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パワハラで訴える方法とは?必要な証拠や知っておくべきことについて解説

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パワハラで訴える方法とは?必要な証拠や知っておくべきことについて解説

この記事を書いた人

鷹見ゆり
鷹見ゆり
元行政書士のフリーライター。
行政書士・土地家屋調査士の補助者を約10年務めたのち、行政書士として独立。
相続・遺言や農地関係、建設業許可などの業務に携わる。
現在はフリーライターとして、相続・遺言、離婚、不動産関連の記事や資格予備校のコラムなど、日々積極的に執筆活動を行っている。
「誰が読んでもわかる記事」を常に心がけている。

「パワハラで訴えたいけど、具体的な方法がわからない」
「証拠になるものや、訴訟までの流れが知りたい」

職場でパワハラを受け、このようなことで悩んでいませんか?
パワハラで相手を訴えるなら、突然訴訟を起こすのではなく段階的に進める必要があります。
中でも重要なのは、客観的な証拠を集めることです。
パワハラが事実でも、そのことを客観的に証明できない場合は損害賠償の請求が認められない可能性が高いです。
また、相手から反対に訴えられるおそれがあります。
そのほか、訴訟を提起することで会社に居づらくなったり、昇進・転職に影響したりする可能性も知っておきましょう。
本記事では、パワハラで訴える方法や必要な証拠について解説します。
記事を最後まで読むことで、証拠集めから法的措置までの進め方が把握でき、落ち着いてパワハラ問題に対処できるようになるでしょう。

記事の要約

  • パワハラで相手を訴えるときは、突然訴訟ではなく段階的に進める必要がある
  • 客観的な証拠を集められなければ、損害賠償請求が認められにくい
  • 訴訟には反訴の可能性や職場での立場悪化、キャリアへの影響などのリスクがある
  • 早期の解決を目指すなら、弁護士への相談が不可欠

そもそもどういう行為がパワハラになる?

パワハラは、厚生労働省が定める以下の要件すべてを満たす行為をいいます。

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
  • 就業環境が害される

つまり、上司と部下、先輩・後輩の関係であるなど双方の関係性に優劣があり、業務に関係のない嫌がらせやいきすぎた指導によって被害者が安心して働けなくなることです。
たとえばミスをした際に「次はミスがないように」との指導を受けたり、人事評価で「営業成績が目標に達していません」と事実を伝えられたりといったことではパワハラになりません。
なお、具体的なパワハラ行為は以下の6つの類型に分類されます。

身体的な攻撃 殴る、蹴る、物を投げつけるなどの暴力行為
精神的な攻撃 ・「死ね」「殺すぞ」などの脅迫的な暴言
・人格を否定するような侮辱的発言
・大声での叱責
人間関係からの切り離し ・隔離
・仲間外れ
・無視による孤立
過大な要求 過度な業務の押しつけ
過小な要求 能力に見合わない単純作業のみの割り当て
個の侵害 ・私生活への過度な立ち入り
・個人情報の詮索

このような行為のうち、暴力行為や脅迫的暴言、侮辱的発言は、一度受けただけでもパワハラに認定される可能性が高いです。
一方、大声での叱責や無視、過度な業務の押しつけなど比較的軽度な行為の場合、一度受けただけではパワハラ認定されないことがあります。
なぜなら、パワハラの要件のひとつである「就業環境が害される」といえるかが問題になるためです。
ただし軽度な行為でも、継続的に行われ就業環境が悪化した場合は、パワハラ認定される可能性があります。

パワハラ上司を訴える5つの方法

「訴える」というと裁判や労働審判といった法的措置が思い浮かびますが、パワハラ上司を訴える場合、選択肢は法的措置だけではありません。
ここでは、パワハラ上司を訴える5つの方法を紹介します。

1. パワハラ上司本人に直接訴える
2. 会社に訴える
3. 労働局に訴える
4. 裁判所に訴える
5. 警察に訴える

方法ごとにメリットやデメリットが異なるため、状況に合わせて手段を選択する必要があります。
順序立てて進めることで、時間と費用を抑えながら効果的な解決を図れるでしょう。

