裁判費用の平均はいくら?裁判費用を抑える方法について解説
2025年06月11日
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元行政書士のフリーライター。
行政書士・土地家屋調査士の補助者を約10年務めたのち、行政書士として独立。
相続・遺言や農地関係、建設業許可などの業務に携わる。
現在はフリーライターとして、相続・遺言、離婚、不動産関連の記事や資格予備校のコラムなど、日々積極的に執筆活動を行っている。
「誰が読んでもわかる記事」を常に心がけている。
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「裁判になったら、費用は平均でいくらかかる?」
「裁判費用が払えないときはどうすればいい?」
などと悩んでいませんか?
裁判にかかる費用は事件の種類や内容によって変動するため、一概に「平均◯◯円」と示すのは困難です。
とくに裁判費用を構成する費用のひとつである弁護士費用は、たとえば離婚裁判なら50万〜130万円程度というように大きな幅があるため、どの程度費用がかかるかは実際に見積もってもらう必要があるでしょう。
本記事では裁判費用の平均についてや相場、裁判費用を抑える方法を解説します。
記事を最後まで読めば、法的トラブルに直面した際の経済的負担を最小限に抑えられるでしょう。
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記事の要約
- 裁判費用は事件の種類や内容によって大きく変動する
- 裁判費用の相場は離婚で50万〜130万円程度、遺産確認で60万〜180万円程度
- 裁判費用を抑えるには「訴訟の救助制度」や「法テラス」の利用、「少額訴訟制度」の活用などが有効
- 弁護士保険で備えておけば月額590〜4,000円程度で弁護士費用を大幅に削減できる
裁判費用は平均でいくらかかる?
裁判費用の平均額を、一概に「◯◯円」と示すのは困難です。
裁判にかかる費用は事件の種類や内容によって大きく異なるためです。
とくに弁護士費用は事案の複雑さや慰謝料の請求金額、依頼する事務所などによって変動するため、自分のケースでいくらかかるかは実際に見積もってもらうのが確実でしょう。
次章では、民事裁判にかかる費用の内訳を解説します。
民事裁判にかかる費用の内訳
民事裁判には、以下の費用がかかります。
裁判所に支払う費用 | 収入印紙代 |
---|---|
郵便切手代 | |
鑑定費用(必要な場合) | |
弁護士費用 | 法律相談料 |
着手金 | |
報酬金(成功報酬) | |
日当 | |
実費 | |
興信所・探偵事務所などの調査費用 | ※調査が必要な場合 |
民事裁判とは、金銭問題や交通事故の損害賠償請求、離婚問題といった個人や法人同士の私的なトラブルを解決するための手続きです。
前章で解説したとおり、裁判にかかる費用は事件の種類や内容によって異なります。
ここでは、民事裁判の際にかかる費用について解説します。
裁判所に支払う費用
裁判所に支払う費用は、主に収入印紙代と郵便切手代から構成されます。
そのほか、専門性の高い裁判では、鑑定費用が必要になることもあります。
それぞれ見ていきましょう。
収入印紙代
収入印紙代は、訴状を裁判所に提出する際に発生する費用です。
金額は以下のとおり、訴額(請求額)に応じて段階的に増加します。
訴額 | 収入印紙代 |
---|---|
100万円以下 | 10万円ごとに1,000円 |
100万円超500万円以下 | 20万円ごとに1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 50万円ごとに2,000円 |
1,000万円超10億円以下 | 100万円ごとに3,000円 |
10億円超50億円以下 | 500万円ごとに1万円 |
50億円超 | 1,000万円ごとに1万円 |
参照:別表(民事訴訟費用等に関する法律別表第1(第3条、第4条関係))|裁判所
たとえば300万円の損害賠償を請求する場合、合計2万円の収入印紙が必要です。
・100万円までの部分:1万円
・100万円超え300万円までの部分:1万円
郵便切手代
郵便切手代は、裁判所から当事者や関係者に向けて書類を送付する際に必要になる費用です。
