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名誉毀損で訴えるための条件とは?成立要件・訴訟の流れや弁護士保険での備えを解説

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名誉毀損で訴えるための条件とは?成立要件・訴訟の流れや弁護士保険での備えを解説

この記事を書いた人

鷹見ゆり
鷹見ゆり
元行政書士のフリーライター。
行政書士・土地家屋調査士の補助者を約10年務めたのち、行政書士として独立。
相続・遺言や農地関係、建設業許可などの業務に携わる。
現在はフリーライターとして、相続・遺言、離婚、不動産関連の記事や資格予備校のコラムなど、日々積極的に執筆活動を行っている。
「誰が読んでもわかる記事」を常に心がけている。

「どういう条件に該当すれば名誉毀損になる?」
「名誉毀損で相手を訴えるときの流れは?」

公共の場やSNS、ブログなどで名誉を傷つけられ、相手を訴えたいと考えているものの、そもそも条件に当てはまるのか、訴える際の流れなどがわからないといったことで悩んでいませんか?
名誉毀損で訴えるための条件には、公然性があるか、権利侵害があったかなどいくつかありますが、加害者に民事・刑事どちらの責任を問うかどうかで違ってきます。
訴訟を起こす際は、民事上・刑事上どちらの場合でも専門知識や経験が必要になるため、弁護士への相談・依頼を検討しましょう。
ただしケースによっては、弁護士費用が得られる損害賠償金よりも高額になることもあります。
そのため、トラブルが起きる前に弁護士保険で備えておくのがおすすめです。
本記事では、名誉毀損で訴えるための条件や訴訟の流れ、弁護士保険での備えについて解説します。
最後まで読むことで、名誉毀損の被害に遭ったときにすべきことがわかり、適切な対応策を選べるでしょう。

記事の要約

  • 名誉毀損で訴えるには、公然性や権利侵害など複数の条件を満たす必要がある
  • 民事・刑事で要件や訴訟手続きに違いがあるため事前確認が重要
  • 弁護士への相談でスムーズに進められるが、費用倒れのリスクもある
  • 弁護士費用対策として、法テラスや弁護士保険の活用がおすすめ

名誉毀損とは?

名誉毀損とは、事実であるかどうかに関係なく、人の評判や信用といった社会的評価を傷つける発言・書き込みを行う行為です。(刑法第230条
例えば、職場やSNS、ネット記事など多くの人が見聞きできる場で「◯◯は犯罪者だ」「◯◯は不倫している」などと言うことが該当し、刑事罰や損害賠償請求の対象になることがあります。
なお、名誉毀損と似た犯罪に「侮辱罪(刑法第231条)」がありますが、両者の違いは「事実を示しているかどうか」です。
例えば名誉毀損なら、「◯◯が万引きした」と事実を暴露する発言が該当します。
この「事実」とは、本当のことであるかどうかを問いません。
そして侮辱罪は、「◯◯はバカ」「仕事ができない」「クズ」といった、事実を示さず悪口や蔑む言葉で相手を傷つける行為が当てはまります。
刑法は名誉毀損罪と侮辱罪について、それぞれ以下のような法定刑を規定しています。

  • 名誉毀損罪:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 侮辱罪:1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金・拘留もしくは科料

名誉毀損で訴えるための条件とは?

名誉毀損で訴えるためには、まず名誉毀損が成立していなければなりません。
ここでは、名誉毀損の成立要件を民事上・刑事上別に紹介します。

民事上における名誉毀損の成立要件

民事上における名誉毀損の成立要件は以下のとおりです。

要件 内容
公然性がある 不特定または多数の人が認識できる状態で行われた
事実を摘示した 社会的評価を低下させる具体的な事実を示した
権利を侵害した 社会的評価や名誉を下げた
故意または過失があった 加害者がわざと行った、または注意不足があった
行為と損害に因果関係がある その行為が直接損害の原因である

上記の要件をすべて満たす行為は、民法第709条に規定された「不法行為」に該当します。
不法行為が認められた場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求や謝罪広告の掲載といった法的措置を求めることが可能です。
名誉毀損が成立するかどうかは、上表の各要素を客観的な基準で総合的に判断し、単なる悪口や意見ではなく社会的評価の低下が生じたかが重要な判断材料になります。