1.パワハラ上司本人に直接訴える

パワハラ行為をやめるよう、加害者本人に直接訴える方法があります。
本人が自覚なくパワハラをしているケースもあるためです。
自分の行いがパワハラに該当するとわかれば、行動を改めるかもしれません。
加害者と直接話すときは、具体的な行為と受けた苦痛を冷静に伝え、改善を求めましょう。
話した内容は必ず記録として残し、改善されない場合は次の段階に進む旨を相手に伝えることで、問題の深刻さを相手に認識させられます。
ただし、かえってパワハラが悪化したり報復を受けたりする可能性を考慮する必要があります。
相手の性格や過去の行動パターンを分析し、直接話すと逆効果になりそうなときは、本人ではなく会社や外部機関への相談を検討しましょう。

2.会社に訴える

本人にではなく、会社に訴えるのもひとつの方法です。
会社に訴える場合、以下の部署や機関に相談します。

  • 人事部
  • 総務部
  • コンプライアンス窓口
  • 労働組合

相談後、会社は相談内容が事実かどうか調査します。
相談の際は証拠書類を持参し、「いつどこで誰に何をされたか」を客観的に報告するようにしましょう。
証拠書類については、本記事内の「パワハラで訴える際に必要な証拠リスト」で解説しているため参考にしてください。
調査の結果パワハラの事実が認められれば、加害者に対する以下の措置が期待できます。

  • 懲戒処分
  • 部署異動
  • 研修実施

ただし適切に対応してもらえないケースや、相談内容が漏洩するリスクもあります。
会社の対応状況も記録しておき、会社の対応が不十分と感じたときは労働局への相談に移行することを検討すべきでしょう。

3.労働局に訴える

会社で適切な対応をしてもらえない場合は、労働局に相談するとよいでしょう。
労働局は会社に対して実態調査を実施し、必要に応じて改善の助言や当事者間の調整を行います。
パワハラの事実を確認したあとは、会社への指導勧告やあっせん手続きにより、職場環境の改善や被害者への謝罪を促せます。
一方で、労働局には強制力がなく、会社が指導に従わなければ解決に至らない可能性がある点には注意が必要です。
労働局での解決が困難だと感じたら、労働審判や民事訴訟といった法的措置への移行を検討する必要があるでしょう。
なお、労働局へは無料で相談可能です。
窓口や対応時間は以下のとおりです。

窓口 各都道府県の労働局に設置された雇用環境・均等部(室)
対応時間 平日8:30〜17:15

窓口は、以下の厚生労働省のホームページから検索してください。
参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

4.裁判所に訴える

労働局に相談しても解決しない場合は、法的措置を検討する必要があるでしょう。
裁判所の法的措置には、労働審判と民事訴訟の2種類があります。

労働審判 労働審判委員会(審判官1名+審判員2名)が当事者の間に入って調停を行い、合意できない場合に労働審判委員会が判断を下す手続き。加害者が会社のときのみ利用できる。
民事訴訟 被害者が加害者に対して損害賠償や治療費などを求める訴訟手続き。裁判官が最終的な判決を下すため強制力がある。加害者が個人でも会社でも利用できる。

ここでは、労働審判と民事訴訟について解説します。

パワハラの労働審判

労働審判は、調停と労働審判の2段階で構成される手続きです。
調停では、労働審判委員会(審判官1名+審判員2名)が当事者の間に入って事実関係を整理し、審判に移行した場合の見通しを伝えたり具体的な調停案を提示したりします。
当事者が合意すれば調停は終了し、審判には移行しません。
調停で合意に至らなければ労働審判に移行し、労働審判委員会が強制的な判断を下します。
労働審判の特徴は、原則3回以内の期日でスピーディな解決が期待できる点です。
ただし加害者が会社でなければ利用できず、個人の場合は対象外です。
また、異議申し立てによって訴訟に移行するリスクがあります。

管轄 地方裁判所
費用 ・収入印紙代:500円〜(請求額による)
・郵便切手代:2,000円程度(裁判所によって異なる)

管轄の裁判所は、以下の裁判所のホームページから検索してください。
参考:裁判所の管轄区域|裁判所

パワハラの民事訴訟

民事訴訟は、被害者が加害者に対して損害賠償や治療費、休業損害などを求める手続きです。
裁判官が最終的な判決を下すため強制力があり、相手が個人でも会社でも対象になります。
注意点は、原則3回以内の期日で終了する労働審判よりも長期にわたる可能性がある点です。
また、証拠集めから訴状の作成、口頭弁論など専門的な手続きが必要になるため、自分で対応するのは難しいでしょう。
弁護士に依頼し、適切な法的対応をすることが重要です。