訴状を提出する際、裁判所に支払います。
金額は、たとえば東京地方裁判所では6,000円程度、大阪地方裁判所では8,000円程度と裁判所によって異なります。
500円×8枚+110円×10枚+100円×5枚+50円×5枚+20円×5枚+10円×5枚
合計:6,000円
※当事者が1人増えるごとに+2,440円(500円×4枚+110円×4枚)
参照:東京地方裁判所への民事訴訟事件又は行政訴訟事件の訴え提起における郵便切手の予納額について|裁判所
また、納付方法も裁判所によって異なり、切手を納付するところもあれば現金で納付するところもあります。
切手で納付する場合は組み合わせが決まっているため、金額や納付方法、切手の組み合わせを裁判所のホームページや窓口で確認しておいたほうがよいでしょう。
鑑定費用
鑑定費用は、裁判で専門的な判断が必要になった場合に発生する費用です。
すべての事件で発生するわけではありません。
鑑定が必要になる可能性のある事件には、たとえば以下のものがあります。
- 成年後見制度の申立て:医師による本人の判断能力の鑑定
- 不動産の価格評価に関する裁判:不動産鑑定士による不動産評価額の鑑定
- 医療過誤:専門家による医師の診断・治療に問題があったかどうかの鑑定
- 建築紛争:建築の専門家による建物の問題の有無や原因の鑑定
医療行為での過失や医療ミスによって患者が被害を受けた事件のこと。
建物の欠陥や施工不良をめぐる争いのこと。
鑑定人は裁判所が選任します。
費用は事件の複雑さや専門性によって異なり、高額なケースでは100万円以上かかることもあります。
弁護士費用
弁護士費用は、以下の費用から構成されます。
- 法律相談料
- 着手金
- 報酬金(成功報酬)
- 日当
- 実費
実際にいくらかかるかは、事件の種類や訴額、依頼する弁護士事務所によって異なります。
それぞれ解説します。
法律相談料
法律相談料は、弁護士に相談する際にかかる費用です。
30分あたり5,000〜1万円程度が相場ですが、中には無料相談を実施しているところもあります。
できるだけ費用を抑えたいときは、無料相談を実施している事務所を探すのもよいでしょう。
注意点は、無料は無料でも「初回30分無料」「何度でも無料」というように、事務所によって無料の種類が異なる点です。
そのため費用については、相談の予約を入れる際にきちんと確認することをおすすめします。
着手金
着手金は、弁護士に依頼したあと業務に取り掛かってもらう前に支払う費用で、結果にかかわらず発生します。
一般的に、支払いが確認できなければ業務に取り掛かってもらえず、一度支払った着手金は途中で依頼をキャンセルしても返還されません。
費用は事務所によって異なり、訴額に応じて変動したり固定だったりとまちまちです。
中には、今でも平成16年4月1日以前に利用されていた「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準(以下旧基準)」を参考にしている事務所もあります。
旧基準で定められていた着手金の金額は以下のとおりです。
訴額 | 着手金(最低額は10万円) |
---|---|
300万円以下 | 訴額の8% |
300万円超3,000万円以下 | 5%+9万円 |
3,000万円超3億円以下 | 3%+69万円 |
3億円超 | 2%+369万円 |
たとえば弁護士に依頼し、不倫慰謝料200万円を請求するケースで考えてみましょう。
旧基準でいくと、200万円×8%で16万円の着手金がかかります。
離婚問題や相続問題の場合、30万〜50万円程度に固定されているケースも多いです。
報酬金(成功報酬)
報酬金は、裁判や交渉が成功した際に発生する費用です。
基本的に、完全に敗訴したときは発生しませんが、一部勝訴であれば判決で認められた金額に応じて算定されます。
金額は、実際に得られた利益をさす「経済的利益」に応じて計算されるのが一般的です。
しかし報酬体系は事務所によって異なり、固定額で設定されている場合もあります。
着手金と同様に、今でも旧基準を参考に料金設定をしている事務所が多く、旧基準を参考にしている場合は着手金の2倍程度の金額に設定される傾向にあります。
旧基準で定められていた報酬金の金額は以下のとおりです。
実際に得られた利益 | 着手金(最低額は10万円) |
---|---|
