応できる仮差押
債権回収の手段として訴訟を提起し、判決で支払いを命じてもらう手段があります。しかし時間がかかることから、判決の前に債務者が財産を処分したり隠したりする可能性があります。そこで債権回収の判決前に、債務者の財産を確保しておくため仮差押を実施します。仮差押は訴訟から数日程度で結論がでます。早期対応でき、効果的な法的措置であると言えます。
◆仮差押えのながれと効果
仮差押の申立てを行うと内容が精査されたのちに、裁判官面接が行われます。仮差押では債権者は担保を立てなければいけません。この面接で担保方法や金額を決定します。担保の提供が終わると仮差押命令が出ます。仮差押決定正本はまず債権者と第三者へ送達されます。債務者へは約1週間後に送達されます。これは、債務者が先に仮差押命令を知り財産を処分してしまうのを防ぐためです。債務者は周りが仮差押えの準備をしたのちに最後に知らせられます。仮差押命令を受けた債務者は、不動産の仮差押登記、勤務先より給与の差押え、銀行口座の凍結など、自由に財産を動かすことができなくなります。
◆仮差押えと仮処分の違い
財産の処分を防ぐ措置として他に「仮処分」というものがあります。仮処分とは、裁判で争いになっているものを保全するために実施する手続きです。争いとなっている不動産や権利、地位そのものを処分されてしまうと、今後の裁判が立ち行かなくなります。整理すると、仮差押は、将来的な金銭債権を保全するために相手の財産を差押えること、仮処分は裁判の争いの対象物の消失を防ぐことであると言えます。