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退職代行は弁護士に頼むべき?退職代行サービスとの違いや費用・メリットを解説

退職代行は弁護士に頼むべき?退職代行サービスとの違いや費用・メリットを解説

近年、退職代行サービスが有名になり、利用者も増えているようです。
民間の退職代行業者も数多くありますが、実は弁護士に退職代行を依頼することも可能です。弁護士に依頼することで、会社とのさまざまな交渉を任せることができるため、納得のいく形で退職を成功させる可能性が高まります。
この記事では、弁護士による退職代行と民間サービスとの違いや、弁護士に依頼するメリット、弁護士費用の相場などについて解説します。

記事の要約

  • 退職代行は弁護士に依頼することもできる
  • 民間の退職代行サービスができるのは退職意思を伝えることのみ
  • 弁護士は有休消化や残業代請求など会社との交渉や法的手続きにも対応
  • 会社ともめそうなら弁護士依頼が無難

退職代行サービスとは

退職代行サービスとは、労働者本人に代わって退職の意思を会社に伝えてくれるサービスのことです。
会社を辞めたいと思っても、自分では言いにくい場合や退職を申し出ても、会社が辞めさせてくれなかったり、嫌がらせをされたりすることもあるでしょう。
そんなときに利用できるのが、退職代行サービスです。
民法上、雇用期間の定めがない場合には、原則として、退職日の2週間前までに会社に申し出ることで、退職できるものとされています。退職代行業者などの第三者を通じて退職を申し出た場合でも、基本的に2週間が経過すれば退職することが可能です。

なお、株式会社エレメントの調査によると、40代以上では退職代行の利用に否定的な人が多い一方で、Z世代では利用肯定派が過半数を占めています。
年代による違いや、個人の価値観による違いもありますが、退職代行も正当なサービスとして社会に広まりつつあるといえるでしょう。

退職代行サービスへの考え
(株式会社エレメントの2026年調査)

退職交渉は弁護士にも依頼できる

退職代行は、弁護士にも依頼できます。退職に関して会社との交渉が必要な場合に退職代行を利用するには、弁護士への依頼が必要です。
退職代行サービスが有名になった一方で、弁護士に退職の交渉を依頼できることを知らない方も少なくないようです。民間の退職代行サービスでは、非弁提携(*)などの違法行為によるトラブルも発生しています。法的リスクなく安全に退職代行を利用したい方は、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

*非弁提携とは
弁護士が、弁護士でない者(業者など)に対価を提供して事件の紹介を受けたり、名義を貸したりする行為です。非弁提携は、弁護士法27条で禁止されています。

弁護士による退職代行の認知度
(株式会社エレメントの2026年調査)

弁護士による退職代行と民間サービスの違い

民間の退職代行サービスでは、基本的に、労働者の退職意思を会社に伝えることしかできません。退職をめぐって会社と交渉することは、弁護士法72条で禁止されている「非弁行為」に該当するからです。
弁護士であれば、退職意思を伝えることに加えて、各種トラブルについて法的に対応することができます。
例えば弁護士にできて民間の退職代行サービスにできないことの主な例は下記です。

  • 退職をめぐって会社と交渉できる
  • 有給休暇の取得交渉ができる
  • 未払残業代の請求ができる
  • 退職日の調整ができる
  • 損害賠償請求への対応ができる

詳しくは以下で解説します。

退職をめぐって会社と交渉できる

退職を申し入れても、会社側が「今、忙しい」「人手が足りない」「代わりの人がいない」などの理由で、申し入れに応じないケースも少なくありません。
労働者は一方的に退職することも可能ですが、弁護士が代理人として交渉することで、会社が円滑に退職手続きに応じることが期待できます。

有給休暇の取得交渉ができる

未消化の有給休暇がある場合は、退職前に消化することができます。これは労働者の権利であり、原則として会社が拒否することはできません。
しかし、会社が「勝手に辞める従業員に権利はない」などと独自の主張をして、拒否することも少なくありません。
このような場合も、弁護士であれば、有給休暇の取得をめぐって会社と交渉することが可能です。

未払残業代の請求ができる

未払残業代が発生している場合、在職中には請求しにくくても、退職時に請求することもあるでしょう。
弁護士は、未払残業代の計算から会社への請求、交渉、必要に応じて労働審判や訴訟などの法的手続きまで代行してくれます。

退職日の調整ができる

会社が退職の申し入れに同意したとしても、具体的な退職日については調整を要することもあります。
突然退職することによって会社に損害が生じた場合には、損害賠償請求を受けるリスクもあるため、退職日の調整に、誠実に応じることも必要です。
退職日を調整するためには会社との交渉が必要となるため、これは民間の退職代行サービスではできません。