300万円以下 | 実際に得られた利益の16% |
300万円超3,000万円以下 | 10%+18万円 |
3,000万円超3億円以下 | 6%+138万円 |
3億円超 | 4%+738万円 |
たとえば、弁護士に依頼したことで不倫慰謝料200万円を獲得できたとしましょう。
旧基準でいくと、200万円×16%で32万円の報酬金がかかります。
日当
日当は、弁護士が事務所から出て業務を行う場合に着手金や報酬金とは別に発生する費用です。
たとえば、代理人として裁判所に出廷してもらったり相手方との交渉に出向いてもらったりするときにかかります。
着手金や報酬金と同様に、日当も旧基準で目安となる報酬額が定められており、参考にしている事務所は少なくありません。
- 半日:3万〜5万円
- 1日:5万〜10万円
ただし実際の金額は事務所によって異なります。
裁判の期日数や交渉回数次第によっても変動するため、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
中には、日当を請求しない事務所やあらかじめ着手金に含めている事務所などもあります。
実費
実費は、弁護士が事件処理のために実際に支払った費用です。
たとえば以下のような費用が該当します。
- 弁護士の交通費・宿泊費
- コピー代
- 郵送料
- 通信費
一般的な民事裁判では、5,000〜3万円程度が相場です。
しかし遠方の裁判所に出廷してもらったり、遠方に住む相手方との交渉に出向いてもらったりすると交通費が高額になる可能性があります。
新幹線や飛行機を利用する場合は、守秘義務の観点からグリーン車やビジネスクラスを利用することがあり、その場合は普通車やエコノミークラスの運賃よりも高額になる傾向にあります。
さらに宿泊が必要なケースであれば、宿泊費も依頼者が負担しなければなりません。
なお、支払うタイミングは弁護士事務所によって異なりますが、多くの事務所では契約時に一定額を預け、必要に応じて使用される預かり金方式が採用されています。
弁護士に依頼する場合、「裁判所に支払う費用」で解説した「収入印紙代」や「郵便切手代」を弁護士に支払い、弁護士経由で支払ってもらうのが一般的です。
興信所・探偵事務所などの調査費用
興信所や探偵事務所に調査を依頼すると、別途調査費用がかかります。
調査依頼が必要となるケースには、配偶者による財産隠しを疑う場合の資産調査や、不倫の証拠を集めるための行動調査などがあげられます。
費用相場は以下のとおりです。
- 不倫調査の基本料金:1日あたり5万〜10万円程度
- 資産調査:対象者1人あたり10万〜30万円程度
ただし、調査期間や人員、調査内容の複雑さなどによって費用は変動します。
なお、興信所や探偵事務所による調査以外にも、事件によっては以下のとおりさまざまな調査費用が発生する可能性があります。
- 医師による意見書作成費用(交通事故):20万〜50万円程度
- 専門医への意見聴取費用(医療過誤):1回あたり3万〜5万円程度
自分のケースにどの調査が必要かは、弁護士に確認するとよいでしょう。
裁判所に支払う費用は誰が負担する?ケース別の負担割合
裁判所に支払う費用は、必ずしも自分が負担しなければならないとは限りません。
費用を誰が負担するかは、裁判の結果によって異なるためです。
ここでは、ケース別の負担割合について解説します。
原則として敗訴した側が負担する
裁判所に支払う費用は、原則として敗訴した側が負担します。(民事訴訟法第61条)
そのため、自分が勝訴したときは相手から費用を回収できます。
ただし、その場合は「訴訟費用額確定処分」という手続きを別途行わなければなりません。
手続きが煩雑なわりに費用対効果が低いため、勝訴しても相手から費用を回収しないケースが多いのが実情です。
敗訴者が複数いるときは等分して負担するのが原則ですが、裁判所の裁量でほかの負担方法が命じられることもあります。
一部勝訴なら裁判所が認めた金額の割合に応じて按分される
原告(訴えた側)の請求が一部だけ認められる「一部勝訴」の場合、裁判所に支払う費用は裁判所が認めた金額に応じて当事者間で按分されます。
たとえば300万円の慰謝料を請求して200万円が認められたケースなら、裁判所に支払う費用の負担割合は「原告1:被告2」となり、それぞれ以下のように負担します。
- 原告:3分の1