刑事上における名誉毀損の成立要件

刑事上における名誉毀損の成立要件は以下のとおりです。

成立要件 詳細
公然性がある 不特定または多数の人が認識できる状態で行われた(民事・刑事共通)
事実を摘示した 社会的評価を低下させる具体的な事実を示した(民事・刑事共通)
人の名誉を毀損した 社会的評価や信用を下げる内容である
同定可能性がある 投稿や発言の内容から、誰のことを指すかが第三者にも特定できる
違法性阻却事由に該当しない 公益目的や公共性などによって違法と評価できない事由に該当しない

上記の要件をすべて満たすと刑事上の名誉毀損が成立し、刑事罰の対象になります。
例えば、「バカ」「最低」というような感想や悪口ではなく「◯◯が万引きした」など事実を挙げられ、その投稿や言動を見聞きした人の評価が下がるようなケースです。
また、その内容から誰のことかわからなければなりません。
ただし、公益目的や公共性が認められると違法性が否定され、罪に問われないこともあります。
「公益目的や公共性が認められる」ことには、例えば以下のようなケースが該当します。

  • 行政の不正を告発する目的で、その内容や証拠をもとに発言した
  • 食品会社の健康被害について、消費者の安全のために真実に基づいて警告した

名誉毀損が認められた・認められなかった事例を結果別に紹介

実際に、どのようなケースが名誉毀損と認められるのでしょうか?
ここでは、過去の判例をもとに名誉毀損が認められた事例と認められなかった事例を紹介します。

名誉毀損が認められた事例

まずは、名誉毀損が認められた事例です。

民事の事例|SNSでのなりすましに対して損害賠償請求が認められたケース

SNSで他人になりすまし、ほかのユーザーを侮辱する投稿をした加害者の行為が名誉毀損にあたるとして、損害賠償請求が認められた事例があります。
加害者は被害者と同じ名前でアカウントを立ち上げ、被害者の顔写真をプロフィール画像に設定していました。
そして被害者になりすまし、ほかのユーザーを攻撃。
投稿が被害者によるものと誤解されたことから名誉毀損が成立し、裁判所は加害者に対して130万6,000円の支払いを命じています。(平成29年8月30日判決 大阪地方裁判所)

刑事の事例|ヘイトスピーチが名誉毀損に該当し、有罪判決が確定したケース

朝鮮学校跡近くで拡声器を使い、「元校長は拉致事件に関わった」など虚偽の事実をネット動画で拡散した行為について、裁判所は名誉毀損罪の成立を認めました。
弁護側は、被告人の発言が公共の利害に関するものであり公益を図る目的で行われたこと、提示した事実に真実性があることを理由に無罪を主張。
このうち公共性・公益性については認められたものの、真実性については否定され、加害者に有罪判決が言い渡されています。(令和2年12月14日判決 最高裁判所)

名誉毀損が認められなかった事例

続いては、名誉毀損が認められなかった事例を紹介します。

民事の事例|セクハラ公表による名誉毀損が否定されたケース

労働組合が会社役員のセクハラをサイト上で公表し、「セクハラ発覚」「会社隠蔽」などと記載したことから、会社が組合を名誉毀損で訴えた事例です。
裁判所は、役員のセクハラが事実であると認定し、組合の行為は被害救済や再発防止を目的とした正当な組合活動であると違法性を否定。
会社側の損害賠償請求は認められませんでした。

刑事の事例|虚偽の投書による起訴が無罪とされたケース

被告人である元生徒の保護者が、同校の教諭Aに関する「売春事件に関わり書類送検された」という虚偽の投書を、教育委員会委員長や校長、PTA会長らに郵送した事例です。
被告人は、A教諭の社会的評価を傷つけたとして名誉毀損罪で起訴されました。
しかし、最高裁は「投書は特定の機関内の限られた守秘義務者の間で扱われ、社会一般に広まる公然性はなかった」と判断。
最終的に、被告人は無罪になっています。

名誉毀損で相手を訴える流れ5ステップ

名誉毀損で相手を訴える場合、以下のような流れで手続きを進めます。

  1. 1. 証拠を集める
  2. 2. 弁護士に相談・依頼する
  3. 3. 発信者情報開示請求をする
  4. 4. 加害者と交渉する
  5. 5. 民事訴訟または刑事告訴する

