交通事故で弁護士費用特約を使えないのはどんなとき?
2022年05月12日
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予備試験を経て司法試験に合格し、2016年に弁護士登録。
法律事務所での執務のほか、インハウスとしても執務を経験。
現在は独立し、弁護士としての活動に加え、飲食店等に関する事業経営も積極的に行っている。
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弁護士費用特約は、自動車保険などに付帯することのできる特約です(各保険会社の販売する商品によって、名称は異なります)。これを付帯していれば、交通事故に遭ったときに、費用の心配をすることなく弁護士に依頼することができます。
インターネット上で公表されているデータによれば、自動車保険に加入する人の64.5%が弁護士費用特約を付帯しています。
他方、弁護士費用特約も保険商品ですから、保険金の支払を受けることができないケースが約款で定められています。
この記事では、交通事故で弁護士特約が使えない代表的なケースを、具体例を交えてご紹介します。
記事の要約
- 弁護士費用特約は、交通事故の際に弁護士に依頼する費用を保険会社が負担する特約。
- 保険料は年額約2000円で、最大300万円までの弁護士費用をカバー。
- 弁護士費用特約の適用外は一般的には被保険者の故意・重過失や家族への損害賠償請求、天変地異、日常事故などが該当。
弁護士費用特約とは
弁護士費用特約は、年額2000円前後の保険料で、自動車保険や火災保険などに付帯することができる保険です。傷害保険やクレジットカードの保険に付帯されていることもあります。
弁護士費用特約を付帯していれば、交通事故の被害者となり、加害者に対して損害賠償を請求する場合に、弁護士費用を最大300万円(法律相談や書類作成だけの場合は最大10万円)まで保険会社に負担してもらうことができます。最近では、交通事故の加害者となってしまった場合に、刑事手続に関する弁護士費用を保険会社が負担するという商品も販売されています。
交通事故の被害者となった場合に弁護士に依頼する最大のメリットは、弁護士を付けない場合と比較して、慰謝料の額が高額となることが期待できるという点にあります。詳細の説明は省略しますが、弁護士を付けない場合には、任意保険基準という、加害者側の保険会社の基準で慰謝料が算定されることとなり、弁護士を付けた場合には、裁判基準(弁護士基準)という、過去の裁判例を踏まえた基準で慰謝料が算定されることとなり、その差は2~3倍となることもあります。
また、自分に過失がない「もらい事故」の場合、保険会社は、加害者と示談交渉を行うことができませんが、この場合でも自己負担なく弁護士に依頼できるというメリットもあります。
もらい事故の場合、被害者側の過失がゼロであり、被害者には加害者に対する損害賠償責任が発生しないので、保険会社は事故とは無関係の立場となり、加害者と示談交渉をすることができません(この場合に保険会社が加害者との示談交渉を行うと、弁護士法第72条に違反してしまいます)。したがって、もらい事故の場合で弁護士費用特約を付帯していなければ、自分自身で加害者との示談交渉を行うか、自己負担で弁護士に依頼して示談交渉をしてもらう必要があります。しかし、弁護士であれば、当然に示談交渉を行うことができますので、弁護士費用特約を付帯していれば、もらい事故の場合であっても困ることがなくなります。
このほか、加害者や加害者側の保険会社との煩わしい示談交渉を弁護士に任せて治療に専念することができる、精神的な負担を軽減できる、訂正な解決を期待することができるなどのメリットもあります。
また、弁護士費用特約を使ったからといって、翌年度の等級には影響がありません(ただし、翌年度の保険料が上がる場合はあります)。
以上のことから、弁護士費用特約を付帯している場合には、弁護士費用特約を使うことにデメリットはないと考えて問題ないといえるでしょう。
弁護士費用特約を使えないケースとは
各保険会社の約款で定められている
弁護士費用特約による保険金の支払を受けることができないのはどのような場合であるかは、各保険会社の約款で定められています。そのため、Aという保険会社では弁護士費用特約による保険金の支払を受けることができるケースであるのに、Bという保険会社では保険金の支払を受けることができないという可能性もあり得ますので、ご自身の加入している保険会社の約款を確認していいただくことが必要です。