- 被告:3分の2
このように、請求金額と裁判所が認めた金額の比率は、裁判所に支払う費用の負担割合に直接反映される仕組みになっています。
和解の場合は当事者間の合意で決定する
裁判中に和解が成立したときは、当事者間の合意で負担割合を決められます。
ただし、民事訴訟法第68条では「特別の定めがない限り各自の負担とする」と規定されています。
そのため実務上は、和解条項に訴訟費用を各自の負担とする旨の条項を入れるのが一般的です。
すでに支払った訴訟費用は原則返還されませんが、一方が多額の費用を負担している場合は、その分を和解金の金額に上乗せして調整することもあります。
弁護士費用は原則依頼者が負担する
弁護士費用は、依頼者が負担するのが原則です。
裁判所に支払う費用とは別物であり、裁判の勝敗は関係ありません。
ただし不法行為による損害賠償を請求する場合は、認められた損害額の一部として相手に弁護士費用の1割程度を請求できる可能性があります。
不法行為とは、故意(わざと)または過失(うっかり)によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害することをいい、たとえば以下のような行為が該当します。
- 配偶者の不倫(不貞行為)
- 交通事故(飲酒運転・脇見運転)
- 暴力行為
- 名誉毀損・誹謗中傷
- いじめ など
なお、請求できるのは勝訴したケースのみです。
敗訴した場合や和解が成立したときなどは対象になりません。
事例で見る!具体的な裁判費用の相場
「裁判費用は平均でいくらかかる?」で解説したように、裁判費用は事件の種類や争点の数、解決方法によって大きく異なるため、平均額を出すのは困難です。
そのため、ここでは具体的な裁判費用の相場を事例ごとに紹介します。
ただし、ここで紹介する事例はあくまでも一例であり、必ずしもこのような金額になるとは限りません。
また、「相場」とは、裁判所に支払う費用+弁護士費用をさします。
離婚裁判の費用相場|50万〜130万円程度
離婚裁判の費用相場は50万〜130万円程度です。
具体的な事例として、夫が妻の不貞行為を理由に慰謝料300万円を請求するケースを見てみましょう。
項目 | 金額 | |
---|---|---|
裁判所に支払う費用 | 収入印紙代 | 2万円 |
郵便切手代 | 6,000円 | |
弁護士費用 | 着手金 | 33万円 |
報酬金 | 33万円 | |
日当・実費 | 11万円 | |
合計 | 79万6,000円 |
トータルの費用は79万6,000円程度です。
なお、財産分与や養育費など争点が多い複雑なケースでは、さらに高額になる可能性があります。
交通事故の損害賠償請求(1,000万円請求・700万円獲得)の費用相場|220万円程度
交通事故の損害賠償請求の費用相場は、1,000万円を請求し700万円獲得したケースで220万円程度です。
内訳は以下のとおりです。
項目 | 金額 | |
---|---|---|
裁判所に支払う費用 | 収入印紙代 | 3万円 |
郵便切手代 | 6,000円 | |
調査費用 ※医師の意見書取得など |
30万円 | |
弁護士費用 | 着手金 | 80万円 |
報酬金 | 100万円 | |
実費 | 1万円 | |
合計 | 214万6,000円程度 |
このように、交通事故の裁判費用は高額になりがちです。
しかし、中には着手金なしの料金体系を採用する弁護士事務所もあり、初期費用を抑えられる場合もあります。
遺産確認請求訴訟の費用相場|60万〜180万円程度
遺産確認請求訴訟の費用相場は、事件の複雑さや争いの程度によって60万〜180万円程度と幅があります。
具体的な事例として、亡くなった父親が子ども名義の銀行口座で保管していた5,000万円が、遺産に含まれるかどうかを争うケースを見てみましょう。
項目 | 金額 | |
---|---|---|
裁判所に支払う費用 | 収入印紙代 | 17万円 |
郵便切手代 | 6,000円 | |
弁護士費用 | 着手金 | 40万円 |
報酬金 | 40万円 | |
日当・実費 | 15万円 | |
合計 | 112万6,000円 |
トータルの費用は112万6,000円です。
事件が複雑で長期化した場合は、さらに報酬金が高額になったり日当や実費が増加したりする可能性があります。