ポイントは、できるだけ早く弁護士に相談・依頼することと、民事上・刑事上どちらの責任を問うかを考えておくことです。
順番に見ていきましょう。

1.証拠を集める

まずは、名誉毀損の被害を受けたことを証明する証拠を集めましょう。
実際に被害に遭っていても、客観的な証拠がなければ相手が否定した際に対抗できず、法的措置が難しくなります。
例えば、以下のものが証拠になり得ます。

  • 名誉毀損が疑われる文章・投稿
  • 投稿があった日付
  • 投稿のURL
  • アカウント情報
  • 名誉毀損が疑われる会話の音声データ・動画
  • 防犯カメラの映像
  • 医師の診断書
  • 診察・処方箋の領収書
  • 休職や解雇、収入が減ったことがわかるもの
  • 問題解決のための調査費用や弁護士費用
  • 第三者(複数)の証言

SNSや掲示板、ブログなどネット上での名誉毀損を訴えるときは、該当する投稿や書き込みのスクリーンショットを撮り、日付やURLを控えておきましょう。
投稿や書き込みは、プリントアウトしたものでも構いません。
口頭で被害に遭った場合は、音声データや動画があればよいですが、なくても複数の第三者が一貫して「職場で◯◯のこういう発言を聞いた」と証言していれば、有力な証拠になり得ます。
防犯カメラは、機種によっては音声も録音できるものがあります。
音声が録音できるタイプのものであれば、証拠として利用できるでしょう。
そのほか、損害賠償請求を検討しているときは、精神的苦痛を受けた証拠となる医師の診断書や通院歴がわかるものなどがあれば残しておくことをおすすめします。

2.弁護士に相談・依頼する

証拠を集めたら、名誉毀損・誹謗中傷問題やネットトラブルを得意としている弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することでスムーズに解決しやすくなり、望む結果を得られる可能性が高まります。
証拠をうまく集められないときも、弁護士に相談すれば適切なアドバイスをもらえるでしょう。
なお、名誉毀損で相手を訴える場合、民事上・刑事上どちらかの方法を選択するのか、両方を選択するのかを検討する必要があります。
自分で適切な方法を選ぶことは難しいため、弁護士に相談しながらどのような方向性で行くのか考えるとよいでしょう。
弁護士に相談・依頼するメリット・デメリットについては、本記事内の「名誉毀損で弁護士に相談・依頼するメリット・デメリット」で詳しく解説します。

3.発信者情報開示請求をする

加害者がどこの誰かわからない場合は、プロバイダに発信者情報開示請求を行う必要があります。
加害者が特定できていないと、損害賠償請求や刑事告訴ができないためです。
情報開示請求を行う際は、まず「コンテンツプロバイダ」から加害者のIPアドレスやタイムスタンプを提供してもらい、それをもとに「アクセスプロバイダ」から氏名・住所の開示を受けます。

  • コンテンツプロバイダ:サイト運営者・SNSの管理者・サービスの運営会社
  • アクセスプロバイダ:NTTドコモやソフトバンク、OCNなどの通信会社

しかし、プロバイダが開示に応じてくれるケースはあまりなく、その場合は裁判所に申立てを行い開示命令を出してもらわなければなりません。
裁判所での手続きは複雑で専門知識が必要になるため、個人で進めるのは困難です。
無理に自分で手続きせず、弁護士に対応してもらうのがよいでしょう。
なお、一般的なログの保存期間は3〜6カ月程度であるため、保存期間を過ぎると発信者を特定できなくなるおそれがあります。
そのためできる限り早く弁護士に相談し、手続きを進めてもらうことをおすすめします。

4.加害者と交渉する

加害者を特定できたら、相手と交渉します。
方法としては、対面での示談交渉や内容証明郵便での通知・損害賠償金の請求などが一般的です。
当事者だけで話し合うと、相手が感情的になって交渉がこじれたり内容証明郵便を無視されたりする可能性があるため、弁護士を通じて交渉するのがおすすめです。
弁護士に示談交渉を代理してもらえば冷静な話し合いが可能になり、弁護士の名前で内容証明郵便を送付することで相手が応じてくれやすくなります。
いずれの方法でも、訴訟を回避できる可能性が高まるでしょう。

合意が得られたときは、合意内容を書面化した示談書の作成が重要です。
口約束だけでは、言った・言わないのトラブルになるおそれがあります。
弁護士に依頼している場合は弁護士が作成してくれますが、当事者だけで話し合ったときでも、示談書の作成は弁護士や行政書士といった専門家に依頼したほうがよいでしょう。
もし相手が交渉に応じなければ、民事訴訟や刑事告訴を検討します。