もっとも、弁護士費用特約による保険金の支払を受けることができないケースは、各保険会社ともにおおむね共通していますので、以下では、代表的なケースをご紹介します。
弁護士費用特約を使えない代表的なケース
ここでは、「おとなの自動車保険」の弁護士費用特約を例に、弁護士費用特約を使えない代表的なケースをご紹介します。
おとなの自動車保険で弁護士費用特約を使えないのは、次のようなケースであるとされています。
- 被保険者の故意または重大な過失によって、その本人に生じた損害
- 無免許運転、麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態での運転、酒気を帯びた状態での運転によって、その本人に生じた損害
- 闘争行為、自殺行為、犯罪行為によって、その本人に生じた損害
- 被保険者が次のいずれかの方に損害賠償請求を行う場合
- 記名被保険者とその配偶者、記名被保険者またはその配偶者の同居の親族・別居未婚の子
- 被保険者の父母、配偶者または子
- ご契約のお車の所有者
- 台風、洪水、高潮、地震もしくは噴火またはこれらによる津波により発生した損害
- 被保険者が所有、使用または管理する財物に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さびその他自然の消耗
- 極めて異常かつ危険な方法で自動車に搭乗中の場合
- 日常生活の事故など、自動車にかかわる事故ではない場合
これをまとめればれば、弁護士費用特約を使えないケースとは、次のような場合であるということができます。
②家族・親族に損害賠償請求を行う場合
③天変地異による損害の場合
④日常事故の場合
このほか、当然のことであるため約款には明記されていませんが、⑤被保険者が加害者の場合にも、弁護士費用特約を使うことができません。また、保険会社によっては、仕事中の事故や事業用の車を運転していた場合など、⑥労災の適用がある場合には、弁護士費用特約を使えないと約款で定められていることもあります。さらに、⑦事故が起きた時点で弁護士費用特約を付帯していなかった(事故が起きた後で弁護士費用特約を付帯した)場合も、弁護士費用特約を使うことができません。
細かな点は各保険会社によって異なりますので、交通事故の被害者となってから慌てないためにも、あらかじめ約款を確認し、いざというときのために備えておくことが大切です。
保険会社が弁護士費用特約を使わせないこともある
保険会社による誤導が行われる可能性に注意
以上、あらかじめ約款で弁護士費用特約を使えないと定められているケースをご紹介しましたが、約款にそのような定めなどなく、実際には弁護士費用特約を使えるケースであるにもかかわらず、保険会社から「今回の事故に弁護士費用特約は使えません」などと誤った説明がされることがあります。
どうしても、保険会社は、保険金の支払を抑えたいと考える傾向にありますので、このように被保険者を誤導してしまうことがありますが、約款に定められていない以上、弁護士費用特約を使うことに問題はありません。
ここでは、皆さんが誤った説明を鵜吞みにすることなく、正しい判断を行っていただけるよう、このような誤った説明がされやすいケースをご紹介します。
争いのない事故の場合
事故の態様・ケガの程度・入通院期間・後遺症など、慰謝料や賠償額を決める重要な点に大きな争いがない場合、弁護士費用特約を使えないと誤った説明がされることがあります。
このような点に争いがなくても、すでにお伝えしたとおり、弁護士が付くことで、慰謝料・賠償額を算定するための基準に裁判基準(弁護士基準)が用いられ、任意保険基準と比較して高額になりますので、弁護士を付けるメリットがあります。
そのため、争いのない事故の場合であっても、弁護士費用特約を使うべきであるといえます。
損害額が小さい場合
損害額が小さい場合も、争いのない事故と同じように、弁護士費用特約を使わせないような説明がされることがあります。
しかし、損害額の大小は、保険を使えるかどうかに関係ありませんし、弁護士を付ければ、慰謝料を算定する基準が高額になりますので、たとえ損害額が小さくても、弁護士費用特約を使うべきです。
自分に過失がある場合
次に、事故の被害者であるものの、自分にも過失があるような場合です。