管轄 ・請求額が140万円以下:簡易裁判所
・請求額が140万円超:地方裁判所
費用 ・収入印紙代:請求額による(請求額100万円で1万円程度)
・郵便切手代:5,000〜1万円程度(裁判所によって異なる)
・弁護士費用:総額で100万円程度が相場

5.警察に訴える

身体的暴力や脅迫など、パワハラが刑事犯罪に該当する場合は警察に相談しましょう。
殴る・蹴るといった暴行は暴行罪や傷害罪、悪口を言いふらす行為は名誉毀損罪や侮辱罪として刑事処罰の対象になる可能性があります。
なお、パワハラを犯罪として警察に申告するときは、被害届または告訴状を提出します。
両者の違いは以下のとおりです。

被害届 犯罪の被害に遭った事実を警察に申告するための書類。あくまでも被害を捜査機関に伝えるものであるため、犯人の処罰を求める意思表示は含まれない。
告訴状 被害者が捜査機関に犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求めるための書類。被害届とは異なり、加害者への厳重処罰を求める意思表示を明確に示す。

身体的なけがだけでなく、精神的苦痛によるうつ病や精神疾患の発症も傷害として被害届の提出が可能です。
ただし警察は「民事不介入の原則」から、軽微なパワハラ事件の捜査には消極的です。
民事不介入の原則とは、警察は人間関係のトラブルには原則として介入しないという考え方です。
パワハラは職場での人間関係のトラブルとして扱われがちであり、被害者が死亡したり重傷を負ったりしたときなど、深刻な被害があるケースでなければ動いてくれない可能性があります。
また、刑事事件として立件されても、主な目的は加害者への処罰であるため、加害者に損害賠償を請求したい場合は別途民事訴訟で請求しなければなりません。
加害者に刑事責任を追及できるかどうかは判断が難しいため、被害に遭ったら弁護士に相談し、アドバイスを受けながら進めていくのがよいでしょう。

パワハラで上司を訴える場合の流れ4ステップ

ここからは、パワハラで上司を訴える場合の流れを以下の4ステップで解説します。

1. パワハラを証明できる証拠を集める
2. パワハラの被害を会社に報告・相談する
3. 会社に相談しても解決しない場合は労働局に相談する
4. 労働局に相談しても解決しないなら弁護士に相談する

パワハラ問題は、順序立てて進めていくのがポイントです。
最初から訴訟を起こすのではなく、証拠収集から始めていきましょう。
なお、弁護士へは、労働局への相談後ではなく各ステップと並行して相談してもよいでしょう。
ステップごとに詳しく解説します。

1.パワハラを証明できる証拠を集める

まずは、パワハラを客観的に証明できる証拠を集めましょう。
相手がパワハラを否定している場合、客観的な証拠がなければ損害賠償の請求が認められにくいためです。
証拠には音声データやメール・LINEのやりとり、パワハラの事実を綴った日記などがあります。
ただし、証拠集めの際は感情的にならず、日記をつけるときは事実のみを記録することが重要です。
証拠については、次の章で詳しく解説します。

2.パワハラの被害を会社に報告・相談する

証拠を集めたら、その証拠をもってパワハラの被害を会社に報告・相談します。
社内相談窓口に報告・相談することで、会社には調査と改善措置を実施する責任が発生します。
相談する際の注意点は、パワハラの事実を客観的に報告することです。
感情的な表現は避け、具体的な日時や行為の内容を明確に伝えましょう。
また、会社がどのように対応してくれたかを記録することも重要です。
適切に対応してくれない場合や問題が解決されないときは、次のステップである労働局への相談で根拠として活用できます。

3.会社に相談しても解決しない場合は労働局に相談する

会社が動いてくれないときや相談しても解決しない場合は、各都道府県の労働局に相談するのも有効な方法です。
労働局への相談は、公的機関による客観的な判断と会社への指導を期待できる解決手段です。
無料で利用できるため、気軽に相談してみると良いでしょう。
ただし来所での相談は予約が必要な場合が多いため、事前に電話で予約することをおすすめします。
なお、労働局の指導に会社が従わないときは解決できない可能性があります。
そのため、労働局に相談しても解決しなければ弁護士への相談を検討しましょう。
パワハラのような複雑な問題では、労働局に相談せず最初から弁護士に相談するのもひとつの手段です。