不当解雇裁判の費用相場|80万〜200万円程度
不当解雇裁判の費用相場は80万〜200万円程度です。
具体的な事例として、月給40万円の営業社員が業績不振を理由に突然解雇され、解雇無効と700万円の賠償金を求めて裁判を起こすケースを見てみましょう。
項目 | 金額 | |
---|---|---|
裁判所に支払う費用 | 収入印紙代 | 3万8,000円 |
郵便切手代 | 6,000円 | 弁護士費用 | 着手金 | 30万円 |
報酬金 (700万円×10%+18万円) |
88万円 | |
日当 | 25万円 | |
実費 | 2万円 | |
合計 | 149万4,000円 |
上記は、1年半の審理を経て解決したケースを想定しています。
早期に解決した場合は上記の金額より費用を抑えられる可能性がありますが、事件が長期化すると弁護士に支払う日当や実費が増え、費用がさらに高額になるおそれがあります。
なお、例では700万円の解決金を獲得できましたが、不当解雇で認められる解決金の中央値は裁判による和解で300万円、労働審判で150万円です。
参照:解雇に関する紛争解決制度の現状と 労働審判事件等における解決金額等に関する調査について|厚生労働省
費用が払えないときはどうする?裁判費用を抑える方法
突然訴訟を起こすことになったり訴えられたりした場合、費用が払えないこともあるでしょう。
しかし、費用が払えないからといって起きたトラブルや届いた訴状を放置してはいけません。
ここでは、裁判所に支払う費用・弁護士費用別に裁判費用を抑える方法を紹介します。
裁判所に支払う費用を抑えたい
裁判所に支払う費用を抑える方法は以下のとおりです。
- 「訴訟上の救助制度」を利用する
- 現実的な金額を請求して収入印紙代を抑える
経済的に余裕がなくても、上記の制度を活用することで費用面での負担を軽減できます。
それぞれ見ていきましょう。
「訴訟上の救助制度」を利用する
「訴訟上の救助制度」とは、経済的に困窮している人が裁判を起こす際、主に収入印紙代の支払いを一時的に猶予してもらえる制度です。(民事訴訟法第82条)
制度を利用するには、訴状とともに「訴訟上の救助申立書」を提出する必要があります。
また、以下の2つの要件を満たさなければなりません。
- 勝訴の見込みがある
- 訴訟費用を支払う経済的余裕がない
経済的に困窮していることの証拠として、預貯金通帳や給料明細、所得証明書といった資料の提出を求められます。
なお、猶予されるのは、裁判が終了するまでです。
裁判終了後に判決が確定すれば、清算しなければなりません。
ただし、全面勝訴の場合は相手方が負担するため、支払う必要はなくなります。
全面敗訴なら全額支払い、一部勝訴なら負担割合に応じてそれぞれが支払います。
現実的な金額を請求して収入印紙代を抑える
現実的な金額を請求することも、裁判所に支払う費用の削減につながります。
なぜなら収入印紙代は、訴額に応じて増減するためです。
収入印紙代は訴額が多ければ多いほど高額になり、少なれば少ないほど少額になります。
たとえば1億円を請求する場合の収入印紙代は32万円、5,000万円なら17万円です。
不相応に大きな金額を設定すると余計な収入印紙代を支払うことになるため、弁護士と相談しながら現実的な金額を請求するのがよいでしょう。
なお、訴額はあとから金額を増やせます。
これを「請求の拡張」といい、口頭弁論の終結前までであれば裁判の途中でも申請可能です。
訴額を増額する場合は、「その分の収入印紙を追加で支払う必要がある」「申請が認められないこともある」といった注意点はありますが、最小限の金額で訴えを提起すれば初期費用を抑えられるでしょう。
弁護士費用を軽減したい
弁護士費用を軽減したいときは、以下の方法で費用を軽減できます。
- 法テラスを利用する
- 60万円以下の請求なら「少額訴訟制度」を活用する
- 分割払い・後払いで現時点での負担をゼロにする
どの方法を選ぶかは、事件の複雑さや経済状況、法的知識の有無によって判断する必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
法テラスを利用する
法テラスとは、経済的に余裕がない人のために無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えを行っている公的支援制度です。