5.民事上の責任を問うなら民事訴訟・刑事上の責任を問うなら刑事告訴する

民事上の責任を問うなら民事訴訟、刑事上の責任を問うなら刑事告訴をします。
どちらか一方だけでも両方でも構いません。
それぞれの方法について解説します。

民事訴訟を行う場合

民事訴訟を行うなら、地方裁判所または簡易裁判所に訴状を提出します。
申立先は以下のとおりです。

【管轄裁判所】
・加害者の住所地を管轄する裁判所
・不法行為の地を管轄する裁判所

【裁判所の種類】
・請求額が140万円以下:簡易裁判所
・請求額が140万円超:地方裁判所

原則は加害者の住所地を管轄する裁判所ですが、投稿を見て精神的苦痛を受けた場所として、被害者の住所地を管轄する裁判所への申立ても認められるのが一般的です。
損害賠償金の請求額によって、裁判所の種類が異なる点に注意しましょう。
訴状には、以下の情報を記載・添付します。

  • 原告・被告の氏名・住所などの基本情報
  • 名誉毀損行為の内容
  • 名誉毀損による被害内容
  • 損害賠償金の請求額
  • 証拠書類

裁判所は訴状を受理したあと、被告に訴状の副本や第1回口頭弁論期日の呼出状などを送達します。
弁論期日では双方が主張し合い、必要に応じて当事者尋問や証人尋問が行われます。
期日はその後も1カ月程度ごとに開かれ、十分な主張や立証が尽くされれば終結です。
和解によって解決することもありますが、和解に至らなければ裁判所が判決を下します。

刑事告訴を行う場合

刑事告訴は警察に対して行います。
名誉毀損罪は、被害者による告訴がないと検察官が起訴できない「親告罪」に該当するため、加害者に刑事罰を科すためには刑事告訴の手続きが必要です。
告訴状は検察にも提出できますが、多くの場合は警察に受理してもらうよう案内されます。
また、告訴は口頭でも可能ですが、告訴状を提出するのが一般的です。
告訴状が受理されたあとの流れは以下のとおりです。

  1. 1. 警察が捜査を開始する
  2. 2. 検察官が証拠から起訴・不起訴を判断する
  3. 3. 起訴すると、公開の刑事裁判が行われる
  4. 4. 裁判所が刑事事件として審理し、判決を下す

刑事裁判では、本人確認や起訴内容の確認、黙秘権の告知が行われ、検察官と弁護人が証拠や証人を提出します。
必要に応じて、尋問も行われます。
その後検察官が諭告・求刑し、弁護人が弁論、最後に被告人が意見を述べる流れです。
審理が終わると裁判所が判決を言い渡し、裁判は終了します。
なお、名誉毀損のように比較的軽微な事件の場合、「略式起訴」が選択されることもあります。
略式起訴とは、通常の裁判を行わず、書面審査のみで罰金や科料を科す手続きです。
加害者が罪を認めており、100万円以下の罰金刑や科料が相当と判断される場合に、加害者の同意のもとで行われます。

名誉毀損で認められる慰謝料相場

名誉毀損で認められる慰謝料相場は、被害者が個人か企業かによって以下のように異なります。

  • 個人:10〜50万円
  • 企業:50〜100万円

上記はあくまでも一般的な目安です。
被害の内容が重大・精神的苦痛が大きいといった事情があるときは、個人でも50万円を超える金額が認められる可能性もあります。
そのほか、慰謝料以外にも、弁護士に依頼した場合は、実際にかかった費用の一部を追加で請求できることもあります。
ただし、慰謝料の請求には時効がある点に注意が必要です。
慰謝料請求権は、「被害者が加害者と損害を知ったときから3年」、加害者や損害を知らなくても「不法行為から20年」で消滅します。
間に合いそうにないときは弁護士に相談し、時効を一時的にストップさせたりリセットしたりする方法についてアドバイスしてもらうとよいでしょう。