4.労働局に相談しても解決しないなら弁護士に相談する

会社や労働局に相談しても解決しない場合は、弁護士に相談しましょう。
もちろん、最初から弁護士に相談しても構いません。
弁護士に依頼すれば、内容証明郵便の送付による警告から労働審判、必要な場合は民事訴訟というふうに、段階的に法的措置を進めてもらえます。
専門的な法的知識と交渉技術で慰謝料の請求や職場環境の改善を実現し、パワハラ問題の根本的な解決を図れるでしょう。
ただし、弁護士であれば誰に相談してもよいというわけではありません。
労働問題に精通しており実績のある事務所をいくつかピックアップし、無料相談を活用して複数の事務所を比較することをおすすめします。
比較するポイントは以下のとおりです。

  • 費用体系
  • 解決方針
  • 弁護士の人柄・自分との相性
  • 相談しやすさ
  • レスポンスの速さ
  • 事務所の雰囲気

信頼できる弁護士を選択することで、問題解決の成功率を高められるでしょう。

パワハラで訴える際に必要な証拠リスト

ここまで解説したとおり、パワハラで訴えるには客観的な証拠が必要です。
以下のリストを参考に、集めてみてください。

証拠 備考
音声データ・動画 「給料泥棒」「役に立たないから辞めろ」などの暴言や威圧的な発言。
メール・LINEのやりとり 「何時間かかってるんだ、この無能が」「転職しろ」「頭大丈夫か?」というような、業務指示とはいえない人格攻撃や過度な叱責。
被害者の日記・メモ 発生日時、場所、加害者名、具体的な被害内容、目撃者の有無を毎日継続してつける。ただし日記単体だと証拠としては弱い。
医療記録 医師の診断書(パワハラによる精神的、身体的被害を医学的に証明できるもの)

証拠は、単体ではなく複数の証拠を組み合わせることで証明力が上がります。
できるだけ多くの証拠を確保しましょう。
なお、証拠集めをすべきタイミングは、パワハラを現在進行形で受けている時期です。
過去のパワハラについては集められる証拠が限られているため、あとから集めるのは困難です。
「これはパワハラに該当するかもしれない」と感じる行為を受けたら、その瞬間から準備を始めましょう。
音声は、スマートフォンの録音機能やICレコーダー、ペン型のボイスレコーダーなどで録音します。
誰との会話なのかがわかるよう、録音中にあえて加害者の名前を呼ぶのがおすすめです。
ただし、録音データの公開は違法になる可能性がある点に注意が必要です。
医療記録については、診察時にパワハラを受けたことを申告し、カルテにパワハラの具体的な内容を記載してもらうとより証明力が高まります。
証拠集めに困ったら、弁護士からアドバイスを得ながら進めるとよいでしょう。

パワハラで訴えた場合の慰謝料相場

パワハラで訴えた場合の一般的な慰謝料相場は以下のとおりです。

  • 軽度:50万〜100万円程度(主に暴言・無視による精神的苦痛など)
  • 重度:200万〜300万円程度(主に身体的暴力や精神疾患を発症したケースなど)

慰謝料額は、被害の程度や継続期間によって異なります。
裁判所は加害行為の悪質性や被害者が受けた精神的苦痛の程度、会社の対応状況などを総合的に評価して慰謝料額を算定します。
たとえば身体的暴力を受けたり精神疾患を発症したケースでは、慰謝料だけでなく治療費や休業損害、逸失利益の請求が可能です。
そのため総額では、慰謝料の数倍にもなる場合があります。

休業損害とは
パワハラによるけがや精神疾患で仕事を休んだ場合の収入減少をカバーするためのもの。
逸失利益とは
パワハラが原因で後遺障害が残ったり死亡したりした場合に、パワハラがなければ将来得られたであろう収入の損失をカバーするためのもの。

ただし計算方法が複雑であるため、正確な金額については自分で算定するのが困難です。
妥当な慰謝料額や休業損害、逸失利益などについて知りたい場合は弁護士への相談をおすすめします。

パワハラで訴える前に知っておくべき重要ポイント

パワハラで相手を訴えるなら、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • まず裁判!ではなく段階的に進める
  • 上司個人だけでなく会社自体を訴えることも可能
  • 訴訟は長期戦になる可能性が高く精神的負担が大きい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