法テラスを利用した場合は法テラスの立替基準が適用されるため、弁護士費用自体が通常よりも安くなります。
中には、弁護士事務所の費用相場の半額以下になるケースもあります。
法律相談は同じ問題につき3回まで無料で受けられ、収入や資産が一定基準以下であれば着手金や実費といった弁護士費用を法テラスが立て替えてくれる立替制度も利用可能です。
立て替えてもらった弁護士費用は、月々5,000〜1万円程度の分割払いで返済できます。
法テラスの利用には、以下の条件を満たす必要があります。
- 収入・資産が一定基準以下
- 勝訴の見込みがある
- 正当な権利を守るための利用である
たとえば3人家族の人なら、以下の基準以下でなければ利用できません。
地域 | 収入基準 | 資産基準 |
---|---|---|
東京都23区・大阪市など | 29万9,200円 | 270万円 |
上記以外の地域 | 27万2,000円 |
また、勝訴の見込みがない場合や、報復や嫌がらせで訴訟を起こすケースなども利用できません。
詳しくは、法テラスのホームページを確認してください。
参照:弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ|法テラス
60万円以下の請求なら「少額訴訟制度」を活用する
少額訴訟とは、訴額が60万円以下の場合に限り利用できる簡易的な裁判手続きです。
裁判所に支払う費用自体は通常の訴訟と変わりませんが、原則として1回の審理で即日判決が出るため、弁護士に出廷してもらう回数が減ります。
結果的に弁護士費用が安くなり、費用も時間も大幅に軽減できるでしょう。
また、手続きが簡略化されており、本人でも対応しやすい点もポイントです。
弁護士に依頼せず自分で手続きを行えば、通常何十万円もする弁護士費用をカットできます。
ただし被告の申し出により、通常訴訟に移行する可能性があることを知っておく必要があります。
通常訴訟に移行した場合は複雑な書類作成や複数回の出廷が必要となるため、弁護士に依頼することを検討したほうがよいでしょう。
分割払い・後払いで現時点での負担を最小限にする
弁護士費用を抑える方法とは異なりますが、分割払いや後払いに対応している事務所に依頼し、現時点での負担を最小限にする方法もあります。
たとえば、本来であれば依頼時に支払うべき着手金を12回程度の分割払いにしてもらったり、着手金なしで解決後に報酬を支払う「成功報酬型」を採用している事務所を利用したりすれば、現在まとまったお金がなくても弁護士への依頼が可能です。
ただし分割払いや後払いに対応しているか、支払い回数は何回までか、といったところは事務所次第です。
複数の事務所で無料相談を受け、支払い条件を比較検討するとよいでしょう。
もしものトラブルに備えておくなら弁護士保険への加入がおすすめ
トラブルに備えておくなら、「弁護士保険」への加入がおすすめです。
弁護士保険とは、法的トラブルが発生した際の弁護士費用を補償する保険のことをいい、安いもので月額590円、一般的なプランでも2,000〜4,000円程度で加入できます。
前もって弁護士保険に加入しておくことで、突然法的トラブルに巻き込まれても経済的な負担を大幅に軽減できるでしょう。
実際に保険を利用した事例では、相談料や着手金、報酬金の負担が軽減され、経済的な負担を抑えつつ適切な法的サービスを受けられています。
以下の事例では、具体的にどのように負担が軽減されたかを見ていきましょう。
夫が妻の不貞行為を理由に慰謝料300万円を請求するケース
・かかった弁護士費用:77万円
・弁護士保険に加入していた場合の自己負担額:15万4,000円
※80%補償されるプランに加入していた場合
実際にかかった費用 | 弁護士保険に加入していた場合の自己負担額 | |
---|---|---|
着手金 | 33万円 | 6万6,000円 |
報酬金 | 33万円 | 6万6,000円 |
日当・実費 | 11万円 | 2万2,000円 |
合計 | 77万円 | 15万4,000円 |
上記のケースでは、60万円以上軽減できています。
このように、弁護士保険は月々わずかな保険料で、万一の法的トラブル時に大きな経済的メリットをもたらします。
また、費用の心配なく弁護士に相談できるため、適正な解決を図れる点も大きなメリットです。