損害賠償請求への対応ができる

一方的に退職の申し入れをすると、会社から損害賠償請求をされることも珍しくありません。実際に会社に損害が発生している場合もあれば、会社が報復的に損害賠償をしてくることもあります。
どのようなケースでも、弁護士に依頼すれば、法的な反論や会社との交渉はもちろんのこと、労働審判や訴訟の手続きも代行してもらえるので、安心です。

退職代行を弁護士に依頼するメリット

退職代行を弁護士に依頼することで得られるメリットには下記のようなものがあります。

  • 会社と直接やりとりをしなくて済む
  • 法的トラブルに対応できる
  • 未払残業代など金銭的な請求ができる
  • 引き止めや嫌がらせへの対応が可能
  • 退職に失敗するリスクが低い

以降で具体的にご説明します。

会社と直接やりとりをしなくて済む

弁護士に依頼すれば、代理人として会社とのやりとりを全面的に代行してくれます。そのため、依頼者は会社と直接やりとりする必要がなくなります。
この点、民間の退職代行サービスを利用した場合には、退職日の調整や引き継ぎなどで少しでも交渉を要する場合には、自分で会社と直接やりとりしなければなりません。
退職代行の利用を検討するケースでは、会社との直接的なやりとりを回避したいと考えることがほとんどです。弁護士に任せることで負担を大きく軽減できる点は、大きなメリットといえるでしょう。

法的トラブルに対応できる

労働者が自分で退職を申し入れた場合、会社による退職拒否や、有給休暇の取得拒否、あるいは損害賠償請求をすると脅されるなど、法的トラブルが発生することも珍しくありません。
民間の退職代行サービスでは法的トラブルに対応することができないため、自分で解決できない場合には、別途、弁護士に相談する必要があります。
最初から弁護士に退職代行を依頼すれば、法的トラブルにも対応してもらえるため、円滑な退職が期待できます。

未払残業代など金銭的な請求ができる

退職する際、未払残業代や退職金、あるいは、在職中にパワハラやセクハラなどのハラスメントに対する慰謝料などを請求したいと考えることもあるでしょう。
民間の退職代行サービスには、このような金銭の請求を依頼することはできません。
弁護士に依頼した場合には、金額の計算から証拠の収集、会社への請求および交渉、労働審判や訴訟などの法的手続きに至るまで、全面的なサポートが受けられます。

引き止めや嫌がらせへの対応が可能

退職の申し入れに対して会社から引き止めや嫌がらせを受けた場合、自分で適切に対応するのは難しいことも多いでしょう。
民間の退職代行を利用した場合でも、引き止めや嫌がらせが続くケースも多いものです。
しかし、弁護士は、代理人として、法的観点から労働者の権利を正しく説明した上で、冷静に会社と交渉してくれます。それにより、引き止めや嫌がらせに悩まされるリスクを軽減できます。

退職に失敗するリスクが低い

民間の退職代行を利用し、その業者が会社と何らかの交渉をした場合は、非弁行為に該当します。非弁行為を行った代行業者は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられるおそれがあります。
退職代行の利用者が処罰されることはありませんが、代行業者が会社に働きかけた行為が全体的に違法とみなされ、退職の申し入れが無効と判断される可能性も否定できません。
このようにして退職に失敗した場合は、改めて自分で会社に対して退職を申し入れるか、弁護士に退職代行を依頼する必要があるでしょう。
はじめから弁護士に退職代行を依頼しておけば、このようなリスクを軽減することが可能です。

弁護士に退職代行を依頼した方がよいケース

民間の退職代行サービスにも、比較的低料金で利用できるなどのメリットはあります。しかし、以下のケースでは、弁護士への依頼を検討した方がよいといえます。

会社が退職を認めてくれない

会社が退職を認めてくれない場合に、一方的に退職すると、会社からの嫌がらせや損害賠償請求などのリスクがあります。そのため、退職代行を利用した方がよいでしょう。
しかし、民間の退職代行サービスでは会社との交渉ができないため、希望どおりに退職できない可能性があります。そこで、弁護士に退職代行を依頼して、会社との交渉を任せるのがおすすめです。

未払残業代等を請求したい

未払残業代や退職金、ハラスメントに対する慰謝料などの金銭を請求するためには、専門的な知識が要求されます。
特に、残業代の支払い請求権には時効があることに注意が必要です。時効期間は、その残業代を本来受け取るべきであった給料日の翌日から3年(2020年3月31日以前に発生した請求権については2年)です。
放置していると、過去の未払分から順次、時効が成立して請求できなくなりますので、早めに弁護士に依頼し、請求手続きをとった方がよいでしょう。

