交通事故の後遺症の症状は?|後遺障害認定を受ける方法もわかりやすく解説
2024年12月18日
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弁護士
文学部卒業後、一般企業で営業職を経験。社会人経験を活かしてチャレンジした司法試験に合格し、弁護士として日々奮闘中。一般民事案件に携わる傍ら、複雑な法律の世界を多くの人に分かりやすく伝えられるよう、リーガルライターとしても活動中。
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- 事故2024.12.18交通事故の後遺症の症状は?|後遺障害認定を受ける方法もわかりやすく解説
交通事故の影響で、足が動かなくなった、手の感覚がおかしくなった、などは、悲しいですがよく聞く話ですね。このように、これ以上治療を続けても、もう良くも悪くもならない、症状が固定してしまった(これを「症状固定」と言います)という状態を「後遺症」と呼びます。後遺症は、頸椎捻挫(むち打ち)のような程度の軽いものから、高次脳機能障害など重度のものもあります。交通事故で後遺症が残ると、被害者は事故後亡くなるまで身体的な制限を受け続けることになり、仕事や日常生活に多大な悪影響を受けます。そういった場合後遺症を負った被害者は、加害者に対して損害賠償の請求が可能となることが通常です。以下では、後遺症と損害賠償の関係について解説していきます。
記事の要約
- 後遺症とは、治療を行っても回復の見込みがない身体の障害を指す。
- 後遺症に対する損害賠償は、慰謝料と逸失利益の2つが中心。
- 後遺症があっても、必ずしも後遺障害認定を受けられるわけではない。
- 早期の示談は避け、後遺障害等級認定後の慎重な対応が重要。
後遺障害等級とは
被害者に後遺症が残った場合は、自賠責損害調査事務所という認定機関が後遺障害等級の認定を行います。この機関は、中立な第三者組織という位置づけです。
自賠責損害調査事務所は、被害者に後遺障害があると判断した場合、その障害の程度に応じて1~14級の後遺障害等級を付けます。たとえば、両下肢を失ったら1級、片耳の聴力を完全に失ったら9級、むち打ちなら14級、といったような認定となります(実際は、自動車損害賠償保障法上の別表1・2にそれぞれ等級が存在しますが、今回は割愛します)。等級の数字が小さければ小さいほど症状が重度であり、支払われる損害賠償額も大きくなる、という仕組みです。
ここで重要な点が、「後遺症」があることは、必ずしも「後遺障害」があることを意味しない、という点です。後遺障害がある、というのは、後遺障害14級以上に認定される後遺症がある、という意味です。つまり、被害者に「後遺症」が存在していたとしても、それが自動車損害賠償保障法上の14級に満たない程度のものである場合は、その方は「後遺障害」を有していないと判断されることになります。
したがって、後遺障害等級の認定を受けられるよう、被害者は入念に準備をすることが重要です。次のセクションでは、この認定を受けるための手続きの流れを解説していきます。
後遺障害認定の手続き
自賠責損害調査事務所(以下「調査事務所」とします)から後遺障害等級の認定を受けるには、主に2つのルートがあります。1つは、相手方任意保険会社が調査事務所に認定を申請する「事前認定」というもの、もう1つは、被害者自らが資料を集め、相手方自賠責保険会社を通じて調査事務所に認定を申請する「被害者請求」です。今回は、相手方任意保険会社と揉めていることを想定し、「被害者請求」をご説明いたします。
まず被害者は、相手方自賠責保険会社に対し、被害者請求に必要な資料一式を送付するよう求めます。認定にあたり必要となる資料は、基本的に全て定型化されているため、まずは書式を取り寄せる必要があります。資料一式を入手したら、個々の状況に応じた必要資料を確認し、その確保に移りましょう。主には、主治医に後遺障害診断書の作成をお願いする、という流れとなると思います。
また、多くの場合、相手方任意保険会社に治療費等の一括対応をお願いしていると思いますが、その場合は相手方任意保険会社が、診断書や診療報酬明細書等、必要資料の一部を既に所持していることが多いです。それらの資料は被害者請求においても用いることができるため、お願いして送付してもらうようにしましょう。
申請書類は、相手方自賠責保険会社を通じて調査事務所に送られ、通常約2カ月で結果が出ます。ただし、MRI画像や専門医の意見書などの追加資料を求められ、結果が出るまでさらに1~2カ月程度かかるケースもあり、事案ごとに大きな差があります。
後遺障害認定を受けるためのポイント