まず裁判!ではなく段階的に進める

パワハラを受けたらすぐ裁判所に訴えることを考えてしまうかもしれませんが、段階的に進める必要があります。
突然訴訟を起こしても、証拠不足や準備不足によって敗訴のリスクが高まり、時間や費用を無駄にしてしまう可能性があるためです。
証拠集めから会社への相談→労働局→弁護士と段階を踏んで進めていくことで、相手方に改善の機会を与えられます。
そのため早期解決の可能性が高まり、訴訟に至ることなく問題を解決できるでしょう。
会社や労働局での対応が不十分な場合は、放置せずできる限り早期の段階で次のステップに移行するのがポイントです。
とくに弁護士への相談は、ためらわずできるだけ早い段階で検討することが重要です。

上司個人だけでなく会社自体を訴えることも可能

パワハラ訴訟では、加害者個人だけでなく会社自体を訴えることも可能です。
会社は従業員が業務を執行するうえで発生した不法行為について責任を負うため、使用者責任と安全配慮義務違反の2つの法的根拠に基づいて損害賠償を請求できます。
個人のみへの請求では資力不足により賠償金の回収が困難になるケースも考えられますが、会社を含めれば確実な賠償金回収が期待できるでしょう。
ただし、会社を相手に訴訟を起こすことで問題が複雑化する可能性もあります。
会社側の反論や証拠隠滅のリスクがあるため、弁護士と連携し戦略的に対応する必要があります。

訴訟は長期戦になる可能性が高く精神的負担が大きい

パワハラ訴訟は長期にわたって継続する可能性が高く、長ければ決着までに数年かかるケースもあります。
そのため、精神的負担と経済的負担を十分に検討する必要があるでしょう。
訴訟中は、継続的に証拠を提出したり証人尋問や法廷での証言が求められたりします。
落ち着かない日々を過ごすことになるうえ、パワハラ被害の詳細を何度も説明することで精神的苦痛が増すかもしれません。
ほかにも、パワハラで訴える際にはさまざまなリスクがあります。
訴訟を検討している場合は、次の章で解説するリスクも念頭に入れたうえで進めましょう。

パワハラで訴える際のリスクと対策

パワハラで訴える際には、以下のリスクも考慮する必要があります。

  • 反対に訴えられるおそれがある
  • 訴えたことで会社に居づらくなる可能性がある
  • 昇進・転職など将来のキャリアに影響することがある
  • ケースによっては費用倒れになる場合がある

パワハラ訴訟を検討するなら、これらのリスクを十分に理解したうえで適切な対策を講じる必要があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

反対に訴えられるおそれがある

証拠不足によってパワハラの事実を証明できない場合、加害者側から名誉毀損で訴えられる可能性があります。
社内での告発や外部への相談内容が事実と異なれば、加害者側の反撃材料として利用される可能性が高いでしょう。
名誉毀損の反訴では、根拠のない誹謗中傷を受けたとして慰謝料を請求されるおそれがあり、経済的負担が増す危険性があります。
また、「問題を起こした人」と冷たい目で見られたり、加害者や周囲から圧力を受けたりして職場に居づらくなってしまうケースも考えられます。
反訴リスクを回避するためには、客観的証拠を収集できるかがポイントです。
そのためにはできる限り早い段階で弁護士に相談し、反訴リスクを抑えた戦略的な訴訟準備を行う必要があります。

訴えたことで会社に居づらくなる可能性がある

訴えたことで職場での人間関係が悪化し、孤立や報復行為によって会社に居づらくなる可能性があります。
報復行為として考えられるのは、重要な業務から外されたり情報が共有されなくなったりすることです。
精神的な負担が増し、退職に追い込まれてしまうおそれがあります。
ただし訴訟を理由とした報復行為は、労働者保護制度によって禁止されている行為です。
報復行為を受けた場合は追加の損害賠償請求が可能であるため、弁護士に報復行為への対処法を相談しながら、必要に応じて転職活動を進めるべきでしょう。