ハラスメントを受けている

在職中にパワハラやセクハラなどのハラスメントを受けている場合は、自分で退職を申し入れること自体が、精神的に重い負担となることもあるでしょう。そんなときは無理をせず、退職代行を利用するのもひとつの方法です。
ただし、会社がハラスメントの事実を否定して、退職を拒否する可能性もあります。その場合には交渉が必要となります。また、慰謝料を請求するためには、専門的な知識が要求されます。
したがって、ハラスメントを受けているケースでは、弁護士に退職代行を依頼する必要性が高いといえます。

会社と一切連絡をとりたくない場合

その他にも、自分で会社と一切連絡をとりたくない場合には、退職代行の利用が便利です。
なかには、民間の退職代行サービスで用が足りることもあるでしょう。しかし、会社と揉めそうな場合には、弁護士に退職代行を依頼するのがおすすめです。
特に、即日退職したい場合や、無断欠勤を続けているような場合には、弁護士に交渉を任せるのがおすすめです。
退職の申し入れ日から2週間は退職できないのが原則(期間の定めがない雇用契約の場合)ですが、弁護士の交渉により、会社の同意を得て即日退職できる可能性もあります。
無断欠勤を続けている場合には、会社から損害賠償請求をされるリスクがありますが、弁護士の交渉により、穏便に解決できる可能性が高まります。

弁護士による退職代行の費用相場

弁護士に退職代行を依頼するためには、弁護士費用が必要です。弁護士費用の具体的な金額は依頼する事務所によって異なりますが、一般的には次のような金額(税別)となることが多いです。

  • 法律相談料…30分につき5,000円程度
  • 着手金…5万~10万円程度
  • 報酬金(金銭を回収できた場合)…回収額の10%~20%程度
  • 実費…数千円~数万円程度

なお、未払残業代などの金銭請求や、その他の法的トラブルの解決を併せて依頼する場合には、別途、着手金を要することもあります。
また、会社から未払残業代などの金銭を回収しなかった場合でも、トラブル解決の成果に応じて報酬金が必要となることもあるので、注意が必要です。
弁護士に依頼する前に、必ず費用についても詳しい説明を受け、確認しましょう。

労務トラブルに使える弁護士保険とは

弁護士保険とは、日常生活や仕事上・事業上で法的トラブルが起きたときに、弁護士へ相談・依頼した際にかかる費用(相談料・着手金・報酬金など)を補償する保険のことです。
退職トラブルや未払残業代、ハラスメント問題などの労務トラブルに巻き込まれたとき、弁護士保険に加入していれば、費用を心配することなく弁護士に相談・依頼できます。
ただし、単に退職意思を伝えるだけの場合は、交渉などの法律事務を含まないため、弁護士保険は使えない可能性があることにご注意ください。
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まとめ

弁護士による退職代行には、民間の退職代行サービスよりも費用が高いというデメリットもあります。
しかし、民間の退職代行サービスを利用して退職に失敗し、改めて弁護士に依頼する必要性が生じた場合には、手間と費用の面で二重の負担が生じることにもなりかねません。
弁護士に退職代行を依頼すれば、会社に退職意思を伝えるだけでなく、法的トラブルの解決を含むすべてのことを任せることが可能です。
会社との間でトラブルが発生しそうな場合は、はじめから弁護士への依頼を検討してはいかがでしょうか。

弁護士による退職代行に関するよくあるご質問

弁護士による退職代行と民間の退職代行サービスには、どのような違いがありますか?

民間の退職代行サービスは退職意思を伝えることしかできませんが、弁護士は会社との交渉や法的手続きにも対応できます。

有給休暇の取得交渉や未払残業代の請求、損害賠償請求への対応なども弁護士に依頼することが可能です。

弁護士に退職代行を依頼する場合、費用はどのくらいかかりますか?

法律相談料は30分5,000円程度、着手金は5万〜10万円程度が目安です。

未払残業代の請求など金銭的な対応を併せて依頼する場合は、別途着手金が必要になることもあります。

退職代行を弁護士に依頼した方がよいケースはありますか?

会社が退職を認めてくれない場合や、未払残業代・ハラスメントの慰謝料を請求したい場合は、弁護士への依頼が適しています。

即日退職を希望する場合や、会社と一切連絡をとりたくない場合にも、弁護士への依頼が有効です。

退職代行を利用した場合、会社から損害賠償を請求されるリスクはありますか?

退職代行の利用自体を理由とした損害賠償請求が認められるケースは、一般的にほとんどないとされています。

ただし、万一請求された場合も、弁護士に依頼していれば対応を任せることができます。

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この記事を書いた人

川端 克成(弁護士)
川端 克成(弁護士)
二部大学を卒業後、独学で旧司法試験に合格し、地方都市の街弁として幅広く活動。
弁護士業務の傍ら、豊富な専門知識と経験を活かして法律記事を中心にライターとしても活動中。
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