後遺障害等級認定を受けるには、調査事務所に対し、認定に足り得る資料を提出することが必要です。そして、その資料を、被害者自身が収集するという気概が必要です。
まず、最も重要な資料は、主治医による後遺障害診断書です。保険会社から入手した書式を持って主治医を訪問し、症状を的確に伝え、それを記入してもらうようにしましょう。主治医の記載する書面に記載されている事実が、何よりも重要な資料となります。絶対に遠慮はせずに、症状を全て申告してください。また、担当医が合わないと感じた場合は、セカンドオピニオンを検討することも重要です。
さらに、被害者やご家族で、症状記録(いつ、どのような時に、どんな痛みを感じたか等)をつけたり、負傷部位の写真を定期的に撮ったりすることも重要です。このような資料も、損害の立証資料として役立つ可能性があります。また、仮に訴訟に移行した場合も重要な証拠となりえます。
資料を集めて後遺障害等級認定を受けたが、認定等級に不服がある、もしくは非該当とされた場合は、異議申し立てをすることができます。ただし、より重度な等級を認定してもらうためには、1度目の結果を覆すに足りる資料を新たに用意する必要があります。その点も踏まえて、はじめから最大限の症状の訴えをしてください。
なお、先にご説明したとおり、後遺障害等級認定は、相手方自賠責保険会社を通じて行われ、また相手方任意保険会社から手持ち資料の送付を受ける必要があります。何にせよ、相手方保険会社との連携が重要になってくる場面が多いので、スムーズな協力関係を意識してください。
後遺症がある場合の示談のタイミング
相手方保険会社は、早期に事故処理を終わらせるために、被害者に対し賠償金の支払額を提示してくることが多いです。これを「示談」と言います。示談は、双方納得の上で行われる事件解決であるため、良い面も大きいですが、一度示談に応じてしまうとそれ以降の増額は非常に困難であるというリスクがあります。特に、被害者に怪我がある場合は、早期の示談は危険と考えてください。
さきほどご説明したように、後遺障害等級が認定されると、等級に応じた賠償額の支払いを受けることができます。逆に言えば、この認定の前に示談をしてしまうと、認定された場合に受け取れる額よりも低い金額で示談することとなるため、後遺症の自覚がある場合は後遺障害等級認定前の示談は避けましょう。
また、後遺障害等級認定を受け、仮にそれが不服であったとしても、異議申し立ての道は残りますし、訴訟で争うことも可能です。もちろん個々のケースにはよりますが、一般的に、医師から症状固定の診断を受け、後遺障害等級認定の結果が出てから、示談交渉を始めることをお勧めします。相手方保険会社から示談金の提示を受けても、焦らずに、被害者ご自身が納得する金額・対応を求めていく姿勢が大事です。
後遺障害に関する損害賠償
後遺障害が残ると、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」の大きく2つの損害額を請求することが可能です。また、ケースによっては、将来介護費等の追加費用も請求することができます。
まず「後遺障害慰謝料」とは、後遺障害が残ったことについての精神的苦痛に対する慰謝料を指します。実務上、後遺障害等級によって金額の目安が決められており、原則はその目安金額をそのまま請求できると考えます。例えば、片耳の聴力を完全に失った(9級)ら690万円、むち打ち(14級)なら110万円、という形です。
次に、後遺障害の「逸失利益」とは、仮に後遺障害が残らなければ得られたであろう将来的な利益を指します。事故の後遺症のせいで、仕事ができなくなったり職場を変えしたり、同じ職場でも軽い仕事しかできなくなった、等の状況を、主にはイメージしてください。被害者の社会的立場や職種、性別、年齢、事故前の収入金額、障害の程度等に基づいて、被害者が事故前と比較してどの程度働く機会・能力を奪われ、その状態がいつまで続くのかを計算し、逸失利益の金額が算出されます。
また、後遺障害が残ることによって、将来も継続的に介護をする必要がある場合や、通院を要する場合、あるいは自宅の改造などの費用が発生する場合は、その分の費用も請求することが可能です。
まとめ
このように、交通事故で怪我をした場合は、主治医と密にコミュニケーションをとり、少しでも後遺症の可能性が生じたら、後遺障害認定を受けるようにしましょう。焦らず慎重に対応することで、適切な賠償額を得ることができます。もっとも、後遺障害の絡む事件では必要資料の収集や相手方保険会社との折衝など、個人では難しい局面も多いですので、弁護士など専門家を頼ると良いでしょう。
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