名誉毀損で弁護士に相談・依頼するメリット・デメリット

名誉毀損で相手を訴えるなら、弁護士への相談・依頼がおすすめです。
ここでは、弁護士に相談・依頼するメリットとデメリットを紹介します。

弁護士に相談・依頼するメリット

名誉毀損で弁護士に相談・依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 相手との交渉を任せられる
  • 法的手続きを代理・サポートしてもらえる
  • 精神的な負担を軽減できる
  • 有利な条件で進められる可能性が高まる
  • 法的な助言・リスク判断を受けられる

弁護士に依頼すると、加害者との交渉や損害賠償請求、削除請求などを代理で進めてもらえるため、直接相手と対峙する負担や精神的ストレスを軽減できます。
また、当事者同士だけで話し合う場合と異なり、感情的な対立や不利な条件での合意リスクも減らせるでしょう。
冷静かつ適切な交渉が期待でき、不当な要求や押し切られる心配をせずに済みます。
さらに弁護士は、法律上有効な証拠の集め方や有利に進めるための方法、正しい慰謝料額なども具体的にアドバイスしてくれます。
自分で手続きを進めるよりも、スムーズに進められるでしょう。
民事訴訟は、裁判所から本人の出頭を求められない限り、書類作成や裁判所とのやりとり、期日当日の対応などほぼすべての手続きを代理可能です。
刑事裁判では、事情聴取や供述調書の作成、証人尋問などは原則として被害者本人が対応する必要がありますが、告訴状の作成や警察・検察との交渉など、多くの場面でサポートしてもらえます。

弁護士に相談・依頼するデメリット

弁護士に相談・依頼するデメリットは、費用がかかることです。
費用の詳細については次章で解説しますが、弁護士に依頼した場合、安くない費用がかかる可能性があります。
損害賠償請求が認められても、弁護士費用のほうが高額になるケースもあるため、結果的に費用倒れになることも考えられます。
実際に依頼する際は、事前に費用や回収が見込める損害賠償額、費用倒れになる可能性について説明してくれる誠実な事務所を選びましょう。

名誉毀損で訴える場合にかかる費用

名誉毀損で相手を訴える場合、主に裁判所に納める「裁判所費用(訴訟費用)」と弁護士に支払う「弁護士費用」がかかります。
ここでは、それぞれの費用について解説します。

裁判所費用(訴訟費用)

民事訴訟を提起する際に、以下の費用がかかります。

手数料(収入印紙) 請求額によって異なる
※100万円の場合は1万円
郵便切手 裁判所によって異なる
※東京地方裁判所では6,000円
(当事者を1人追加するごとに+2,000円)
謄写費用 記録のコピー代として1〜2万円程度
証人の日当・旅費 日当は1日8,000円が上限
合計(目安) 4万6,000円
(内訳:手数料1万円・郵便切手6,000円・謄写費用2万円・日当8,000円・旅費2,000円)

手数料はこちらから確認できます。
郵便切手は管轄の裁判所または弁護士に確認しましょう。
なお、裁判所費用は、民事訴訟と刑事裁判で性質が大きく異なります。
民事訴訟の場合、被害者でも訴訟を提起する際には上記の費用がかかりますが、刑事裁判では加害者が有罪なら加害者、無罪なら国が負担するため、被害者が裁判所費用として負担する費用はありません。

弁護士費用

民事訴訟で弁護士に相談・依頼した場合、以下の費用がかかります。

相談料 1時間あたり5,000〜1万円
※初回無料のケースもあり
損害賠償請求 ・着手金:10〜30万円
・報酬金:請求額の15〜20%程度
IPアドレス開示請求 ・着手金:20万円程度
・報酬金:15万円程度
契約者情報開示請求 ・着手金:20万円程度
・報酬金:15万円程度
日当 ・半日:3〜5万円
・1日:5〜10万円
実費 コピー代や交通費など
※要確認
合計(目安) 127万円
(内訳:相談料1万円・着手金合計60万円・報酬金合計50万円・日当15万円・実費1万円)

ただし、上記はあくまでも目安です。
依頼する事務所や内容によって異なるため、費用は相談の時点で確認しましょう。
なお、名誉毀損で訴訟を提起した場合、加害者に弁護士費用を一部請求できることがあります。
例外もありますが、請求できる割合は10%程度が一般的であるため、弁護士費用が損害賠償金を上回る可能性があります。
費用倒れにならないよう、事前に費用や損害賠償額も含めて相談し、あとから困らないようにしておきましょう。
刑事告訴や刑事裁判で私選弁護士に依頼したときも、弁護士費用が発生します。
依頼内容にもよりますが、相談料や着手金、日当、実費など、民事訴訟を提起した場合と似た費用がかかります。
費用の支払いが難しいときは、法テラスの利用も検討するとよいでしょう。