ただし、交通事故や不慮の事故などの偶発事故は契約開始日から補償されるのに対し、それ以外の法的トラブルは加入時点で発生していると対象にならず、加入後も一定期間は保険を利用できない「待機期間」がある点に注意しましょう。
法的トラブルはいつ誰に起こるかわかりません。
何もないときこそ、弁護士保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
裁判費用の平均や裁判費用を抑える方法について解説しました。
裁判費用は事件の種類や内容によって大きく変動するため、一概に「平均いくら」とは示せません。
裁判費用が支払えない場合は、訴訟上の救助制度や法テラスの立替制度を利用したり、少額訴訟制度で本人申請を目指したりなど、さまざまな方法があります。
また、将来の法的トラブルに備えて弁護士保険に加入しておけば、月額数千円程度の保険料で突然の高額な裁判費用に備えられるでしょう。
どの程度裁判費用がかかるかを事前に知りたいときは弁護士に相談し、実際に見積もりをしてもらうことをおすすめします。
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「もしもの高額な支払いに備える」弁護士保険とは?
弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼する際の費用を補償してくれる保険です。
保険料の相場は月額3,000円程度です。そのため、30万円という着手金の相場額を考えると、保険に加入してから9年以内に弁護士に依頼すれば、元が取れます。
現代社会は、交通事故や離婚、労働問題など、さまざまな法律問題に見舞われがちです。そうした法律問題が降りかかってきた時に、弁護士保険に加入していれば弁護士に気軽に相談・依頼ができるので、問題の早期解決につなげられるでしょう。
弁護士保険を活用すると、法律相談料や着手金を全額補償してもらえる場合があるため、金銭的な不安も解消できます。弁護士への依頼に際して金銭的な不安を解消したい方は、弁護士保険に加入することをおすすめします。
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保険によっては、保険加入後に弁護士保険に加入していることを示す「リーガルカード」や「ステッカー」が配布されるので、トラブルの抑止効果が期待できます。
そのほか、弁護士保険では、「弁護士紹介サービス」や「相談ダイヤルの設置」など、便利な付帯サービスが用意されています。
どの保険もサービスが充実しているので、ぜひ加入を検討してみてください。
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---|---|---|---|
100%※1 2.2万円/事案まで |
100%※1 300万円/事案まで |
80% 200万円/事案まで |
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法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
---|---|---|---|
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100%※2 100万円/事案まで |
100%※2 100万円/事案まで |
1,200万円 |
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- ※2 保険金は(基準額 - 免責金額)×100%です。
報酬金:(基準)×50%
- 20分間の無料弁護士相談など付帯サービスが充実
- 親が加入すれば18歳未満の子は自動的に補償!
- プランごとに報酬金の補償設定あり
法律相談料 | 偶発事故※3 | 一般事件※4 | 通算上限金額 |
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実費 10万円を限度 |
実費 300万円を限度 |
補償対象外 | - |
- 保険開始から使用可能な痴漢冤罪/被害ヘルプコール付き
- 加害者になった時の対人/対物賠償保険付き
- 気軽に加入できるリーズナブルな保険料
\カンタン3社比較/