昇進・転職など将来のキャリアに影響することがある

パワハラ訴訟の経験は、昇進・転職など将来のキャリアに影響する場合があります。
「パワハラに遭って訴えた」ことを、採用担当者や人事部門からネガティブなこととして捉えられる可能性があるためです。
たとえば転職の際の面接では、前職での退職理由について質問されることがあります。
この場合、パワハラ訴訟の経験をどのように説明するかが重要な課題になるでしょう。
「パワハラ問題に毅然と立ち向かった」といいように評価してもらえればよいですが、説明の仕方によっては採用の機会を失ってしまうかもしれません。
証拠集めや訴訟の手続きについては弁護士に相談しつつ、面接でパワハラについてどのように説明すべきかは、転職エージェントや人材紹介会社のキャリアコンサルタント、民間のキャリアカウンセラーといった転職の専門家に相談することをおすすめします。

ケースによっては費用倒れになる場合がある

パワハラで労働審判や訴訟になった場合、裁判費用と弁護士費用が損害賠償金を上回る「費用倒れ」のリスクがあります。
訴訟にかかる費用は損害賠償の請求額によって異なりますが、弁護士費用だけで100万円以上かかるケースも珍しくありません。
以下は、100万円の損害賠償を請求する際の費用相場です。

裁判費用 【労働審判】
・収入印紙代:5,000円
・郵便切手代:6,000円(裁判所による)
【民事訴訟】
・収入印紙代:1万円
・郵便切手代:6,000円(裁判所による)
合計額:1万〜2万円程度
弁護士費用 ・法律相談料:1時間あたり5,000〜1万円
・着手金:30万円程度
・報酬金:16万円程度
合計額:47万円程度

上記はあくまでも一例ですが、トータルで50万円程度かかっています。
そのため費用倒れにはなっていませんが、100万円の損害賠償請求が認められても半分しか手元に残りません。
弁護士費用がいくらかかるかは依頼する事務所によって異なるため、弁護士費用が高額になると、費用倒れになる可能性があることを知っておきましょう。
費用倒れを防ぐためには、複数の事務所で無料相談を受けて比較することをおすすめします。

もしもに備えるなら弁護士保険への早めの加入が鍵!

普段からトラブルに備えておくなら、弁護士保険への早めの加入がおすすめです。
弁護士保険とは、実際にかかった弁護士費用を補償するための保険です。
月額590〜5,000円程度の保険料で、数十万円から百何十万円もかかる場合のある弁護士費用をカバーできます。
ひとつ例を見てみましょう。

【事例】
上司からのパワハラで訴訟を提起し、弁護士に訴訟手続きを依頼したケース
・実際にかかった弁護士費用:47万円
・弁護士保険に加入していた場合の自己負担額:9万2,000円
※80%補償されるプランに加入していた場合
実際にかかった費用 弁護士保険に加入していた場合の自己負担額
法律相談料 1万円 0円
着手金 30万円 6万円
報酬金 16万円 3万2,000円
合計 47万円 9万2,000円

上記のケースでは、47万円かかった弁護士費用が9万2,000円の負担で済んでいます。
弁護士保険に加入していれば、もしものときも安心です。
ただし、いつ加入しても補償されるわけではない点に注意が必要です。
交通事故や不慮の事故を指す「偶発事故」以外のトラブルのうち、加入時点ですでに発生している問題については補償されません。
たとえばパワハラの場合、パワハラを受け始めてから加入しても補償されないため、何もないうちから加入しておく必要があります。
また、加入後一定期間内に起きたトラブルは対象にならない「待機期間」があることも念頭に置いておきましょう。
なお、現在すでにトラブルが起こっている場合でも、今後発生する別のトラブルに備えて弁護士保険への加入をおすすめします。
前述のとおり現在発生しているトラブルは補償の対象になりませんが、将来のリスクに対する備えとして有効です。
弁護士保険のメリットやデメリット、保険会社ごとの保険料・補償内容については以下の記事を参考にしてください。
関連記事:【2025年】弁護士保険を比較 人気ランキングから保険料、補償比較|弁護士保険ステーション トラブル別でおすすめの弁護士保険をご紹介

まとめ

パワハラで訴える方法や必要な証拠、知っておくべきことを解説しました。
パワハラで加害者を訴えるときは、突然訴訟を提起するのではなく段階的に進めていくことが重要です。
まずは証拠収集から始め、会社や労働局、弁護士と、それぞれの相談先に相談しながら解決を目指しましょう。
注意点は、訴訟を提起することで反対に訴えられたり会社に居づらくなったりする可能性があることです。
できる限り早く弁護士に相談し、アドバイスを受けながら適切に対処する必要があります。
費用面の不安を解消したい場合は、弁護士保険への加入を検討しましょう。
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