法テラスとは

経済的な理由で弁護士への依頼が難しい人のために、無料法律相談や弁護士費用の立替えを行っている国の機関。資力や資産などの条件を満たせば利用でき、立て替えてもらった費用は毎月少額ずつ返済できる。

法テラスの詳細は、公式サイトで確認してください。

もしものトラブルには弁護士保険で備えよう

費用倒れの心配がある場合でも、弁護士保険に加入していれば弁護士費用の負担を最小限に抑えられます。
「弁護士保険」とは、法的トラブルが発生した際にかかった弁護士費用を補償するための保険です。
月々数百円〜数千円の保険料で、弁護士費用の負担を大幅に軽減できます。
トラブル発生前に加入しておく必要があり、契約内容や補償範囲は保険会社によって異なりますが、日ごろから備えておけばもしものときも安心です。
前項で挙げた例を使って、どのように費用を軽減できるか見てみましょう。

【事例】
名誉毀損行為を受け、損害賠償請求・IPアドレス開示請求・契約者情報開示請求を弁護士に依頼したケース

・実際にかかった弁護士費用:127万円
・弁護士保険に加入していた場合の自己負担額:25万2,000円

※相談料100%・その他の費用が80%補償されるプランに加入していた場合

実際にかかった弁護士費用 弁護士保険に加入していた場合の自己負担額
法律相談料 1万円 0円
着手金 60万円 12万円
報酬金 50万円 10万円
日当 15万円 3万円
実費 1万円 2,000円
合計 127万円 25万2,000円

※相談料100%・その他の費用が80%補償されるプランに加入していた場合
上記の例では、弁護士保険の加入により実際にかかる費用を4分の1以下まで抑えられています。
備えがあることで、いざというときに費用を気にせず弁護士に相談・依頼できるでしょう。
ただし刑事事件については、保険会社によっては交通事故など一部例外を除いて補償外になる場合があります。
加入の際は、補償範囲をよく確認したうえで申し込みましょう。
弁護士保険の詳細は、以下のページを参考にしてください。

関連記事:【2025年】弁護士保険を比較 人気ランキングから保険料、補償比較|弁護士保険ステーション トラブル別でおすすめの弁護士保険をご紹介

まとめ

名誉毀損で加害者を訴える際の条件や具体的な訴訟の流れ、訴訟にかかる費用などについて解説しました。
名誉毀損の成立には、公然性や権利の侵害、加害者の故意または過失といった条件があります。
民事・刑事で異なる部分があるため、加害者に対してどのような責任を問うかで確認すべきポイントが異なる点に注意しましょう。
また、民事上・刑事上どちらの責任を問う場合でも、弁護士への相談・依頼を検討するのがおすすめです。
ただし、ケースによっては弁護士費用が得られた損害賠償金を上回ることもあるため、事前に費用を確認しておくことが重要です。
もしものときの備えとして弁護士保険に加入しておくと、弁護士費用の負担を大幅に軽減できます。
将来的なトラブル対策をしておきたい方は、加入を検討してみてはいかがでしょうか。

名誉毀損に関するよくあるご質問

名誉毀損で訴えるためにはどのような条件が必要ですか?

名誉毀損で訴えるには、公然性があること、権利侵害があったこと、加害者に故意または過失があったことなどの条件を満たす必要があります。

民事上と刑事上で要件が異なるため、弁護士に相談して確認することが重要です。

名誉毀損で認められる慰謝料はどのくらいですか?

個人の場合は10〜50万円、企業の場合は50〜100万円が一般的な相場です。

被害の内容が重大な場合や精神的苦痛が大きい場合は、より高額な慰謝料が認められる可能性もあります。

名誉毀損で弁護士に依頼する費用はどのくらいかかりますか?

損害賠償請求やIPアドレス開示請求などを含めると、合計で100万円以上かかることもあります。

相談料、着手金、報酬金、日当、実費などが発生するため、事前に費用を確認することが大切です。

弁護士費用が心配な場合はどうすればよいですか?

経済的に不安がある場合は法テラスを利用するか、弁護士保険への加入を検討するとよいでしょう。

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