たしかに、約款で、被保険者に重大な過失がある場合には保険金の支払ができないと定められていますので、一見すると正しい説明であるようにも思えます。しかし、あくまでも被保険者に「重」過失がある場合であり、「軽」過失に過ぎない場合には弁護士費用特約を使うことができます。
被保険者にどの程度の過失があれば「重」過失に当たるのか、一概にはいえないところですが、過失割合が5割以内であれば、弁護士費用特約を使うことができるケースが多いように思われます。
弁護士費用特約を使うための流れ
手続は簡単
弁護士費用特約を使うための手続は、決して複雑ではありません。次のような流れを経れば、使うことができます。
①保険会社に事故の発生を連絡し、弁護士費用特約を使いたいことを伝える
②弁護士を探す(弁護士費用特約を使う場合には自分で弁護士を選べないと考えている方がいらっしゃいますが、これは誤りです。交通事故に精通した弁護士を自分で探して依頼することをお勧めします。)
③弁護士に、弁護士費用特約を使うことを伝える
④その後の保険会社との手続は弁護士が行う
いかがでしょうか。このような簡単な手続で弁護士費用特約を使うことができますので、ためらうことなく利用してください。
自分の保険に付帯していなくても使える場合がある
自分の保険に弁護士費用特約を付帯している場合に使えるのは当然ですが、弁護士費用特約は、家族の保険に付帯している場合であっても使うことができます。
各保険会社によって契約の内容が異なることもあり得ますが、ここでは、おおむね共通している内容をご紹介します。
弁護士費用特約を使える範囲は、次のとおりです。
②被保険者の配偶者
③被保険者の同居の親族(例:父母・兄弟姉妹、子、配偶者の親族)
④被保険者と別居している未婚の子(例:一人暮らしをしている子ども)
⑤契約車に搭乗中の人
⑥契約車の所有者
いかがでしょうか。弁護士費用特約を使える範囲は広いということがお分かりいただけたかと思います。
幅広い補償なら弁護士保険への加入がお勧め
弁護士保険とは、日常生活で法的トラブルに遭ってしまった場合に、解決のため、 弁護士等へ依頼・相談をした際に発生する相談料、着手金、報酬金などの費用を補償する保険です。弁護士費用特約のように、交通事故の被害者となった場合だけでなく、ネットストーカーや離婚、相続、近隣問題など幅広い分野のトラブルが補償対象になります。また、自分で弁護士を探すのは難しいという方のために、弁護士を紹介するサービスも行っています。
弁護士保険に加入すれば、自動車保険等に付帯する弁護士費用特約に比べて、補償の範囲が広がりますので、加入をお勧めします。保険料も、590円/月からという設定です。
ただし、弁護士保険では、保険加入前から抱えているトラブルについて補償を受けることを防ぐために、待機期間・不担保期間が定められています。
待機期間・不担保期間中に発生したトラブルについては、保険契約開始後に弁護士に相談したとしても補償を受けることができませんので、この点には注意しましょう。
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「もしもの高額な支払いに備える」弁護士保険とは?
弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼する際の費用を補償してくれる保険です。
保険料の相場は月額3,000円程度です。そのため、30万円という着手金の相場額を考えると、保険に加入してから9年以内に弁護士に依頼すれば、元が取れます。
現代社会は、交通事故や離婚、労働問題など、さまざまな法律問題に見舞われがちです。そうした法律問題が降りかかってきた時に、弁護士保険に加入していれば弁護士に気軽に相談・依頼ができるので、問題の早期解決につなげられるでしょう。
弁護士保険を活用すると、法律相談料や着手金を全額補償してもらえる場合があるため、金銭的な不安も解消できます。弁護士への依頼に際して金銭的な不安を解消したい方は、弁護士保険に加入することをおすすめします。
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保険によっては、保険加入後に弁護士保険に加入していることを示す「リーガルカード」や「ステッカー」が配布されるので、トラブルの抑止効果が期待できます。
そのほか、弁護士保険では、「弁護士紹介サービス」や「相談ダイヤルの設置」など、便利な付帯サービスが用意されています。
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